妖星拓哉
27 件の小説学校以外で先生と会うと気まずいよね
昨日の出来事を話そうと思う 私は学生なのだが、学校の隣に新しくスーパーができた 今週、私はテストだった 午前でテストが終わり、帰るところだった しかし、父が新しいスーパーの中を見たいということで 制服姿の私と父とスーパーで買い物を始めた するとたまたまCMでやっていたカップ麺が安く売っていた 父も私もカップ麺が好きである かごいっぱいにカップ麺を入れた そのあと昼飯を買おうとしたらまさかの先生と遭遇 それも元担任、担任、さっきまで一緒に話していた先生という気まずさ それに加えてさっきまで話していた先生との会話がこのスーパーのことだった 私の家は通っている学校と遠くてバスなどで通っている そのため今さっき 「家から遠いのに、そこのスーパーなんて行くわけないじゃないですか~あはは~」 なんて会話をしていたのだった そしたらどうだ 三十分もせずに再会 それも私が行くわけないと笑っていたスーパーで おまけにかごの中は一面カップ麺 なんという不健康生活 気まずさは自分のメーターを振り切った 愛想笑いも崩れ始めた 私は即座にその場から逃げた もう、あのースーパーには行かないと心に決めた
十円チョコの思い
僕は講義ない時間はスーパーでバイトをしている シフトが終わる五分前 いつも十円チョコを買う女性がいる 彼女は僕にいつも買ったチョコを 「お疲れ様、これ是非食べて」 と言って僕に渡す 嫌いでもないので有難く頂戴する やっぱり美味しい 僕は毎日この甘い甘いミルクチョコの味がたまらなく待ち遠しい 僕はシフトが終わる五分前が至福のひとときとなった あれから十年が経った 僕は大手企業に内定をもらい就職した 彼女から十円チョコをもらうことは無くなった 甘い甘いミルクチョコがたまに恋しくなる チョコが貰えなくなったのは 僕がバイトを辞めたからでもあるが 「お疲れ様、今日はハンバーグだよ」 十円チョコが彼女の手作り料理に変わったからである
抜錨
船はとっくに出港していた 其れを知っていても尚気付かない振りをした まだ縋っていたかった 何も出来ないと言っていたかった 陸に戻してと声を枯らして 汚水を流して 汚い汚い、塩っぱい塩っぱいと嘆き 叫んだ 其の声は今も何処かの誰かに聞こえていて 空耳だと感じた其れは私の叫び声 陸に返して貰えず投錨もされない 醜い私の声
比べて閉じ込めないで
いつも比べられていた それは兄弟ではなく従姉妹だった 血がほとんど違う従姉妹と比べられていた 運動が得意だった従姉妹 ある程度いい高校に行った従姉妹 優しくてみんなから慕われている従姉妹 私はそんな人達と比べられた 運動が出来ない私 勉強もあんまり出来ない私 性格はクズで友達なんて指1本な私 こんなにも違うのに比べてくる両親 わかってるよ 私の為なんだよね 私の将来を案じているんだよね でもねもう私無理かな 不安で推し潰れちゃいそう もしいい高校に行けなかったら もしいい大学に行けなかったら なんの取り柄もない私が置いていかれるのは嫌 だから比べないで 私頑張るから 従姉妹に負けないよう頑張るから だからもう私の心を閉じ込めないで
待っててね
好きだった担任が異動になった 大好きだった 私にグッズをくれたことも 紅茶の茶葉を嗅がせてくれたことも 私の定期を面白く楽しく返してくれたことも 全部全部好きだったのになぁ なんでまだ3年なのに異動しちゃったんだろうなぁ 大好きって言えばよかった 離任式があるけどそれでもいないっていうのは辛くて またひょっこり戻ってきたりして・・・ なんて思ってみるけどそんなことなくて なんだか寂しい 学校の担任がこんなにも優しいと思えたのは貴方が初めてで もし、これを見ていたならば 私は貴方にゲームのフレンドになりたい 好きと言いたい そして連絡先が欲しいと言いたい 明日学校に行っても貴方は笑顔で迎えてはくれなくて 廊下に座っても 他クラスから友達を連れてきても 怒ってはくれなくて また灰色の世界が待っていると思うと 私は朝七時半のバスに乗れない 例えいい担任になったとしても この思いは消えないし 悪夢として一生出てしまうのだと思う だから私は貴方との恋に決着をつけたい でもそんなことしたら私は泣いてしまう だから卒業式のとき見に来てね 絶対伝えに行くから 可愛くなって写真撮りに行くから 待っててね。
輪廻転生
人生上手くいきませんでした。 一回目の人生は何もできずに野垂れ死にました。 二回目の人生は自分の好きな事だけして金が無くなり餓死にました。 三回目の人生は金持ちになるためずっと働いていたら過労死しました。 そして四回目の人生を歩んでいました。 今までよりいい環境で生まれたと思ったら 母は呑兵衛でした。 毎年金が無くなる一方の家庭で生まれました。 何とか成人出来たと思っても 就職できずバイトで生活していました。 結婚なんて30でやっとできました。 相手は自分より10歳も年上の人でした。 勿論、子供の余裕はなく作りませんでした。 そこには自分の幼少期を思い出して あのような親にはなりたくないと思ったからでもあります。 しかし、すぐ結婚相手は亡くなりました。 元々病気を患っていたそうです。 私には教えてくれていませんでした。 ですが、多額の保険金が入ってきました。 私はその保険金で暮らすようになりました。 毎日家にいる生活。 それは生きてる心地がしなくてやめました。 保険金は残り二割を取って置き、八割は寄付しました。 二割はあっという間に無くなってしまいました。 しかし、私は幸せでした。 この人生で初めて幸せだと思った瞬間でした。 役に立たない私がやっと人の役に立てましたから。 人生案外上手くいったのではないでしょうか。 では私はこの辺でお暇させて頂きます。 次は来世で会いましょう。 四回目の人生はとてもじゃありませんが上手くいったわけではありませんでした。 ですが、彼女にとっては上手くいった人生だったのです。
卒業JK
今日をもって私はこの学校を卒業する 最初はこんな学校無くなればいいのに なんて思ってました でも、友達が出来て 部活に入ったら 学校が楽しくなりました プリを撮りに行ったボロボロのカバン 勉強が好きになるようにデコったノート 唯一盛れないと言い合った生徒証 どれも今日で終わりです 校則を破りまくっても 最後の最後まで進路が決まらなくても 怒らず良くしてくれた先生 本当にありがとうございました 私は今日をもって卒業します 楽しかった華のJKを卒業します
大人になってしまった
少年は言いました 「この世は訳が分からない 嘘は沢山あるし 矛盾も沢山ある」 大人という存在がいて その大人がこの世界を汚していると少年は考えていました 少年はいつも大人を消したかった でも、自分が生きれているのも大人のせいだった だから自分は大人を消す資格はないと思っていた だけれど違った 少年は何時でも大人を消せたはずだった しかしやらなかった 出来なかった やりたくなかった それは彼がもうすぐ 十八を迎え成人となり 自分が消される側になりたくなかったから 一人が大人を消せば他の子も同じく消していくだろう それが恐怖だった少年は 大人を消さず 今朝 十八になった
感情
道でネズミが死んでいても可哀想とは思わなかった 自分に関係ない事だから 私がこのネズミに助けられた訳では無い だから自分もネズミを助けようとも 可哀想とも思わない ただそれだけだった だけどそれは違うと思い始めた なぜそう思うようになったのかは わからなかったけど 人間のような感情が出来たと思って 嬉しくなった だから忘れていた 自分はネズミだったことを
死にたがり少女
「寄ってらっしゃい、見てらしゃい 世にも珍しい、死にたがりだよ」 そんな最低な見世物があってたまるか しかし、当の本人は周りが見えていないらしい 自分がどこにいて 何をされているのかもわかっていない 俺は走り出し見世物まで行った 見世物は15にも満たない少女だった 少女は下を向いていて 小さく白い口からは 「私なんていない方が」 「貴方も笑っているんでしょう?」 「そうよ、私なんて死んだ方がいいのよ」 という自分自身を罵倒する言葉が吐き出されていた 俺は少女を笑っていたわけではない それどころか表情を変えていないし 一言も話していない 少女はただ妄想で話していた そのような少女を救いたかった 君がいていいと言いたかった 示したかった だから俺は少女を買った 少女を見世物にしていた男に大金を払った 俺の全財産だ これで俺は一文無しになってしまったわけだが 少女を手放すつもりはなかった 少女と手をつなぎ走ると やっと正気に戻ったのか俺を見てきた 少女に俺は伝えた 「俺が住んでいる村は決していいところではない だが、君が見たこともない景色を見させて もっとこの景色を見たい 一生見ていたい と思わせることはできる だから俺と生きてみないか?」 少女は俺に初めて本心を伝えた 「一週間生きてみて もし思わなかったら私は貴方の手で 死んでやります」 あぁそうしてくれ そうして俺を一人の人殺しにしてくれ 君を救えずに殺した最低な殺人犯にしてくれ