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6 件の小説春のまどろみに殺されたい
春の訪れ 花は咲き誇り 養分となった私は枯れていく 母よ あなたの羊水で溺れ死にたかった 両腕に抱かれて産声をあげたとき あなたのその眼差しの温度を 知らずに生きていきたかった 空き缶を蹴るような日々に嫌気が差した 空っぽで無意味で無価値な邪魔者 使い捨てのゴミだった なんの価値もない私だった 当然なんの価値も生み出せないまま時間が過ぎた そしてまた時間が過ぎていく 春よ 私の憎しみを育てる春よ 暖かい無情の優しさでもって 私を絞め殺してくれないか
あなたはどこにもいない
眠る夜に 頬を撫でて 閉じたまぶたの雫をすくって 額に優しくキスをして 私はベッドの上で透明なあなたを待っている
2月の詩
「さくら」 さくらさくら、白き息も、貴女を乞い願う 「踊り子」 海に舞うは 赤きドレスの踊り子 緋より赤し青より悲し 誰が為に踊るか 「夕暮れ」 悠々と 微睡に打つ 黄昏の 忙しき音を 聞きつ眠りに 「月がきれい」 月を食べてしまえば あなたがきれいと言うのは 私だけになるかしら 「人間」 人の世にて 人ならざりけり まこと人の様にて 人と疑わざりけり 涙飲む痛みとて 人の如し 「桜並木」 降りしきるは桜雨 夢うつつとて 心震えるは まことなり
ステップを踏んでワントゥースリー
木の葉を浴びて、陽だまりと踊ろう 風と歩き、大地にキスを送る くるくると回って跳ねて木々に挨拶を ああ、太陽も空も雲もそんなに遠くにいないで私のもとへおいで 私と踊ろう 私と遊ぼう わん、とぅー、すりー わん、とぅー、すりー みんなみんな、私のもとへおいで 手をつないでハグをして 友達になろう
フレンド
高校生の頃、私は引きこもりでした。中学から不登校で通信制の高校に入学しました。やる事は月に一度のスクーリングと郵送でのレポートの提出、これだけです。暇を持て余した私はスマホで面白そうなゲームを探してはしばらくして飽き、また別のゲームを始めては飽きるということを繰り返していました。そんな時、あるゲームを見つけそこであるフレンドができました。 初心者ではあったけれど、もともとゲーム好きですぐにシステムや世界観を理解したため特に困っていませんでした。より効率よく通貨を集められないかずっと同じエリアを徘徊していたため、その人は私を道に迷った初心者だと思いフレンドになって道案内をしてくれたのです。その親切さと優しさに惹かれてその人の名前を「師匠」にしていました。 その後しばらくは、その人とは会いませんでした。ログインが被っても当時の私はほとんど他のプレイヤーに興味がなく、また他のプレイヤーも私には興味ないと思っていたのでチャットすらしませんでした。 けれど、ある時、その人とサーバーが被ったのです。私は戸惑いつつもその人に挨拶しました。するとその人はデイリークエストに連れて行ってくれたのです。私の知らない道を通って、私の知らない技術で、あっという間にデイリーを終わらせたのです。私は感動してしまってその人と同じようにできないかその後に何度もひとりで練習し、動画やサイトを見漁って学びました。 また、一緒にデイリーをして以来、私はその人の技術を盗むために毎日のようにその人を待ちその人に話しかけました。ここからはフレンドと呼びましょう。フレンドは一切面倒くさがることなく私をデイリーに連れていき、その後の通貨集めもキャリーしてくれました。 私達はいつも深夜にログインし、大抵は3時ぐらい、時々明け方まで遊んでいました。 日々の雑談のチャットで分かったのは、フレンドは女性で私より1つ年上の中国人であること。フレンドはずっと翻訳を使って日本語で話してくれていました。 本当に毎日、深夜から3時間または5時間以上遊ぶ日々でした。 社会人になった今は流石に毎日は無理ですが、月に数回一緒に遊んでいます。当時のゲームも未だに遊んでいますが他のゲームにフレンドを誘ったり誘われたりして一緒に遊んでいます。 引きこもりの私が、このままじゃだめだと気付き高校卒業後なんの宛もないのに親に頼み込んで一人暮らしを始める勇気を持てたのはフレンドのおかげです。 プライベートの話なんかは滅多にしませんが、フレンドと一緒にいるならまともな人にならないといけないという思いが強くなり、今では何があってもフレンドがいるという安心感になっています。 学生時代にフレンドと出会ってから5年が経ちました。この間、フレンドから「実際にあなたにあげれたら良いのに」と雪で作られた氷の花の写真が送られてきました。本当にかけがえの無いフレンドです。ここ数年は誕生日プレゼントを送り合っています。私の人生を変えてくれて、世界を彩ってくれた人です。これからもずっと一緒に遊べることを願っています。
まるまる 水玉はこんなにも丸いのに
空は涙模様 水玉の地面を跳ねて 私の中に飛び込んでくる 滲んだ世界は重たくて しっとりと肌につく空気に 騒々しい車の音が不協和音として突き刺さっている ざくりざくり 地面に水玉を刺して車が走り去っていく 窓を閉じたのに まだ空気に不協和音が浮かんでいる 世界の泣き声はこんなにもうるさい 泣かないで泣かないで だれもあなたを救えやしないのだから ああ そんなことを言っていたら 涙は土砂降りになってしまった 泣かないで泣かないで 私は何もできないの 泣かないで泣かないで