snow drop
42 件の小説snow drop
初めまして。ボカロ、小説、アニメが好きです。(敬称略)好きな作家は望月麻衣、朝霧カフカ、佐藤真登、綾崎隼です。好きな小説は「満月珈琲店の星詠み」、「文豪ストレイドッグス」、「処刑少女の生きる道」、「死にたがりの君に贈る物語」です。 それと僕、実は学生です。相互フォローを心がけています。よろしくお願いします。
魔法集め 第二章
『魔術って、発動するまでの手順がとにかく多い。』 私の脳に術式を保管すると、魔術を保管した瞬間から二十四時間経つまでは何もできないし、 経ったら経ったで踏むべき手順を正確に踏まなければいけないらしい。これ全部、魔術師の言ってたことの受け売り。『魔術って、結構ポンコツ。』 今、私は、せっせと床に広がっている紙を拾っては、それに記された術式に目を通している。紙があるんだから、綴じて本にすれば良いのに。ぶつくさ考えながら作業を続ける。魔術師に嫌味の一言も言えない。『喋れないのが、これほど悔しかったことは無いと感じた。』 当の魔術師はと言うと、優雅に紅茶を飲んでいる。『せめて別室でくつろいで欲しい。』 私の刺すような視線に気づいたのか、魔術師がこちらを見た。 「余計なことを考えるのをやめなさい。意味がないので。」大人の余裕を披露した魔術師は、どこ吹く風といった調子で、私の視線をあしらった。 『本当に、良いご身分。』 カランカラン ドアベルの軽やかな音が鳴る。 「どちら様でしょうか。」魔術師が扉に向かう。でも、扉に触れる前に、魔術師の足が止まる。 バキッという鈍い音がして、何かが倒れる音がした。 床から、いつも踏みしめていた木の感触が消える。気づいたら、魔術師が私を荷物みたいに肩に担いでいた。 「逃げますよ、リーン。」魔術師が、私の名前を呼ぶのは、今が初めてだったと思う。 一瞬の魔術師の声に気を取られて、反応が遅れた。冷たい金属が腕に当たり、上を見上げる。 『誰?』多分男の人だと思う。私の首根っこを掴んで吊り上げているのは、背が魔術師より高く、甲冑を纏っている騎士(?)だった。
メモリ
今日も日記を書く。 書かないと、全部忘れちゃうから。 今日の事、昨日の事、一昨日の事、もっと前のいつかの事。全部、この日記帳に記してる。書いても書いても、私の頭から全てが消えていく。 この日記帳は、私の全て。私の『脳』。 いつからか、私は空想の世界に溺れていた。古紙の香り漂う図書館に行ってみたり、異国の魚が泳ぐ水族館やゴシック調の城を訪れたりして時間を潰した。 ずっとずっと、特に何もせず、妄想を繰り返した。 だって、そんな存在しない世界は、忘れてしまっても思い出さなくて良いから。 私の家族は、何も覚えられない私を捨てた。 ずっと、屋根裏部屋に一人で居る。 そのうち自分がどこに居るのかすら忘れて、ぼんやり時間が過ぎるのを待つだけになる。『いっそ、そうなりたい。』 この部屋には窓が無いから、オレンジ色の光すら見えない。 今日も、日が暮れたのかすら分からないまま、瞼を閉じた。 屋根裏部屋の外で、朝と呼ばれる時間になる。 タンタンタン…『階段を踏む音だ。』 ベッドの中でシーツにくるまったまま、天井を見つめる。『誰かが来た』 バタン 「魔術書を保管しているとは思えない場所ですね。」 『誰?』 「口を開いても僅かに空気の音がするだけとは、深刻な教育不足です。」 「言葉が分かるなら、首を縦に振ってください。」 コクリ 「そうですか、まあ最低ラインは大丈夫そうですね。」 「私は魔術師です。」 「ついでに言うと、貴女は魔術書です。」 『私、自認は人だけど?』 「貴女が記憶を保持できないのは、魔術を除く全てを、貴女の脳が拒絶するからです。」 「記憶が宿る事で、脳のストレージが減ってしまうので、記憶は片っ端から削除されます。」 「今の説明で、貴女の役割が分かりましたか?」 コクリ 「素直でよろしい。」 「では、こんな埃っぽい場所から出ましょう。」 コクリ 階段の下は、虚しいくらいに静かで広かった。部屋に装飾はされていたが、華やかさは無い。 『私の家族が暮らしているはずなのに、誰もいない?』 『気にするだけ無駄かな。』 魔術書と私の共同生活が始まった。
白蝋
緑の葉が揺れて、白い墓石が陽の光を浴びていた。 一人の少年がシオンと百合の花束を片手持ちして立って居た。 風が少年の髪を揺らした。 「今、そっちに逝く。」銃声が響いて、墓前に供えられた花束に赤が添えられた。 少年の目には、確かに少女の姿が映っていた。白く清楚なワンピースが風に揺れる姿を−−−。 「•••え?」 白いワンピース? 誰だろう、この子。 僕は最後の時を、半身の墓の前を過ごそうとしただけなのに。 散ったのは僕の血では無く、この女の子のものだったらしい。 「君は?」 「美鈴。」 美鈴? よくある名前だけど、身近なところでそんな名前を聞いた覚えは無い。 「美鈴ちゃんは、僕に何の用かな?」 「•••、」 何か言って欲しいんだけど。 「言えないなら良いよ、別に。」 「ここでは話せない。来て。」 口数が少ないのか、情報をこちらに与えてくれない。 「は?」 僕の困惑など知ったことかと言わんばかりに、僕の袖を引っ張る。 美鈴に引っ張られて着いたのは、レトロな喫茶店だった。看板には「喫茶店」とだけ書いてある。 促されるまま、カウンター席に座る。見た目よりもずっと座り心地が良い。 「どれにする?」 注文しろって感じか。 「メロンソーダで。」 メニューのメロンソーダの細かな泡が、目にも涼しくて爽やかそうだ。 ちょっと待ったけど、美鈴はなかなか話を切り出さない。 僕から話しかけようとしたら、「ねえ、」 いきなり話しかけないでよ、心臓に悪いじゃないか。 「見える人、久しぶりだったから」 どういう、•••ああそうか。僕が美鈴を『見る』ことが出来る事に、好奇心を抱いたっていうことか。 それにしても、墓地で突撃するのはどうかと思う。 「死にたかったの?」 「半身が逝ってしまったからね、僕は寂しくなったんだ。」 美鈴の純粋な疑問に、出来るだけ平坦に答えた。でも、声が不自然だったかもしれない。 「そう」 それ以上追及されることもなく、会話が終わった。 気まずくなりそうだったので、クリームソーダを一口。我ながら素晴らしい現実逃避だ。 このクリームソーダ、シュワシュワしていて美味しい。率直な感想が頭に浮かび、少し頬が緩んだ。 さすがは雰囲気のあるレトロチックな喫茶店だ。 「気に入った?」 「そうだね。」 「君は、ここの店員なの?」 「そう。たまに、あなたの兄弟も来ていた。」 「そっか。」 それは初耳。 いや待て、まさかとは思うけどこの子、兄の彼女だったりしないよね。兄に「寝取られた」って殴り込まれたりしないよね。ねえ? 今、兄がこの世に居なくてホッとしてしまった。 「そういう関係じゃない。」 ドキッとした。 心読まれた。 「あなたの兄弟は、私の声を聞くことしかできなかった。」 「見えなかったってこと?」 「そう。だから、あなたはもっと特別。あなたは、私が見えるし聞こえる。」 「へえ。」 「あなたの兄弟は、私の姿を見ようとしてあらゆるオカルト本を読み漁っていた。」 確かに、兄の性格上やっていそうだね。 「あなた、家はどうするの?」 「え?あ、」 兄が口を滑らせたのかな、兄弟で二人暮らしだったってことを。 「僕は今、一人暮らしだけど、それがどうかしたの?」 「店員は私だけだから、あと一人ぐらい欲しかった。」 なるほど、僕を店員として雇う気ってことか。 「分かった。僕もここで働くよ。」 兄が足繁く通った店だ、せっかくなら流れに任せよう。 しばらく過ごしても良いかな、兄の痕跡の残るこの店で。 ストーリー展開は、下記のようにする予定です。 「いいね」をよろしくお願いします。 美鈴を助けようとして、周りの人に見られてしまう。周りの人には見えないから 主人公、孤立する 美鈴との仲が深まる 主人公はただでさえ少ない友達に拒絶される 主人公は、人の世界で生きるか、美鈴のいる妖の世界で生きるか決断する。
天使の問い
『完全な善人など存在しないのに、どうして『罪なき人』と『罪人』に分けられるのでしょうか。』 と、神の御前で僕は一つ質問した。 僕は死者の魂を天界へと導く天使。僕は、そこの担当。自分語りはこれくらい。 今、僕の質問に対する神からの答えを待っている。 神曰く、『罪とは、人々が生まれながらに背負っているもの。だが、その罪と向き合い、己と他者の罪を薄める者こそ罪なき人だ。』 神のありがたい御言葉は、厳かだが微妙に答えになっていない。 薄っぺらくて、お話にならない。正直に言って、聞く価値が無かった。僕は考えた、『じゃあ、自分で調べれば良いか。』と。 『罪人』は文字通りの意味だから別に良いとして、僕は『罪なき人』を探すことにした。 まず向かったのは、地上の教会だった。とりあえず、神父や修道女の様子を伺う。 彼らは神に祈りを捧げることが生き甲斐のようだ。彼らが意味の無い聖典を読み上げて、祭壇に首を垂れる姿はどうしようもなくみじめだった。 『祈ったって、よほど神に気に入られなければ願いは叶わないのに。』神を知る僕の声は、誰にも届かなかった。 神とは、結局のところ人々が望むように姿を変えるだけの泥人形だ。人にとっての神とは、『こうあるべき』を映す鏡のようなモノ。 彼らが一身に祈りを捧げる姿に、僕は呆れを覚えた。 次はスラム街だ。 人間の欲望の渦から弾き出された人々が住まう、非合法の場所。 ここには、かえって人間というモノが鮮明に描き出されているはず。僕はそう期待して、スラムを訪れた。 「水の配給があるんだって。」「道路で酔い潰れてる父ちゃん拾ってくるから、待って。」住民たちの声が聞こえてくる。 先程まで見ていた教会とは違って、当てこすりや偽善が無い。ここは、剥き出しの本音で溢れている。僕は、自分の口角が釣り上がっていく感覚を覚えた。 「誰か、ほんの少しで良いから水をください!」 誰かが叫びながら、こちらに走って来る。その声の主は、腕に子を抱いた女性だった。頬のこけた子供は、息をしているかどうかすら怪しかった。 女性が僕に向かって、「お願いです、この子に水を。」と懇願してきた。『どうしようかな。僕が、生きている人間を救うことは禁じられているし。僕じゃ無くても良いでしょ、水を君に分けてあげるのってさ?』僕はそう言って、ふと疑問に思った。『ん?』と。 人間には僕が見えるはず無いのに。 明らかに、僕に向かって話しかけてきてるんだけど。そもそもなんで僕が見えるんだろう、この人。 あ、死んでるんだ、この人。『死してなお、子供に水を恵んでくれる人を探している母親、か。抱き抱えている子供も死んでるんだろうな。』 この女性は、己が死んでいる事に気づく事すらできないまま亡くなったらしい。 でも、この女性じゃ無い。僕が探している『罪なき人』は、もっと純潔で無垢なはずだから。こんなスラム街で、生きるか死ぬかの狭間に置かれることなどないはずだ。 そもそも人間は、生まれた瞬間から罪を背負っているとされている。だったら、『罪なき人』を探す前提から間違っている? 今度は魂の揺籠に行ってみた。 ここには、誕生する前の赤子の魂が眠っている。 人の子として誕生するまで、ここで過ごす。 『罪なき人』は、この世に人として誕生する前の純粋な魂の事だ。 僕はその魂たちが罪を犯す前に天界へ導けばいい。誕生する人間は減るけど、仕方がないよね。罪を犯すよりずっとマシだよ。 あはっ。 なあんだ、『罪なき人』はたくさんいるじゃあ無いか。本当に無駄な時間を過ごしてしまった。 『罪なき人』は、天界のすぐ近くにいる。だって、生まれる前の魂は死者に限りなく近いから。 これから僕はたくさんの『罪なき人』を救ってみせる。 あは、あははははは。 その天使の背に負われた翼は、穢れを帯びていった。
君と居る
駄文です、書き散らしただけ。 目を閉じると、『君』が居た。ずっと昔に出会った友達。僕は友達が全然出来なくて、ずっと僕らは一緒だった。 親からの罵倒を受けたり、学校のクラスメートと上手く付き合っていけなかったら、ずっと隣に座ってる『君』に目を向けて話しかけていた。 僕が『君』と話していた時、クラスメートには異物を見るような目で見られていた。だから、コロナ禍になる前から風邪でもないのにマスクをつけるようになった。 『君』には名前をつけていない。名前を付けたら、きっと『君』は君じゃない唯の幽霊になる。 『君』が僕の頭の中の、都合の良いおもちゃになってしまいそうだったから。 勉強をする時でも、『君』は僕の隣に座ってわずかに笑っていた。口角を、気づくか気づかないかの狭間ぐらい少しだけ上に上げて。 たまに僕に向かって話しかけてくれた、『今日は何して遊ぶ?』って。勉強が片付いた頃に、いつも僕を見てそう言ってくれる。 僕にとって都合の良い時にしか、『君』は僕に話しかけてこない。僕はいつでも話しかけるのに。 高校に入った今でも、友達は一人もいない。 ほんとは「高校の友達」っていうのを作らないといけないことぐらい分かってる。でも、中学までクラスメートから人間として認識されていたのかどうかすら怪しかった僕に、友達作りなんて出来るはずなかった。 結局、名前を付けなくても『君』は僕にとって都合の良い存在なんだ。 とっくの昔に気づいてた。
くろうばあないと『いよわ』 2次創作小説
旧校舎の講堂に由里(ゆうり)ちゃんを呼んで、彼女を滅多刺しにした。 「翠(みどり)、お前、何スマホいじってんだよ。」 掛けられた声にハッとした。 「電波を辿れば、今の時代発信源が分かるんだから共犯の俺らを巻き込むんじゃねえよ。」 「ごめんなさい。」 私は謝ることしかできなかった。 彼らの言う通りだ。私たちは『取り返しのつかないことをしてしまったのかもしれない。』のだから。 「隠せるかな。」私は無意識に呟いていた。 「隠すんだよ、何がなんでも。」 彼らにも聞こえていたらしい。彼らは私が秘密をバラすのでは、と疑っているのかもしれない。 『私だって、全て打ち明けて楽になりたい。』 さっき、瞳から生の光が消えたあの子のくろうばあに包丁を振り下ろしたばかりなのに、遠い昔のことのような気がする。 今でも残っている、 あの子を手にかけた感覚が。それは、砕いた黒曜石の断面を撫でるような滑らかさがあった。 ◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎ 全校生徒の九割が家に向かって足を進めている頃、嫌になる程のオレンジ色に塗り潰された空き教室に居た。 もしかしたら、地球は私のことが嫌いなのかもしれない。 私を含めた秘密の共有者達の密会の場は、どうしようもなく不安定な空気に支配されていた。 誰も視線が定まらず、空中に幻覚を漂わせていた。もちろん話が通じない。 「由里って美術部だろ?今何描いてるのかな。」 居るはずがない。そもそも私達が殺したんだから。 みんな精神的におかしくなっている。 「もう自首しようよ、ねえ!」 藍瑠くんの言いたいことはわかってる、でもそれはできない。 この子は、テストが近いのに何を言っているのだろうか。 今まで通りの日常が壊れる音が聞こえた気がした。 共犯のみんながいなくなって私だけになったら、向けられる視線に目を向けた。 窓の端に映った、あいつ。『いる。』 今まではあいつが視覚に入るたびに背筋が凍るようだったが、今は違う。 使える。あいつは、私のためになる。誰にも疑われない、私を守ってくれる「くろうばあないと様」。 今までとは違う意味で背筋が震えた。 ◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎ 家に帰った私は、鏡の前でメガネを取っておさげ髪を解いて溜息をついた。ひび割れた鏡が私を嗤っているような気がして、気が狂いそうだった。 日記の上を走るシャープペンシルをただ眺めるだけの時間が過ぎる。 『今日はいろんなことがありすぎた。とにかく、近いうちにあいつを使って完全犯罪を成し遂げないといけない、あの子が自首をする前に。できなかったら、最悪の場合死刑になると思う、たぶん。』 あ、そうだった。死刑制度の勉強しないといけないんだった。公民のテストに出るって、先生が言ってたし。 テストが近いの。だから、真面目でいたいの。 もっともっと勉強して、いい高校に入らないと。親に心配かけちゃう。 胸の奥底で燻る罪悪感の存在を遠目に眺めながら、参考書に手を伸ばした。 ちゃんと勉強しなくちゃ。 ◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎ 藍瑠くんが自首をするまでには、あまり時間がないようだった。以前よりも、様子が明らかにおかしい。 『最近、聞こえるんだよ、由里ちゃんの声が、さ。 僕と由里ちゃんって仲良かったでしょ?心配なんだ、由里ちゃんって寂しがり屋だから。』とあの子が言っていた。 由里ちゃんと藍瑠くんが仲良くしていた記憶はない。 そもそも由里ちゃんを殺そうとしたのは藍瑠くんだ。藍瑠くんは罪悪感からか、記憶が混濁している。 「そうだ、藍瑠(あいる)くんの味方をしよう。自首に賛成して仲良いふりをすれば、あいつは嫉妬で気がおかしくなるはず。」私は急いで完全犯罪の計画を立て始めた。 私は藍瑠君に「一緒に自首しよう。」と伝える事にした。 ただ藍瑠くんにべったり近づくだけでいい。そうすれば、あいつは嫉妬で藍瑠くんを殺してくれる。 私は不安と期待で胸がいっぱいだった。あいつに「助けて」を伝えれば、私のするべきことは終わる。 これで、呪われた私の人生を解放できる。 ◼︎◼︎◼︎◼︎ 『翠ちゃんは俺のことを信頼してる。俺は翠ちゃんのために藍瑠を殺す。俺にしかできない、俺だけしか翠ちゃんのことを守れない。翠ちゃんのことは俺が見ていた、ずっとずっと。ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと。』 私は藍瑠君を監視カメラの無い旧校舎に呼び出した。藍瑠君に指定した部屋は、旧校舎の講堂。無意識に由里ちゃんを殺した部屋を選んだ。 あいつには、窓からも見えないような場所に待機させている。 「藍瑠君、私と一緒に自首しない?」 「…いいの?」 疑うのは当然か。私は君の人生の終わりに立つ死神の役割を果たそうとしているけれど、でも確かに君の考えに心から賛成する。 私だって、楽になりたい。 「私は藍瑠君を助けたい。このままだと藍瑠君が精神的に限界を迎えそうで心配だったんだ。だから、君の意見に賛成した。罪を償おう、刑務所で。」口からは、流れるように嘘が出てくる。 私は逃げ切りたいから、君には死んでもらう。 「ありがとう、僕も罪を償、…がはっ。」 必死に息をしようともがく藍瑠君を見下ろしながら、無意識に上がってくる口角を意識して下げる。 炭素のかたまりが足元に転がる。 『さ・よ・う・な・ら』 完全犯罪ってこんなに簡単なんだあ。 私はテストをもっともっと頑張って上位の高校に進学するけど、君はこれで終わり。 でも、良かったね。 私は君に興味がないから残酷な事をしても辛くない。情が湧かないようにするのって、このためなんだね。 あいつはどうしよう。私のことを守ってくれる、くろうばあないと様はもういらない。 私が由里ちゃんを殺したことは、あいつしか知らない。 でも、あいつは勝手に消えてくれる。私の身代わりだから。 遠くから、赤い光が見える。こちらに真っ直ぐ近づいてくるのが分かる。 正義の網が、あいつという蜘蛛を捕らえに来た。 私は、あいつが捕まる瞬間を眺めるだけでいい。 裁判で、なんて証言しようかな。 浴床が僅かに濡れている事に気づいた。 水滴のある場所から上に真っ直ぐ手を沿わせると、目にたどり着いた。 『私、泣いてる?』 私が泣くような要素はあったのだろうか。 散々人を殺しておきながら、良心は死んでいなかったらしい。 人が息絶える姿を見て涙を流すだなんて、『文学ですね』。
復活報告
「雑談」を投稿してからどれくらい経ったのか覚えていませんが、そんなに経ってないはず。 改めまして、snowdropです。 結論から言うと、高校生になりました。 これから再び作品投稿するので、 本格的な復活を宣言させていただきます。 というわけで、 真面目な話はこれくらいでいいでしょう。 ボカロって最高じゃないか。 失礼、いきなりオタク全開な発言をしてしまいました。 話は変わって、 最近「いよわ」というボカロpさんの楽曲にハマって抜け出せなくなっております。 「いよわ」さんはボカロ好きの方だったらご存知のはず、有名ボカロpです。 「きゅうくらりん」はもちろん、「地球の裏」や「忘れモノ」などを無限ループする日が続いており、ボカロの2次創作小説を投稿しようと思います。
雑談
一カ月ぶりに小説投稿をしました。 見てくれた人いるかな? 今回の作品は、「秋」。時期的におかしいのは、ご愛嬌。和風ファンタジーです。ちなみに、狐っ子が登場します。 ケモノビトが好きな方、ぜひご一読ください。ついでに、フォローよろしく♪ 僕は中3なので、入試勉強が本格的に進めないとまずくなって来ちゃいました。 高校に入り次第、小説投稿を再開する予定です。
秋
一章 しゃんしゃん…… 遠くから鈴が転がるような音がする。 木々が擦れて、ざわつきが森全体を覆っていた。 「見つかるわけには…」足音を消し、私の気配を木の葉に馴染ませ、誤魔化す。 狐人特有の耳が目立っているように思えて、気が気でない。着物の裾が木に擦れて跡が付いた。 逃走を図ったが、追手は確実に私の動きを読んでいる。 足の動かし方に迷いがない。追手は武人だ。 さっきから嫌な汗が背を伝っている。先程の擦れた木が、私の逃走経路の証になる。 依頼に失敗した私はすでに用済み。 組織は私を捨て、次は、あらかじめ集めたストックを使うだけだろう。 着物の袖が風を切る。 二章 「見つけた。」 私の何かが終わった。 人生終了のお知らせは、こうやって分かるのか。 追手を素早く観察する。あまり時間をかけて相手を見ると、視線で意図を読み取られるおそれがあるからだ。 時に視線は命とりになる。 追手は、少年だった。 ケモノビトである私からすれば、珍しい人間だ。状況が違えば、きっと彼に興味本位で近づくだろう。 三章 「ごめん。」 何に謝られたのか分からなかった。 驚きで思考が停止したのは、ほんの一瞬だった。 「かはっ」 視界がぐらついて、息が詰まる。 無理やり視線を下に向ける。腹にナイフが生えていた。 ナイフの柄が震えて私の傷をえぐる、が、少年の両手がナイフを握って震えていた。 少年の目からこぼれた涙を拭って、目線を合わせた。 私は自分の手を見下ろす。 私の手は、少年の頭の上にある。そして、左右に動かして−−−自分の持つ全ての感覚が消えた。
彗星記「2」
この星は高度な文明が存在していた。 私を作った誰かもいたのだろう。私を生み出した博士は、私に名前を付けた。 ああ、私の名前、は、… なんでもない。私の名前が記されていた方がきっと、この手記を読みやすくなると思ったのだが、遠い記憶は欠陥機械如きでは覚えていられなかったようだ。 私を作った博士は少女だった。金髪のツインテールだったことを覚えている。 ぶかぶかの白衣が危なっかしくて、いつも博士を見てヒヤヒヤしていた。今、私を作ったあの人はどこか遠い星で呼吸を続けていると良いのだが。 また感傷に浸ってしまった。この手記は、私の感傷日記ではないというのに。 彗星の文明の破滅は、とある人間が私たちの彗星を訪れたことで始まった。きっと止められないことだったのだ。 彼女は、私たちの文明に更なる発展をもたらした。私のような人工知能の制作、魔導の発展、芸術の芽生え、などにおける始祖となった。 だが、彼女が持ち込んだのはそれだけではなかった。 新種のウイルスを彗星に持ち込んだのだ。 一瞬にしてウイルスが彗星内に広まり、人口が激減した。私はウイルスの消去に努めたが、とめどなく広がり続けるウイルスを食い止めることなどできるはずもなかった。