叶飛
20 件の小説嘘と人
この世は所詮、嘘でできている。 人間は皆、嘘の塊。 嘘の人間が嘘を創り嘘を吐くことで嘘に依存させる。 そしてまた誰かが嘘を創り嘘を吐き嘘に依存させる。 一度嘘に依存したら決して戻って来れない。 いや、嘘に依存しない道なんて無い。 生まれながらに嘘を持ち、その嘘を吐き続け、依存し依存され。 嘘の人間は生きていく。 嘘人間は嘘を嘘で隠し魅了させる。 友情も恩情も所詮は都合のいい嘘。 仮にこの噓に依存し信じた者が、 裏切られた時。 信じた者は 壊れ、崩れ、嘆く。 これは嘘の世界。 その人には不必要なのだ。 嘘に依存し信じた者が、 裏切られた時。 信じた者は 壊れ、崩れ、嘆く││││。 そんなものなど関係ない。 依存し信じ続けている限り、 その人にとって、 嘘の世界は真実の世界となる。 例え、周りが嘘だと言っても。 社会的に間違っていたとしても…。 真実の世界は存在する。 自分の中だけに。
女の子なんだから
女の子なんだから、礼儀正しくいなさい。 女の子なんだから、そんな言葉遣いをしないで下さい。 女の子なんだから、足を閉じて座りなさい。 女の子なんだから、胡坐をしないで下さい。 女の子なんだから、がに股で歩かないで下さい。 女の子なんだから、可愛くいなさい。 女の子なんだから、髪を伸ばしなさい。 女の子なんだから、スカートを履きなさい。 女の子なんだから、女の子らしく生きなさい。 女の子なんだから… 女の子なんだから… 女の子なんだから│││ 女だから、なんだ。
一通の手紙
『僕は昔からあらゆる事から逃げてきた。 嫌なことがあったから部屋に引き籠もった。 バイトがしんどかったからばっくれた。 学校というものが辛かったから不登校になった。 みんなからは 「甘えすぎ」 「こっちだって辛い」 なんて言葉を言われた。 でも僕は逃げて正解だと思った。 辛いなら逃げればいいのに、 嫌なら辞めればいいのに、 なぜ命を削ってまでやるのか。 逃げ場が無い訳ではないのに、 なぜその場にいるのか。 僕には分からなかった。 僕は逃げて生きてきたから。 逃げる勇気が無いのなら、 誰かに助けてもらえばいい。 助けてくれる人は必ずどこかにいる。 僕は独りじゃなにもできない。 だから助けてもらった。 助けを求めることは、 決して恥ずかしいことなんかじゃない。 ダサくなんてない。 弱虫でもなんでも無い。 これは1つのSOS。 だから死を選ぶ前に 誰かに助けを求めて欲しい。 君は独りじゃないよ。』 一通の手紙がポストに入っていた。
その理由は理由じゃない
『この小説はなぜ好きなの?』 僕はこの質問に答えられなかった。 この小説は好きだけど どこが、どのように好きなのかなんてさっぱり分からない。 そう、好きな理由が分からないのだ。 正確には分かっているが分からない。 好きになったモノが好き。 僕の心はパズルで出来ている。 僕という1人の人間に 小説というパズルのピースが 上手く嵌まる。 これで「好き」という感情が生まれた。 どこが好きかなんてない。 どのように好きかなんてない。 偶々ピッタリ嵌まっただけ。 それが好きな理由だ。 だかこの理由は理由にならないらしい。 だから分からない。 これが理由でなければ他に何がある。 根拠がなければ理由にならないのか。 僕の心のパズルには根拠があるのか。 そもそも理由とはなにか。 根拠とはなにか。 結局最後に残ったのは 上手く嵌まらなかったピースだけ。
凄さなんて1㎜もない
僕はよく小説を書いている。 中学生の時から小説に目覚め、 今では高校生唯一の小説家だ。 大して有名ではないが、 一応、本を出版している。 「自殺が合法化された世界」 「翼を託せ」 などSFの世界を小説にしている。 と言うかSFの世界しか書けないのだ。 話を戻すが、 僕は今、高校生だから 勿論学校に通ってる。 普通の高校生として生活しつつ、 小説家の名を持っている。 隠すつもりはないが、何となくバレたくなかった。 だが僕の小説を知っている人もいるようで、 入学早々その人にバレた。 なんせ本名でやっているもんだから。 そこから月日が流れ、 学校のほとんどの人に知られてしまった。 隠すつもりはないので本当の事を話した。 そして今の僕に至る。 僕が「小説家」と言うことを伝えると、 みんな声を揃えて、 『すごーい!』 と言う。必ず。 だが僕は僕を凄いとは思わない。 だって僕にとって小説を書ける事は 普通なのだ。 だから何も凄くない。 寧ろみんなの方が凄いのだ。 普通に言葉を交わすことができているから。 僕は僕の声を知らないし、 勿論言葉なんて交わせない。 僕は耳が聞こえない。 だから紙に言葉を書く。 それしかできないのだ。 だから僕は凄くない。 だからみんな凄いのだ。 凄さの形が違うだけ。
いつからだろう
いつからだろう 勉強が無駄だと感じたのは いつからだろう 歩くのがダルいと感じたのは いつからだろう 何処にも行きたくなくなったのは いつからだろう 努力しなくなったのは いつからだろう 死にたくなったのは いつからだろう 全て諦めたのは いつからだろう なんとなく生きてるのは 『失敗は成功のもと』 『努力は報われる』 失敗なんて失敗のまま 努力なんて報われない 夢も希望も全て 環境によって壊された 人によって壊された 夢なんか持つから傷付くんだ 希望なんか持つから失望するんだ 端っから持たなければ失うモノは何もない 持った時点でいつしか後悔し崩れる ずっと分かっているのに ずっと後悔してるのに でも いつからだろう 望むようになったのは
人は何故怒るのか
先生に怒られた 先輩に怒られた 友達に怒られた 親に怒られた 怒る理由なんて沢山ある 約束を守らなかった 態度が悪かった 他人を泣かせた 皿を割った 誰かが怒る理由は 誰かが悪いことをしたからだ 悪いことをした人が怒られるべきだ そう決めつけた 別に怒らなくたっていいことだってある 怒る事が全てじゃない 怒る=注意 って訳でもない 寧ろその考えこそが間違ってる 注意なんて怒って言う必要がない きっとみんな怒ってストレス発散してるんだ 自分の思うように行かなかったから 自分の言った通りにしなかったから 自分の計画を狂わせたから 世界は自分中心に回っている みんな自己中心的で何も考えていない 少し話がずれるがみんなにも考えて欲しい事がある これから2つの問題を出す 誰が怒られるか考えてくれ ①Aさんは悪ふざけでBさんを叩いた。 Bさんは大泣きした。 ②AさんとBさんは鬼ごっこをしていた。 AさんがBさんを追いかけていると Bさんが転んで怪我をしまった。 さて①と②誰が怒られるか もし先生なら①②ともにAさんを怒るとだろう 何故なら片方は泣かせたから もう片方は怪我をさせたから でもよく考えて欲しい ①の方はAさんが意図的にやったこと だが②の方に関してはAさんが意図的にやった事ではない 怪我をしたBさんの注意不足だ それなのに何方ともAさんが怒られる事になる 仮にAさんを怒った故にAさんが泣いてしまったとする 悪いのは誰か それは怒った人だ では怒って他人を泣かせた人は誰に怒られるか 答えは誰にも怒られない。だ 怒った人が正しいとみんな思ってるから 怒った人は誰にも怒られない 例え他人を泣かせても つまり怒ると言うことは注意ではなくその人のストレス発散でしかない みんな自己中心的で何も考えていないから それに気付いていないだけ 人が怒る理由はこれだ
次は何をしよう
私はよく挑戦をする 出来なくてもやる 寧ろ出来ないからやるのかもしれない 先ずは興味なんてなかった ピアノに挑戦した 一度、両手で弾いてみたくて なんとなくカノンに挑戦した 難しいと思っていたが そうでもなかった 慣れてしまえば直ぐに出来た ピアノに飽きてしまい 次は模写に挑戦した やり方なんて分からなかった 取り敢えず適当に 形を書いて 色を塗った 鉛筆だけで光を再現するのは 難しかったけど 上手く出来たと思う これも飽きた さて次は 飽きた じゃあ次 飽きた 沢山挑戦をした 思いつく限り でも直ぐに飽きてしまった 今まで気づかなかった いや、気づかないふりをしていた 今思うと 沢山挑戦してはいるが 長続きはしなかった ただただ時間が無駄だった 全て挑戦して 全て中途半端 得たものなんて 何もなかった 何か長続きするものはないか そう考えながら 今も無駄な時間を過ごしている さぁ 次は何をしよう
この状態で、もう一度
突然ですが、いくつか質問してもよろしいでしょうか? はい、いいですよ あなたは今働いていますか? はい、先生として働いています あなたに恋人はいますか? 今は、いません いつか素敵な人に出会いたいです あなたは恋人がいたことはありますか? はい、過去に2人、 告ってきたのに1ヶ月で振られましたが 失礼なことを聞きますが、 それはいつ頃でしょうか? 10年ほど前ですね あの頃に戻りたいですか? はい、今すぐにでも戻りたいです やっぱり恋人とは別れたくなかったですか? いいえ、別れて正解でした 2人とも自分勝手な人だったので ではなぜあの頃に戻りたいのですか? もう一度、やり直したいからです 学生時代を、この状態で この状態とはどういうことでしょうか? ウイルスがない今の時代でですか? いいえ、違います ウイルスは、あまり関係ありません そうですか。よく分かりませんが、 最後にもう一つよろしいでしょうか? はい、いいですよ あなたが今、叶うのならば叶えたい 願い事はなんですか? それは、学生時代に戻ることです この状態で 男の姿のままで、もう一度
僕はヒーロー
僕はいつも誰かを助けている 鉛筆を貸したり 物を拾ったり そんなちっぽけな事じゃない 強盗を押さえつけたり ひったくりを取っ捕まえたり 事故に遭いそうな人を助けたり そんな事をしている それは各地で色々な事が起こる 僕はそういう人達を 1人も逃したことがない そして助けられなかった人などいない なぜなら僕には 未来が見える能力 瞬間移動が出来る能力 物を操る能力 更に例え死ぬような事をされても 無傷でいられる いわゆる不死身と言われる能力 これらを持っているからだ 僕に勝てる人などいない 「じゃあ、、、、んで、、、」 そういえば昨日も今日も 色々な人を助けた トラックに轢かれそうな人 火事に巻き込まれてる人 次はどんな人が助けを 求めるのだろうか 「おーい、、えて、、か?、、」 ん?なんか助け…?を求める声がする 助けなのか?分からないが 声が聞こえる 近くからだ 僕の名前…?呼んでる…? 前方から聞こえるぞ 「おーい、田中、聞こえてるか?」 「はっ、はい!聞こえてます!」 「また妄想してたのかー?」 「は、はい…すいません…」 「だろうな」 「じゃあここから田中読んでー」 「はい、分かりました…」 先生だった