おやすみ世界。さよなら人生。

「おやすみ世界。さよなら人生。」 今日、僕という名の人生は天寿を全うした。僕が存在した世界は深く眠りについたようだ。それなのにどうしてだろう…何故こんなにも世界は明るくて、眩しくて、あたたかくて、心地よいと感じるのだろう。 何故こんなにも人生とは愚かで、儚くて、腐っていて、穢れているのに、美しいと感じるのだろう。まるでまだ僕という「人生」が存在しているようだ。あんなに大好きだった母のカレーも、苦手だった父の煙草臭さも、もう感じないというのに。 あんなに愛していたあの子も、友人も、憎しみを抱いた彼奴も何処にも居ないというに。まるでまだ「大切な人」を恋しく思うようだ。 あんなに僕は「人生」という名の足枷から逃げたかったのに「生きている」という罪から逃れたかったのに「愛」という羞恥心に背を向けていたのに、何故今更その答えを鬼籍に入った「世界」に求めているのだろう。もうその「答」は分かりきっているというのに、何故探しているのだろう。 「僕には分からない」 そう呟いた所で“世界“(きみ)は起きてはくれない。なら“君“は僕自身で「答」を見つけろと言うのかい…?すると“君“は頷くように僕に晄を向けた。 あぁ、そうか…“君“も“それ“を探していたのか…。“君“は何億年、何光年と分かりきっていた「答」を見つけては忘れ、目を逸らして生き続けていたのだね。 僕の「人生」のように。だから「答」は分かりきっているというのに探してしまうのだね。
那奈紫
那奈紫
気分屋死にたい18歳です(*^^*) 性別♂