那奈紫

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那奈紫

気分屋死にたい18歳です(*^^*) 性別♂

昨日の他人

「今日」死にたかった私は「昨日」生きていたかった人なのかもしれない。 「今日」お腹いっぱいだった僕は「昨日」飢えて喘いだ人なのかもしれない。 「今日」楽しかった私は「昨日」つまらなかった人なのかもしれない。 「今日」生きていてよかった僕は「昨日」死にたかった人かもしれない。 「今日」涙をながした私は「昨日」笑顔だった人かもしれない。 「今日」救われなかった僕は「昨日」助けられた人かもしれない。 「今日」愛された私は「昨日」見離された人かもしれない。 そうやって、「今日」を生きている「人」は「昨日」を生きてきた「他人」のくり返しの日々かもしれない。

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昨日の他人

おやすみ世界。さよなら人生。

「おやすみ世界。さよなら人生。」 今日、僕という名の人生は天寿を全うした。僕が存在した世界は深く眠りについたようだ。それなのにどうしてだろう…何故こんなにも世界は明るくて、眩しくて、あたたかくて、心地よいと感じるのだろう。 何故こんなにも人生とは愚かで、儚くて、腐っていて、穢れているのに、美しいと感じるのだろう。まるでまだ僕という「人生」が存在しているようだ。あんなに大好きだった母のカレーも、苦手だった父の煙草臭さも、もう感じないというのに。 あんなに愛していたあの子も、友人も、憎しみを抱いた彼奴も何処にも居ないというに。まるでまだ「大切な人」を恋しく思うようだ。 あんなに僕は「人生」という名の足枷から逃げたかったのに「生きている」という罪から逃れたかったのに「愛」という羞恥心に背を向けていたのに、何故今更その答えを鬼籍に入った「世界」に求めているのだろう。もうその「答」は分かりきっているというのに、何故探しているのだろう。 「僕には分からない」 そう呟いた所で“世界“(きみ)は起きてはくれない。なら“君“は僕自身で「答」を見つけろと言うのかい…?すると“君“は頷くように僕に晄を向けた。 あぁ、そうか…“君“も“それ“を探していたのか…。“君“は何億年、何光年と分かりきっていた「答」を見つけては忘れ、目を逸らして生き続けていたのだね。 僕の「人生」のように。だから「答」は分かりきっているというのに探してしまうのだね。 「君もこっちの“天国“(せかい)へおいでよ」そういうと“君“は僕の手を引いた。 「これでようやく休めるね」そう微笑んでいたのは僕の“人生“だった。 「うん、さよなら人生。おやすみ世界。」

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