ソライロ
4 件の小説初恋とお餅
あなたと初めてあった時、あなたは二十二で、私は十五で。 お姉ちゃんが彼氏として家に連れてきた時、一目で堕ちてしまったの。 料理が得意で、お正月に親戚から送られて大量に余ったお餅で、美味しい料理を振舞ってくれた。 私たちが褒めると少し照れくさそうにはにかんで見せた。 可愛いなぁ。好きだなぁ。叶わないなぁ。 あれから二人が結婚して、私は初めて会った時のあなたと同じ二十二歳になったよ。 もう初恋の人とは呼んでは行けない、お姉ちゃんの旦那さん。お義兄さん。 そんなことを思いながら作っているこれをあなたは覚えているかな。 「できたよ、お姉ちゃん達。冷めちゃうから早く食べて。」
SNS
SNSが好きだ 自分のコメントや写真を見ている人たちは大体が顔も名前も知らないから、なに言ってもいいってわけじゃないけど 現実世界よりも、ずっと意見が言いやすい。 相手の顔が見えてないのも理由にあると思うけど。 それに、灰色に見える世界で、ネットの世界だけはカラフルなんだ 好きなアーティスト 好きな音楽 好きな動画 たくさんの好きが詰まってる 現実では、授業だの、就活だの、政治家の汚職だの 憂鬱ばかり だから、今日も ネットの海に溺れよう
チューインガム
少し肌寒い、春の日。 僕は、噴水の縁に座っている、ガムを噛む彼女の横顔をみている。 味がなくなってきたのか、少しずつ顔が渋くなっていく。 「ガム、出したいから、見ないでくれる?」 君がいう。 君から目を逸らし、少し待っていると、「もういいよ」と、言った。 君の方を見ると、さっきまで口の中にあったものが、君が持っている、ガムの包み紙の中にあることがわかる。 「ちょっと捨ててくるね」 君はそう言うと、近くにあったゴミ箱に捨てに行った。 戻ってくると、「そろそろ、カフェの中にでも、入らない?寒いし」と聞いた。 確かに、君に夢中であまり気にしていなかったが寒い。 だが、移動する前にやることがある。 「そうだね。あそこのカフェオシャレだったから行かない?」 「うん!」 君と 君の“彼氏”が場所を移動する。 僕は急いで、噴水“近く”のベンチから立ち上がり、さっき、あの子が捨てたガムの包み紙を取りに行った。 彼女の、バックの中の盗聴器とつながるイヤホンからは、彼女とその彼氏の他愛もない会話と笑い声が聞こえる。 彼女は、僕のこの“愛”を伝える前に、他の男と付き合ってしまった。 彼女はなにも悪くない。 僕は、彼女を“見守った”り、他の虫を“排除”していただけで、告白、ましてや会話したことすらない。 だから、他の男と付き合ってしまうのは仕方がない。 そして、彼女には幸せになって欲しいから、 最近、彼女を不安にさせていた、ストーカーを僕が探し出す。 彼女が愛している彼氏を危険には晒せないからね_____
真似してばっか
子供の頃から真似してばっかだった 嫌われたくないから 人気になりたいから 面白いやつだと思われたいから 真似をすると地味な自分がちょっとだけ“いいもの”になれた気がするから