らくだ

5 件の小説
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らくだ

友達に触発されて素人なりにちょっとずつ楽しく書いてます。

ごめんなさい

俺はなんの為に産まれた...? なんの為に生きている...? ここで何をしている...? 俺は生きる為に頑張らなければならない。 だから頑張って勉強し、働き、我慢し、人の顔色を伺いながら人間関係を繋いでいる。 だけど昔、友達に言われた「頑張って働いて生きる為に生活しなきゃなんねぇのはわかるけどさ、なんの為にそこまで頑張って生きなきゃなんねぇんだろうな。」という問いかけ。 彼は何の気なしに吐いた一言かもしれない。 けどその彼は人間関係で追い詰められて自分で人生に終止符を打った。 俺はまだその問いの答えを見つけられてないよ。 生きる事が美徳とされる今の時代。 死が救済と言う考え方は淘汰されるのが世の決め事だ。 友よ。お前は自分で終止符を打って救われたか?悔しかったか?笑ったのか?泣いたのか? 死人に口なしとは言うものの、どうしても知りたくて口ずさむ。 そう口ずさむ俺の目からは、涙という名の感情が溢れ出す。 俺もお前を追いかけたら喜んでくれるか? それとも怒って喧嘩でもするか? またお前と喧嘩が出来るのなら、今生きて目的もない努力を重ねるよりも有意義なのかもしれない。 だけど俺には勇気がないよ。 お前は昔言ったよな。 「人の死が人生の出口だとしたら、その出口に辿り着くまでの曲がり道とか上り坂とか下り坂とかを如何に楽しむかが重要だと思うんだ。立ち止まるのもたまには良いと思うけど、その道で躓いた時に手を貸してくれる友達が居ないと、出口がグッと近くなる気がするんだ。」と。 俺はお前が躓いた時に手を貸してやれなかった。 友と思っていたのに。 巻き込まれて一緒に倒れるのが怖かった。 それでお前を失うとは思いもしなかった。 結局、俺は我が身可愛さにお前を見捨ててしまった。 そんな俺がお前を追いかけて人生の出口に向かうのはお門違いかもしれない。 だから生きる為に頑張るというつもりも無い。 お前がいなくなったあの日から、俺はお前を見捨てたと同時に、自分の人生も失ってしまったのかもしれない。 生きる目的もなく、死ぬ勇気もない。 いくら懺悔しても取り返しのつかないことに変わりは無い。 笑うことも泣くことも、喜ぶことも悲しむことも許されない様な気持ちにすらなる。 なのに溢れてくるのは涙ばかりだ。 こんな俺が生きててごめん...。 死ななくてごめん...。 泣いてごめん...。 本当にごめんなさい...。

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ごめんなさい

色のない世界

世界から色が消えた。 君と別れてからというもの、何をやっていても物足りない。 友達と遊んだり、家族で出かけたり、一人の時間を作ったり、勉強やスポーツに明け暮れた事もあった。 それでも白と黒の世界は変わらない。 最後に見たのは別れ際の苦し紛れの笑顔だった。 なんであんな終わり方になったのだろう。 なんでもっと話せなかったのだろう。 なんでもっと君の理想に近づけなかったのだろう。 なんで、なんで、なんで、なんで、なんで...。 後悔ばかりが湧いてくる。 君といた世界は色とりどりだったのに、君のいない世界にはひとつだって色がない。 そんな僕に友達が一言声をかけた。 「相手の理想になろうなろうともがくばっかりで、お前らしさが無くなったんじゃないのか?」 そうか、今まで相手の事ばかり気にして自分と向き合えてなかったのか。 もっと自分と向き合って、自分らしく生きてみよう。 すると世界に少し色が付いてきた。 あー、そうか。 僕が色をつけて、君がそれを鮮やかに飾ってくれていたんだ。 気づくのに時間がかかりすぎたな。 もう君は僕の前にはいない。 まだ少し時間はかかるけど、また前を向いて歩こうと思うよ。 君と過ごした色鮮やかな思い出と共に。

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色のない世界

背伸びという名のプライド

僕は少し背伸びする。 ちょっとでも良く思われたい。 ちょっとでも自分を大きく見せたい。 ちょっとでも人より優れていると思いたい。 ひとつひとつは小さな背伸び。 積み重ね過ぎて今はもうつま先立ちだ。 もう疲れたな...。 なんでこんなに頑張ってるんだっけ...。 背伸びする事を意識しすぎて、頑張る理由がわからなくなっちゃった。 背伸びを辞めても良いのかな。 辞めてもみんなに笑われないかな。 ちょっと怖いな...。 頑張る理由は見つからないのに、やめられない理由ならいくらでも見つかる。 それを人はプライドと呼ぶのだろう。 僕はプライドに拘ってるつもりはないんだけどな...。 ただちょっと背伸びをしたかっただけなんだ...。 ただちょっと人に良く思われたかっただけなんだ...。 なのになんでこんなに苦しいのだろう...。 なんでこんなに人の目が気になるのだろう...。 自分らしさってなんだっけ。 背伸びする癖なんてつけるもんじゃない。 後戻りが出来ない。 と言うより、後戻りしていいのかがわからない。 もっと素直に生きれたら、もっと人の目を気にしなければ、また違った人生だったかもしれない。 今からでも変われるかな。 変わっても良いのかな。 今から変わろうなんて遅いのかな。 そうやって小さなプライドに振り回されて、今日も小さく背伸びをしている。

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背伸びという名のプライド

僕は消しゴム

僕は消しゴム 毎日毎日大きな手に掴まれては間違えた文字に擦られる。 その度に身を削り黒く染まり小さくなっていく。 そして吐き出す様に削れた体が散らばっていく。 手の大きな奴らはそれを「消しカス」と言いながらゴミ扱い。 さっきまで僕の体の一部だったのに酷い話だ。 それでも僕から何が出来るでもなく、そうやって少しづつ削れた体は戻ることは無い。 そんな僕にもひとつだけ出来ることがある。 手の大きな奴らは時々僕の体に文字を書く。 どうやら好きな相手の名前のようだ。 その「名前を書いた消しゴムを使い切れば好きな人と結ばれる」と言いながら、毎日字を間違える度に嬉しそうに僕を擦り付ける。 こんな僕でも身を削って手の大きな奴らのキューピットにはなれるようだ。 そんな小さなおまじないでも、僕は信じて応援したい。 そんな思いで今日も黙って身を削る。

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僕は消しゴム

殺人という病

人を殺す夢を見た。 僕は今クラスメイト5人と閉じ込められている。 ここがどこなのか、どうして閉じ込められたのか、何故こうなったのか分からない。 状況を把握する為に、手分けすることになった。 僕も一人で探索する。 何やら遠くから声が聞こえる様な気がした。 確認しに行くと、たかちゃんが死んでいた。 首を切られて失血死。 足元に転がっているナイフ。 何故だかとても冷静でいられた。 中学で仲良くなり、同じ高校に入った友達。 友達の死を目の当たりにしたのに落ち着いている自分が不思議だった。 たかちゃんを隅に寄せて、手を合わせてその場を離れた。 しばらく歩いていると、足元からぬちゃっと音がした。 不快感を覚えるツンとした臭い。 イラッとして何なんだと見てみると、足元にひろくんが倒れていた。 絞殺されている。 その時に散らばった吐瀉物だった。 ひろくんは高校に入って出来た数少ない友達だ。 たかちゃん繋がりで仲良くなれたのに、悲しいな。 また一人殺された。 流石に2人目ともなると体が震える。 何がどうなっているだ。 ひろくんにも手を合わせて、他の3人と合流しようと探すことにした。 しかしどれだけ探しても見つからない。 少し疲れたと壁に手をつくと、ぬるっとした感覚がある。 なんだと思い見てみると、手に血がついていた。 困惑しつつ確認すると、あみちゃんが手首を切って死んでいた。 あみちゃんはひろくんの彼女だ。 ひろくんの亡骸を見て狂乱して自害したのだろう。 何ともまぁいたたまれない姿だ。 あみちゃんをひろくんの元へ連れていき、手を合わせた。 この際もう、ここがどこで何が起きているかなんてどうでもいい。 早くここから逃げ出したい。 怖い。 次は自分かもしれないと焦る気持ちでがむしゃらに走った。 走って、走って、走って、転けた。 失踪感に襲われてとぼとぼと歩いて角を曲がった時、何かにぶつかった。 顔を上げるとみつやが立っていた。 やっと合流出来たと抱きついた途端、みつやは倒れた。 えっ...言葉を失ったが、包丁で心臓を一突き。 みつやは中学の時に引っ越してきて、時間をかけてやっと仲良くなれたのに。 誰がこんな酷いことを。 そう呟く僕は笑っていた。 もうひとつの人格が目を覚ましていた。 ドキドキと心臓の音が聞こえそうなほど高ぶっている。 叙情的に高揚感や快楽が湧いてくる。 最後はてつやだ。 僕の最愛の幼馴染。 背後から遅いかかり、てつやと共に僕の人格も死んだ。

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殺人という病