ゆうか
14 件の小説社畜の夜
猫が嫌い ブサイクでもブサカワ 生きてるだけで感謝され 失敗しても可愛いねと笑って済まされる 私はそうじゃない 明日が来てほしくない 画面の中の猫を見ながらそれでもきてしまう朝を迎えるしかない
拒食症
子供の頃からプリンセスが大好きだった 絵本の中にいるプリンセスは意地悪なお姉様やお母様からいじわるされても最後には王子様が迎えに来て華やかなお城で綺麗なドレスを来て踊ってる きっと私の人生もそうだと ーその時は信じて疑わなかった 「、、ホンギャーンヤー」 「元気な赤ちゃんが産まれましたよ可愛いですね〜」 「産まれてきてくれてありがとう 可愛い〜」 産まれてきただけで可愛いわ 小さい頃はよくそう言われていた 「ゆり組では麻依ちゃんが一番愛嬌があって可愛いわ〜」 幼稚園の先生もみんな可愛い、可愛いとチヤホヤしてくれた 「まいちゃんの洋服かわいい〜、どこのくつ?かわいい〜」 「麻依はほっぺがぷよぷよしてて可愛いわね〜」 「麻依はこのお腹がチャームポイントだな」 可愛い、可愛い、可愛い 可愛い、可愛い 中学生になってから可愛いが変わった 「〇〇ちゃんはまじ顔可愛い」 「〇〇ちゃんは肌白い〜」 「〇〇は細くて羨ましい」 顔、肌、体型 可愛いの基準は外見が強くなった小学生は顔なんて皆たいして見てなかった 「〇〇ちゃんってまじ目でかいよねー俺タイプだわ笑」 「あー笑分かる顔可愛い彼女欲しいわー」 「それな笑」 「えぇー俺は〇〇さんかな胸のデカさはクラス1だろ」 「お前キモ笑笑」 男子はみんな顔と胸そればっかり 高校に入ってから自分に対してたくさんのナイフが向いてることが嫌でも分かった 「麻依ってブスだよな笑」 「おい、やめろって聞こえるだろ笑」 「別に聞こえたっていいだろ」 「まぁでも分かるわデブだし近づきたくねぇ笑」 男子のそんな声がよく聞こえた 「麻依ちゃんはさー痩せたら絶対可愛いって」 「麻依ってさ、恥ずかしくないの?自分が」 「麻依って肌だけは綺麗だよねなんのケアしてんの?」 可愛い親友と並んで歩いていた時 「ねぇインスタ教えてよ」 声をかけられるのは親友(絵梨)だけ 私のほうに見向きもしない 1度くらい私のほうを見てくれったっていいのに でも絵梨はなにも悪くない 男の相談をされて虚しい事も、絵梨が褒められてる横でただ黙って話を聞く私もでも言えないそんなこと誰にも 悪いのは醜い私なんだ でも信じたかった 可愛い可愛いと言われてた私を 親や幼稚園の先生や小学生の友達を 白馬の王子様を 絵梨と絵梨の彼氏の二人の会話がかすかだけどこんな声が聞こえた 「絵梨ってなんであいつと仲良いの?よく近づけるね笑」 「あぁー笑引き立て役に決まってるじゃん」 「うわ最低ー笑」 「ハハハッ」 分かっていた 悪いの全部全部醜い自分で太ってる自分でブスな自分でそのくせ努力もしてない自分だ それなのになぜか帰り道涙が止まらなかった 白馬の王子様なんていなかった ーー私は醜い 大学生になった頃ダイエットやメイクを研究し始めた 好きでやっているわけではないけどどんどん綺麗になっていく自分や周りの反応が嬉しくて20kg痩せた 人生で初めて告白された 嬉しかった 今までの努力が報われた気がして。だけど少し胸がざわついた、私の努力で勝ち取った物だから 、 付き合った 彼は毎日大好き大好きと言ってくれた今まで私に刺さった矢はその人が全部抜いてくれた嬉しかったそんな彼の口癖は「どんな麻依ちゃんでも大好きだよ」だった 「太ってても?」 「もちろん!」 「すっぴんも?」 「当たり前じゃん!!」 「そっか!私もどんなあなたでも大好きだよ」 ほんとうの私でも認めてもらえるんだ!!私愛されてるんだ! それからは幸せ太りして30kgも増えただけど彼は私に「ちゃんと大好きだよ」と伝え続けてくれていた ーだけどある日 別れよう太り過ぎだよとLINEが入った どうして?、どうして、どんな私でも愛してくれるんでしょ?大好きなんでしょ、 もう一度彼にLINEをしたがその返事は今でも帰ってきてない そこから自暴自棄になったストレスで過食したさらに10kg増えたスーパーで買い物をしていた時 「ねぇ、あの人買いすぎじゃない?」 「うわ、ほんとだ パーティでもするのかな」 「いや笑一人で食べるんじゃない?」 「え?、あぁー確かに大食いのチャンピオンとかなのかな?、」 「そうかもね笑」 うるさい ピッ お会計は1万8650円 小銭をばら撒いてしまい拾おうとしたがお腹に蓄えた肉が邪魔で手こずった 「チッ早くしろよ」 「ねぇーあの人なんで遅いの?」 「シッ!聞こえちゃうわ」 そっとレジのほうを見ると まるで生ゴミを見ているような人間じゃない醜い生き物を見ているかのような視線が強く突き刺さった ー彼が抜いてくれた矢は再び私の心に突き刺さった 電車に乗った隣はかどなのに誰一人私の隣を座ろうとしなかった トイレに行った時ふと自分の姿を見るとあの頃の醜い自分が写っていた 帰り道買った食材も家にある食材も全部捨てた そうだ、痩せればもう一度あの時に戻ればきったまた彼が振り向いてくれる小銭を拾ってくれる隣の席に座ってくれる 一週間水と納豆三パックだけで生活したお腹の音は鳴り止まないけど食べる気にはなれなかった その生活を3ヶ月続けた 「いらっしゃいませー」店員さんは笑顔を向けてくれた 「えぇ!麻依?垢抜けたじゃん」 「すご!どうやってそんなに痩せたの?!教えてよぉ〜」 110kgだった私の体重は50kgまで減った メイクももっと力を入れた 「え!あの人可愛くね?」 「あの。この後お茶でもしません?」 「麻依さんって彼氏いるんすか?」 男が寄るようになった 「付き合ってください」 彼はイケメンで仕事もできたみんなの憧れの存在だった そんな彼から告白されるなんて夢にも思わなかった 付き合わなかった 怖かった太ってしまいそうで私なんか彼に釣り合わなくてまた矢を刺されそうでとても向き合えなかった いらっしゃいませー 「あの、いつも来てますよね?」 「え?あ、はい」 周3で通うカフェで声をかけてきたのは私より二つ年下の祐樹(ゆうき)君という人だった 男の人は嫌いになった 外見が変わるだけでコロコロと手のひらを返すから だけど彼は太っていた頃の写真を見せても笑ったり、嫌悪の目で見たりしなかった 「とんでもない努力したんですね」とだけ。 彼はなんだか安心した そばにいるだけで。 初めてこの人と一緒にいたいと思った 人生で初めて告白した 彼は照れながらokしてくれた 幸せな時間だった だけどやっぱり不安が頭をよぎる あの時のことが、 さらにダイエットをした30kgになった 彼は 「流石に痩せすぎた、心配だよ」と 美味しそうな料理を作ってくれた 「太っている君のはうがよかったよ、俺のために食べてくれない?」 ーガシャーーン 彼が作った料理を皿ごとに床に吹っ飛ばした 「やめてよ、、勝手なことばかり言わないで!私のなにを知ってるの?私の苦しみのっ、何を知ってんだよ!! 散々痩せろ、デブ、近づきたくない、ブス、引き立て役って言ってきたくせに痩せたら痩せすぎ?食べろ?、ふざけんなよっ!!」 「そっか、ごめんね、なにも知らなくて。知りたいと俺は思うだけどやっぱり嫌なんだ好きな人の体がどんどん骨みたいにになっていくのを見たくないっ」 「ッ!、」 彼は料理を吹き飛ばした事も勝手なことを言っても暴言を吐いても怒らなかった 涙が溢れた この人を失いたくないと思った だから彼が作ってくれた料理だけは食べることにしたそれをみている彼はにこやかだった彼が嬉しいと私も嬉しい だけどそのあとは決まってる彼にこっそりトイレで全部吐いていた 骨が出てくるようになってどんどん私の体は綺麗になっていった 脂肪のない体は美しいと思った 久しぶりに家に帰ると死んじゃうよ!食べて!となにがあっても私の味方だった両親が鬼の形相で叱ってきた どうして?、 健康診断に行った 「このままでは命に危険が及びます」 それでも構わない だけどついに彼にバレてしまった (麻依ちゃんが最近ご飯を食べてくれるようになったのにどうして痩せていくのか、、麻衣ちゃん俺の料理吐いてるよね?、」 「は、吐いてないよ!?、」 「なんで?どうしてそこまでして、そのままでも充分きれっ、」 「黙って!!、私の努力を否定するの?、私は綺麗なの!!」 「綺麗じゃない、全然綺麗じゃないよ!」 「、!!」 「まるで骸骨だ!!」 涙が止まらなかった痩せてからこんな思いをするなんて 「これ以上、前みたいに醜くなんかっ、!!なりたくないっ、」 そう言って家を飛び出した 一瞬だけ見えた彼の顔は泣きそうなような驚きのような顔だった気がする 真夏の夜はとても走れるような気温ではなかったし少し走っただけで息切れがした前はもっと走れてた気がした ふと窓ガラスに反射した自分はまるで骸骨だった ー私はどうすればよかったの 今の私を嘲笑うかのように黄金色に輝いた満月が私は照らした
まだ人生残ってますよ
人生はいくらでもやり直せる。 そんなの本人次第であって誰でも該当するわけでもなければどん底から這い上がる時、簡単に這い上がってこれるわけでもない。 またそこから道をはずれてしまう人だっている毎日が不安で仕方がない。泣くことすら怖い なにかを始めるのにもあの過去がフラッシュバックするたびにおじけづいてしまう、疲れてしまう、もっと不安になる。 どうすればいい?やらなきゃ。 そう考えながら結局TikTok やlnstagramやYouTubeの動画をスクロールする無駄な時間を過ごすだけ。不安だけどできないやれない、 やったけどうまくいかない。 常に感情の波があってできるときとできないときの差が激しいからもっとしんどい やれるけどできない。 だけどそういう不安が少しずつ成長してると思う。こんなにどん底で考える時間がなければ一生自分自身なにがいけなかったのかわからないまま大人になっていたかもしれない、あの時 ああいうべきだった、こうするべきだった そういう後悔や負の体験が人を大人にするんだと思う、とわいえ一度逃げると意外と戻るのは難しいでもこれは間違いではない。 人生に間違いなんてない だって生きているから 夜なんとなく眠りたくないなと思ってYouTube で音楽を流していた時にこんなコメントがありました。 【娘に薦められてきいています。若くてみんな色々なことを抱えられて生きていると思いますが自分の気持ちに素直になって生きてください大丈夫。やり直しはいくらでもきくから。】 正直今すぐに辛い状況が変わるわけではないしすぐに動けるわけでもこの不安がなくなるわけでもない でもなんとなく なんとかなると思いました 結局人生はなんとかなります 自分は一生このままかもしれない、社会のばすれものかもしれない、生きてる価値がないかもしれない。 だからこそ自分にとってほんとに小さなことをやってみてほしいです。なんでもいいんです。 ほんの少しの頑張りはなんらかの形で自分に返ってくると信じてやるしかないんです。 つまり人生はなんとかなります 生きてさえいればなんとかなります かっこよく死ぬんじゃなくてダサくても生きてください 10年20年人生で一番長く付き合っていくのが自分なんです 今あーだこーだ言ってくる人は1年後、10年後、、自分の隣にいて死ぬまでその人が自分の面倒をみてくれますか? 自分の気持ちにしたがってください
ESFJになりたい
mbtiをやるたびに仲介者と冒険家をいききしてきます。 なぜ二つのmbtiをいききしてしまうんだろ、そんなに性格が毎度変わってるわけじゃないのにと思いました でもよく考えたら私は人によって性格が変わる人でその人が笑ってくれたり、好感をもってくれた言動や行動を無意識によせています この二つのmbtiは人に合わせる、空気を読むなど相手主流のコミニケーションをとることが多いmbtiだと思うので(個人の意見)逆に我があんまりなくて常に相手主流なので性格が定まらずにコロコロ変わってしまうのかなと思いました。
差し違えるな、持久戦だ。
人生は長い長いマラソンで持久戦だ。 だけど多くの人が自分のペースではなく相手、みんなのペースに合わせようとする。 早くみんなに追いつかないと。 みんなの後ろ姿が遠くなっていくと、とても焦る。 追いつかなきゃ追いつかなきゃ追いつかなきゃ みんなから一度離れてしまった足でもう一度ギアを上げる。 しかしどうだろう? 疲れきった足でハイペースのみんなに追いつこうとすればするほど苦しくなる。 一瞬近づけてもまたすぐ距離が空く。 息切れが激しくなる。 必要なのはみんなに追いつくことではない。 一度、休憩をはさみまた走り出すことが重要なのだ。 もしこの話を読んでいる君が今そういう状況ならこの判断はとても賢い。 しかし、それでも走るのやめなかったら? 足がつる。痛む。呼吸するのも苦しくなる。精神的にもキツくなる。 どんどん皆んなが遠ざかっていく。 力を振り絞りもう一度ギアを上げた。 大転倒した。 小さな石に引っかかったのだ。 足の所々から血が吹き出し、足を挫いた。 最後の力で必死に起きあがろうとする。 だけどすでに足は限界だと悲鳴を上げ、精神的にも起き上がれなくなった そうなってしまったらもう一度走り続けるために時間がかかる。 最悪走ることができなくなってしまうのだ。
味気ない毎日
毎朝、睡魔と戦って無理やり体を起こす。 毎朝、顔を洗う。 毎朝、朝ごはんを食べる。 毎朝、歯を磨く。 毎朝、服を着替える。 毎朝、太陽を浴びる。 なんて味気ない毎日なんだ。 大学生の俺は期待していた。 環境が変わればなにか楽しい事が起きるかもしれない。 だが、何一つ変わらない。 ゆういつ変わったのはバイトして必死に貯めた金を生活費に注ぎ込むことだけだ。昨日スーパーで卵を買おうとしたとき俺は300百円とかかれた値札としばらく見つめ合ったあと、震えた手でかごにいれた。 毎日がeverydayだというのはまさにこういうことだ。 ー数ヶ月たち蝉(せみ)の声が聞こえてくるようになった。そろそろ俺も就職しなければ。そう思いながら一匹の蝉が目に止まった。必死になって声を出し、鳴いている。 蝉はなぜあんなに鳴くのだろう?鳴く事に意味はあるのだろうか?鳴く事で体力をすり減らし命を短くしているように見える。 アホくさい とけかけのアイスを片手に俺はそう小さく呟いた。 ーまるで裸になったような木々の枝に桃色の花がついてきた頃俺は社会人になった。 社会人になればきっとなにか変わるそう信じていた。 ー朝、カーテンの隙間から差し込む光で俺は目を覚ました。 テレビをつけると天気予報をやっていた。 今日の気温は40°近く上がると。 俺はまたベットに入った。 今日は8月22日、水曜日。 本来なら睡魔と戦いながら無理やり体を起こし 暑苦しいスーツという鎧を着て地獄という名の会社に出勤しなければならない。 だが、今の俺には 毎朝、顔を洗う事も 毎朝、朝ごはんを食べることも 毎朝、歯を磨く事もできない。 半年前に鬱病と診断された俺はそんな味気ない毎日がeverydayなんて言うことはできなくなってしまった。 社会とは甘くなかった。 俺は楽しい事が待っていると期待し、本気で信じていたのだ。 自分の期待と違っていた時俺はひどく絶望した。 涙が止まらなかった。 どうして泣いてしまったのかは今でもわからない。 ただ声をあげて必死に泣いた。 ふと鏡に映った自分を見た時、俺は アホくさい そう小さく呟いた。 こんなことならいっそ前の生活のほうがよかった。 味気ない?なんて幸せなことだろう。 もし願いが叶うならバイトの金を生活費につぎ込み300円と書かれた卵に震えながら手を伸ばしていた日々に戻りたい。 どうして人は過去に縋り、未来に期待してまうのだろうか? そうしてしまうからこそ人は弱い、脆い、醜いのだ。 だが、分かっていてもそうしてしまうのが人間なのだと。 俺は五階の屋上に続く長い長い階段を必死に這い上りだいぶ衰えた腕の力で柵を登った。 ー数日後 二十三歳の男性が自宅の五回建てアパートから飛び降り自殺したと報じられた。
人生の一曲
【前半】 雨上がりの夕暮れ、こうはふとした瞬間に見知らぬ路地に足を踏み入れた。 「こんなところに、道あったっけ?」 細い石畳の先に、小さな古びた看板が揺れている。 『音の記憶屋』—不思議な名前の店。 扉を開けると、そこには年齢も人種も性別もバラバラな客たちが静かにCDを手に取っていた。 店長は普通のおじさん。 だが彼は、訪れる誰もが今必要としている「人生の一曲」を見つけ出す、不思議な力を持っていた。 こうは半信半疑で棚の前に立った。 店内の空気は重くも軽くもなく、どこか懐かしい匂いがした。 やがてこうは一枚のCDがひときわ輝やいてるのが目に入った。 まるで手に取れと言わんばかりに。 そしてそのCDから流れ出した音楽は、こうの胸の奥深くをそっと震わせた。 それは、これまで気づかなかった自分の心の声だった。 「ここは、ただの店じゃない。」 こうはそう思った。 こうはCDプレイヤーにディスクをそっと入れた。 静かなメロディが部屋中に広がる。 その音は、まるで彼の心の奥底に隠れていた感情をそっと撫でるようだった。 「何だこれ…」 思わず息をのんだ。 その時、隣の棚から柔らかな声が聞こえた。 「初めての客かい?」 振り返ると、店長がにこやかに立っていた。 「そうです。こんな場所があるなんて、全然知らなくて…」 こうは正直に答えた。 店長は微笑みながら言った。 「この店は、必要な時に必要な人が辿り着く場所なんだよ。ここで君が輝くCDを見つけたらそれが君の人生を表した代表曲さ」 こうはその言葉に戸惑いながらも、胸の奥が少しだけ軽くなるのを感じていた。 店内には、涙を流す女性、目を閉じて音楽に身を任せる老人、そして静かに微笑む少年。 それぞれが自分の 【代表曲】 と向き合っていた。 こうは小さな声でつぶやいた。 「ー僕にも、そんな曲があるんだろうか…」
取り返しのつかない間違い
声を高くして、話し方を可愛く。 動きはゆっくり、変なことはしない。 そんな風に“かわいい自分”を作ってた。 好きな人が、それを見て好きになってくれた。 でもそれは、本当のわたしじゃなかった。 息が詰まるような、苦しい秘密みたいだった。 ある日、もう我慢できなくなって、自分をさらけ出した。 本音を話し、声のトーンも自然に戻した。 でも、周りからは「ぶりっ子だってばれてるよ」 とか、「変わったね」と言われて、友達は距離を置き始めた。クラスのみんなも冷たくなった陰で悪口を言われるようになった。 好きな人にも言われた。 「もう、前みたいに好きじゃない」 胸がギュッと締めつけられた。 ほんとの私を好きになってくれる人なんていなかった 思えば両親にも対しても常にいい子でいた。 強くなりなさい、 すぐ泣かない、 そんなことで悩まない。 私は自分がダメな人間なのだと気づいた。 それ以来二人に悩みを打ち明けることはなくなった。 二人の前で泣かなくなった 泣く時はトイレかお風呂。 二人に〇〇は強いからねと言われるようになった。 でも、今のみんなは私の 【ほんと】 を受け入れてくれるかもと。 幸せな気持ちになった。 帰り道、窓ガラスに映る自分を見て、つぶやいた。 ーあぁ、間違えた
顔面至上主義
二学期の初日。 夏休みの間に、少しだけ見た目を整えた。髪を切って、軽くメイクも覚えた。 朝、教室に入ったとき、男子が一瞬こっちを見て笑った。 ヒソヒソでもなく、はっきりでもなく。 ただ、笑った。 それだけで、全部バレた気がした。 「無理してるな」とか 「誰に見せたいんだよ」とか 「似合ってないのに」とか。 何も言われてないのに、勝手に頭の中で声が聞こえる。 席について、何事もなかったふりをして、筆箱を開けた。 手が少し震えてた。 昼休み、スマホを見たら、誰かのストーリーに教室の隠し撮り。 ピースしてるさくらの奥に、わたしが映っていた。 コメントに、「あれ誰?」って。 誰も、返事してなかった。 帰り道、駅のガラスに映る自分の顔を見て、そっと髪をほどいた。 風がふいて、前髪がぐちゃぐちゃになった。 でももう、直す気になれなかった。
【秋がきた】
秋が、山を降りてきた。 冷たい風をまとって、森をくすませ、空を澄ませて。 草は少しずつ色を落とし、虫たちは声を低くする。 田んぼは金色になり、柿の実が静かにふくらんでいく。 秋は言葉を使わない。 でも、どこにいても気配だけははっきりわかる。 窓を開ければ、あの匂い。 少し冷たくて、どこか懐かしい。 秋は、人を急かさない。 ただ、静かにそばにいる。 気づけば、夏がいなくなっていた。