aoao
2 件の小説夏祭り
ドン、と遠くで最初の音が響いたとき、 私はまだ神社の長い石段を登っていた 周囲を歩く浴衣姿のカップルや家族連れが、 一斉に歓声を上げて足を速める 大好きな人と見る「初めての花火」になるはずだった 誰もが空を見上げて、うっとりとその光を瞳に映している けれど隣には、ぽっかりと誰もいない 「一人分の空間」が空いていた いくら待っても、彼がこの雑踏をかき分けて 私の手を握りに来ることはない 「綺麗だね」 本当なら、その言葉を交わしたかった 「線香花火、今度一緒にしようね」 そんな話も交わしていたのに 鳴り響く花火の音に驚いて見つめ合ったり、 屋台の甘い香りに目移りしたり、 下駄で歩く私を彼が気遣ってくれたり 消えゆく光の残像に向かって、 私は誰にも聞こえない声で呟いた 今年も浴衣を着ることはなかった 彼と見たかった初めての花火は、 私の胸の奥で、消えない残り火のように 優しく灯り続けている
いつかこの願いが…
七月七日 一年に一回の願い事を短冊に書いて笹竹につるし、星に祈りを捧げる日。 私は「いつかまた彼に会えて幸せになれますように」と願う。 他にももっと自由が欲しいとかたくさんあるけど今はもう願いは一つしかない。 彼は完璧な彼氏を求めていたんだと思う。 だけどそうじゃなくていいんだよ。 こんな人間でごめんねって言わないでね。 私はずっと信じてるから。 彼の素が一番大好きで、楽しくて、毎日が幸せなんだよ。 喧嘩したりすることもあるけどそれを乗り越えた先に「本当に幸せ」があって。 彼をまた笑顔にさせたい。 絶対毎日笑顔で幸せにしてあげたいって思う人。 どんなに辛いことがあっても一緒に乗り越えていきたい人。 将来一緒に歩んでいきたい人。 私はずっと元気に頑張ってるよ。 本当に心の底から大好き。 いつかこの願いが叶いますように