1、僕の顧問

1、僕の顧問
 「暦中の剣道部は弱くなったよねー」 「昔は県大会でベスト4はいってたのに、急にねw」 今日は市民大会の日。僕は試合の真っ只中だった。その時、相手の中学校のお母さん方の話が聞こえた。その途端、どうやって一本を取ろうと懸命に働いていた頭が停止した。急に動けなくなった。動けなかった。もう戦ったところで意味があるのかと思ってしまった。  次の瞬間、頭に強烈な衝撃が走り、僕は華麗な一本を取られていた。  試合の結果は、団体が西洋中学校が1位。岡斬中学校が2位。3位は僕たちの中学校、暦中学校だった。この市民大会では3チームが出場したため、僕たちは最下位ということになる。 個人では、暦中は誰もベスト4に入ることが出来なかった。  そして、県大会には団体が2位まで、個人が上位4名が出れるということで暦中は誰も県大会に出場できないことが決まった。  試合後、ひと段落して暦中の生徒は顧問の奥原先生に集められた。 「おつかれ。今日の試合は3年生にとって最後となる試合になってしまったなぁ。県大会に出ていれば、最後じゃなかったのに。」 気持ちのない“”“おつかれ“”と皮肉そうに言葉を発する先生に、僕は心の底から熱いものが這い上がってくるような感覚を覚えた。
澄空
澄空
初めまして。 澄空です。「ちょうくう」とよみます。 名前変えましたー! よろしくお願いします。