澄空

5 件の小説
Profile picture

澄空

初めまして。 澄空です。「ちょうくう」とよみます。 名前変えましたー! よろしくお願いします。

キレイナココロ

 私は「キレイナココロ」を持ちたいと思っていた。ずっと持ちたかった。持ってみたかった。 でも、「キレイナココロ」というのは簡単に手に入るものじゃない。望んだって手に入るものでもないみたい。 「キレイナココロ」を手に入れさえすれば、大事な人を嫌ってしまうことも、みんなに優しく接することも、きついことも頑張れるんでしょ。  「キレイナココロ」って「ドリョク」をしたら手に入るって聞いたの。でも、本当にそうなのかな。 「ドリョク」は人生においてとても大切なんだって。一生役に立つんだって。 私「ドリョク」はしたと思っていた。 その場にいるのがきつくても、ずっと笑顔でいた。針が刺さるように投げかけられる言葉にも耐えた。 我慢だ。我慢だ。 だって「ドリョク」したら「キレイナココロ」は手に入るんでしょ。 でも。結果は違ったみたい。 「ドリョク」をすればするほどどんどん心は「キタナイココロ」になっていく。 黒く染まって嫌なことばかり考える。 ねえ。いつになったら「キレイナココロ」は手に入る? ねえ。何が正解だったの。 教えてよ

1
0
キレイナココロ

あやまる

 私には特別な友人がいない。 この人だって思える人がいない。 「話せる友達がいるだけいいだろ。」「名前を呼んでくれる人がいるだけいいじゃん。」 そうみんなに言われた。 そうだ、いいんだ。 でも。いつも思うんだ。 「〇〇ちゃんと〇〇ちゃん仲良いよねー!」 「俺らずっと仲良いもんな!」 「大人になったら一緒に行きたいね!」 私にはそんな友達がいない。 贅沢かもしれない。でも、ずっと。 分かり合える人と巡り逢いたいってずっと。 今でも願い続けてしまう。 いや、自分のせいなのかもしれない。 分かり合おうとしてくれた人はいたのかもしれない。 でも、自分のその瞬間の幸せしか考えなかった。 私は人を傷つけてしまったのではないか。 じぶんのせいだ。 みんなごめん。 ごめん。

2
0

生きる

私は今生きている。 私はこう文章にして言葉にするのが苦手だ。 ものすごく苦手だ。 でも、自分の言いたいことはなんとなくわかっている。 綺麗なピアノの音を聴いた時、昔一緒のチームで協力した仲間と話した時、無視された時、喧嘩した時、いじられた時、裏切られた時。 私はその時「生きている」と感じる。 “どうして生まれたのか“ “亡くなったらどうなるのか“ “自分が生きている意味とは“ 私はまだわからない。 でも確かなのは私は“今“を「生きている」ということ。 生きることに意味がいるのかはわからない。 生まれてきた意味もわからない。 それでも、自分が死のうとしない理由はなんだ? それはまだ、自分が生きている証拠。 まだ、美しい景色を見たい証拠。 まだ、誰かと笑い合っていたい証拠。 私はとても死ぬのが怖い。 そう思える自分は本当になんていい人生だろう。 だから、自分の命が尽きるまでずっと生きていたい。 どんな人生だっていい。 自分もことだけを考えてもいい。 自分が生きていることで誰かの気持ちが楽になるのか。 自分が誰かを助けることができるのか。 それは、わからない。 でも、誰かの人生を鮮やかにできて。 自分の人生も輝くのなら。 命が尽きるまで、最後まで。 私は“今“を生きる。

4
0
生きる

1、僕の顧問

 「暦中の剣道部は弱くなったよねー」 「昔は県大会でベスト4はいってたのに、急にねw」 今日は市民大会の日。僕は試合の真っ只中だった。その時、相手の中学校のお母さん方の話が聞こえた。その途端、どうやって一本を取ろうと懸命に働いていた頭が停止した。急に動けなくなった。動けなかった。もう戦ったところで意味があるのかと思ってしまった。  次の瞬間、頭に強烈な衝撃が走り、僕は華麗な一本を取られていた。  試合の結果は、団体が西洋中学校が1位。岡斬中学校が2位。3位は僕たちの中学校、暦中学校だった。この市民大会では3チームが出場したため、僕たちは最下位ということになる。 個人では、暦中は誰もベスト4に入ることが出来なかった。  そして、県大会には団体が2位まで、個人が上位4名が出れるということで暦中は誰も県大会に出場できないことが決まった。  試合後、ひと段落して暦中の生徒は顧問の奥原先生に集められた。 「おつかれ。今日の試合は3年生にとって最後となる試合になってしまったなぁ。県大会に出ていれば、最後じゃなかったのに。」 気持ちのない“”“おつかれ“”と皮肉そうに言葉を発する先生に、僕は心の底から熱いものが這い上がってくるような感覚を覚えた。  暦中の昔の剣道部の顧問はとにかく本気な人だった、と僕の兄は言う。「女性の先生だったけど、今できる精一杯を僕たちにしてくれてね。それに、剣道の経験者でもあって、休日の練習は防具をつけて一緒に練習してくれていたんだけど、これが強くて強くて。でも、だからこそ県大会の団体でベスト4に入ることができたんだ。」僕の兄、小柳里空は団体のレギュラーで大将を任されるほど強い人だった。その兄が、その先生をものすごく高く評価していたから、すごい人なんだろうとずっと思っていたし、いつかは自分もそんな人に顧問についてもらえるのかと期待に胸を膨らませていた。でも、僕がちょうど中学校に入った1年前、今の奥原先生に顧問は変わった。理由は、前の女性の先生は違う学校へ転任することが決まったからだ。 奥原先生は剣道の経験もなければ、やる気もなかった。練習さえこなかった。僕は、それでも剣道が好きだから、必死に頑張った。でも、他の中学校にはちゃんとした先生もいて、やる気がある。先生が変わったから弱くなったとは言えないかもしれなけど、確実にみんなの士気は下がっていった。  だからこそ、僕は奥原先生の言葉にものすごい苛立ってしまった。先生はみんなのやる気を引き出す存在じゃないのか。僕たちが勝つ負けるどうでもいいのか。でも、先生にこの苛立つ気持ちを伝えたところでなんになる、どうにもならないんじゃないのか。そう思ってしまう僕はただただ泣くしかなかった。

3
1
1、僕の顧問

一意攻苦

 何かを成し遂げるために無理をしてまで人は動くのか。 誰かのために人は身をけづってまでも必死に動くのか。 “”一意攻苦“” 僕は、その四字熟語の意味を知った時、全身を撃たれたような衝撃を受けた。

3
0
一意攻苦