音京 葉月
3 件の小説ショータイム
ここはとある都。 たくさんの事件が起こる。 爆弾、自殺、他殺、強盗など。 他殺にもたくさんの種類がある。 例えば、撲殺、刺殺、絞殺、毒殺、射殺、殴殺、焼殺、愵殺、感電殺、落殺。あげてもあげてもキリがない。 最早、警察も手を出せなくなってきていた。 そんな地獄のような都。 そんな中、たった一人だけ、“必ず”事件を解決する探偵がいた。 名は、リュル。 またの名は……リュミエール。 名は体を表すとはこの事。地獄の場所に住む人々にとっては希望の光だった。 その名探偵は必ず事件を解決をする。もちろん、依頼人の前で。 その際、彼はいつもこう言った。 「さぁ、ショウタイムの時間だ」
真実(せいかい)
真実(せいかい)はいらない。 嘘でいい。 いなくなれ。 いなくなれ。 みんな、みんな、いなくなれ。 一人の少年は只々淡々と。 何にもなさそうな顔をしながらそう言った。 どうしてあの子が居なくなったのに世界は終わらないの? どうして明日の天気予報をするの? あの子が居なくなったら世界はなくなるんじゃないの? 少年の周りには誰もいない。 ただ、雨が降っていた。 まるで少年の心の中のようだった。 みんないなくなれ。 いなくなれ。 いなくなれ。 あの子がいない世界なんてどうでもいい。 いなくなってしまえ。 いなくなれ。 ……そばにいて。 少年は今でもずっと雨に打たれている。
夏の日
「ねぇねぇ!君は、亡くなった人を思い出すものって何んだと思う?」 「え、なに急に……てか、これ終わった?」 「まぁまぁ、頭使いすぎたら禿げるよ!」 「聞いたことねぇよ」 「で、なんだと思う?」 「……写真とか?」 「いいね!見たらすぐに思い出せる!」 「そういうお前は?」 「……季節、かな。忘れたくてもその季節がやってきたら思いだしてしまう。嫌でも、忘れたくても、必ず季節はやってくる」 「ふーん。……はい。休憩終わり。続きやるよ」 「えー?」 「お前が再テストになったのが悪ぃだろ」 「はーい」 今でも思い出す。 なぁ。 「夏になったよ」 生ぬるい風が吹いた。