みあ
2 件の小説最後の恋人【長編】
初恋は小学2年生だった。 今思えばどこがかっこよかったんだろう。 面長ですらっとした体つき、一重だがはっきりとした目。 左目の上にある切り傷の跡が印象的だった。 −なんだかすごくかっこいい。 母の影響でドラマをよく見ていた私にははっきりと分かった。 これが“好き”だと。 この片思いが実ったのは中学3年生。 (正確には中学1年生だが、私が原因で一度別れている) お互い若かったこともあり、いわゆるバカップルと呼ばれるくらいの交際だった。 毎日登下校はもちろん、休日はデート。 毎月の記念日は祝っていたし、恋愛ABCなんかすぐだった。 なんとなく日々を過ごして思う。 これが好きな人といる幸せなのだと。 喧嘩もあったが友人の助けもありなんとかやってきていた。 1年記念を迎える1ヶ月前。 親友に頼み込んで記念のアルバム作りをしていた私に1件の通知が届いた。 −まだ付き合ってるよね? 幼稚園からの幼馴染だ。 −うん。どうして? −いや、実はあいつの元カノから連絡が来たんだよ。 すごく嫌な予感がした。 彼氏は小学生の時から交際経験があり、その相手はどの人も美人であると知っていたから。 −これ見て。 1枚の写真が送られてきた。 元カノと彼氏の会話だった。 −−体の関係にならない? その一言は彼氏から放たれたものだった。 その後のことは正直あまり覚えていない。 どこにぶつけていいかわからない怒りと やっぱり。という呆れ 私の5.6年の片思いは?この1年間は?という悲しみ そのあとは芋づる式にいろんな話が出た。 結局のところ、私は「彼女」という名前だけだった。 悔しかった。 むかついて浮気もし返した。 彼氏は私の浮気に怒り出した。 怒る資格なんかないくせに。 アルバムを渡した2ヶ月後。 私たちはいつもの公園で別れた。 −考え直して欲しい。 そんな時間十分にあったんだよ。 さよなら、私の初恋。
言えない
-〇〇がいるから頑張れるよ。 本当にそうなのだろうか。 彼はたくさんの人に恵まれている。その中の1人である私は特別なのだろうか。 何度も通う定期内の小さなジュエリーケース。 私にとっては幸せの香りと音で詰まった箱だった。 タバコの香り、お酒の香り、大きなドラムの音、一音も間違うことのないギターのメロディ。 私にとっては全てが憧れで、全てが宝物だった。 あなたにとってはどうだっただろうか。 ただの日常の中の趣味?あなたのことを愛する人が集まる音のする部屋?好きをさらけ出せる自由な空? 紫陽花の季節になった今、そんな生暖かい小さな箱に私は向かう。 6月にもなったのに雨は少なく、紫陽花の蕾は咲いていない。 −紫陽花の色のついたあの大きな部分は、本当は葉っぱであの真ん中の小さな丸いのが花なんだよ。 誰から聞いた言葉だったか。この時期に開いていないのを見るのは不思議な感覚にも感じられる。 それとも私が花を知らなかったのだろうか。 こんな季節にあなたはあの曲をまた箱の中で奏でるのだろうか。 どんな人を頭に浮かべて歌うのだろうか。 世論も他人の言葉も気にせずに私たちだけの箱の中で いつかあの曲を歌って 終わる時には笑っていたい。 ハッピーエンドだと2人で感じられるまで続けたい。 あの曲を歌うときだけでも、あの曲を聴いているときだけでも、あなたが味方であると信じ続けたい。