雪乃亜
2 件の小説可愛げ
今日もいそいそと働く私。 お茶出しに電話対応、そしてノルマ営業。 人手不足でスカウト業務。 定時前には今日の終わりの事務作業。 これといった大きい契約は取れないけれど やり甲斐を感じ毎日過ごしている。 なかなか給料が上がらないが 仕事が終わった後のビールがたまらない。 1人で飲むのは寂しいが おひとり様に慣れたのも事実である。 会社の社員同士はアットホームな雰囲気で 特別、誰かと仲が良いわけではないけれど、 楽しく仕事をしている。 でも仕事中には冴子が羨ましい時もある。 冴子のような女子は「お願い」する可愛げがあり 私のようなタイプは可愛げが無い。 お願いイコール甘えなような気がするからだ。 人の手を煩わせたくない。 出来る事は自分でやりたい。 でも男性陣は冴子のような女子が なんやかんやで好きなのだと思う。 頼られて嫌な男性は居ないと私は思う。 しかも上司や男性社員を名前呼び出来るのは あざと女子の冴子の特権な気がする。 私も呼んでみたいなと思う気持ちもあるが その後の男性社員の反応を想像し 想像だけで留まっている。 私も皆を名前呼びして あざと女子になりたい時もある。 無理なんだけど可愛げがあると思われたい時も ある。無理なんだけどね。
あざと女子
私は黒川雪。入社5年目のスーパー平社員。同期入社の女子達があっという間に結婚だ、転職だと退職してしまい気付いたら残ったのは私1人。 人手不足を補うためにあれこれ仕事をしてるうちに1人でなんでもこなせるスーパー平社員となったのである。 3ヶ月ほど前。まだ同期の冴子がいた。 冴子はあざと女子。 「ねぇねぇ〜勝己さ〜ん。プリンターの調子が悪いんだけど〜。こっち来て見てくれな〜い?」 なんて甘い声を出してる横で パソコン入力をしていると 「黒川、見てやれ。」 「え?私ですか?私が見て直るものですか?」 「きっと用紙が無いとか、そんなんだろ。」 この人はわざわざ名指しで呼ばれてるのに 私にふる必要があるのかね。彼女に嫌な顔されて 舌打ちされるのもめんどくさい。 勝己さんは我が社のエースの小林勝己部長。 見た目はちょっと怖いけど基本優しい人である。 しかもエースで独身。 彼に猛アプローチ中の冴子に恨まれるのは御免だと思いつつ、上司に言われた事を断れない。 仕方なく席を立ち冴子に近づく。 「どうしたの?冴子」 「なんでアンタが来るのよ?!」 「いや、部長に行けと言われたら私も断れないでしょ。それで?どうしたの?」 「本当に空気の読めないわね。雪は!もういいわ。」 私だってきたくて来た訳では無いのだけど。 あざと女子の冴子は、とにかく男性社員に 一日中、にゃんにゃんしている。 私とは全く違うタイプの人間だ。 私も誰かににゃんにゃんする時が来るのだろうか? いや、ないな。うん。きっとない。 あんなに大きな甘い声で部長を呼び 見て欲しかったプリンターは 何事もなく動いていた。 やはり、冴子はあざとい。