キヨ

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キヨ

キヨです!小説読むのも作るのも好きです!よろしくお願いします♪

Day3

朝のホームルームまで、あと十分。 教室には友達と話す声が響き、あちこちで笑い声が聞こえていた。 琥珀は席に着いて、小さく深呼吸をする。 (今日は……) 一之瀬君に書かれた言葉が頭をよぎる。 『昨日の笑顔、すごく素敵だった。』 思い出すだけで顔が熱くなる。 すると。 「あ、おはよう!」 いつもの明るい声。 薫が席から手を振っていた。 琥珀は少し驚きながらも、小さく笑って返す。 「……おはよう」 昨日よりも自然に言えた。 「おっ」 薫が少し目を丸くする。 「今日は笑ってる」 「えっ?」 「昨日より緊張してない」 その言葉に、琥珀は照れくさそうに目を伏せた。 「……少しだけ」 「その調子」 薫はにこっと笑う。 その笑顔に釣られて、琥珀もまた小さく笑った。 一時間目が終わる休み時間。 「一之瀬!」 男子たちが薫の机へ集まってくる。 「昼休みサッカーな!」 「もちろん」 あっという間に囲まれてしまった。 (やっぱり人気者なんだ) 琥珀はそう思いながら窓の外を見る。 すると、 「立花さん」 名前を呼ばれ振り返る。 薫だった。 「これ」 机の上に本が置かれる。 「図書室で借りたんだけど、面白かったよ」 表紙を見ると、昨日話題になってた小説だった。 「読んでみる?」 「……いいの?」 「もちろん」 「ありがとう」 「読み終わったら感想教えて」 「うん」 たったそれだけ。 でも、本を通して会話が続くのが少し嬉しかった。 昼休み。 琥珀は図書室で本を開いていた。 静かな空間。 紙をめくる音だけが響く。 「やっぱりここ」 薫がひょこっと顔を出す。 「また来ちゃった」 「……ふふ」 「また笑った!」 「そ、そんなに?」 「うん」 薫は少し考えてから言う。 「立花さんってさ」 「?」 「笑うと雰囲気変わるね」 「……」 返事ができない。 恥ずかしさで本をぎゅっと抱えた。 「ご、ごめん」 「どうして謝るの?」 「急に言っちゃったから……その、笑顔素敵だなって」 「……ありがとう」 小さな声だった。 でも確かに届いた。 薫は少し照れくさそうに頭をかく。 「どういたしまして」 その瞬間、昼休みの終わりのチャイムが鳴り響く。 「戻ろっか」 「うん」 二人は並んで廊下を歩き始めた。 会話はほとんどない。 それでも、不思議と沈黙は気まずくなかった。 放課後。 今日も青い交換日記を開く。 昨日までは何を書けばいいのか迷っていた。 でも今日は違う。 自然とペンが動いた。 Day3 琥珀 『今日は貸してくれた本、ありがとうございました。』 『まだ少ししか読めていませんが、続きが気になっています。』 『また感想を話せたら嬉しいです。』 翌朝。 ノートを開くと、薫の字が並んでいた。 Day3 薫 『ぜひ感想聞かせて!』 『あと、今日は一緒に図書室から教室まで歩けて嬉しかった。』 『少しずつだけど、立花さんと話せる時間が増えてきてる気がする。』 『明日も「おはよう」って言ってくれたら嬉しい。』 「……」 琥珀は何度もその一文を読み返した。 “明日も『おはよう』って言ってくれたら嬉しい。” その短い言葉が、胸の奥にじんわりと温かく広がる。 「……うん」 誰もいない教室で、小さく返事をした。 明日は、自分から言ってみよう。 そんな小さな目標が、琥珀の中に生まれた。 Day3 琥珀 『今日は貸してくれた本、ありがとうございました。』 『まだ少ししか読めていませんが、続きが気になっています。』 『また感想を話せたら嬉しいです。』 薫 『ぜひ感想聞かせて!』 『あと、今日は一緒に図書室から教室まで歩けて嬉しかった。』 『少しずつだけど、立花さんと話せる時間が増えてきてる気がする。』 『明日も「おはよう」って言ってくれたら嬉しい。』

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Day3

Day2

春の朝。 校庭の庭はまだ満開で、風が吹くたびに開いた窓から花びらが教室まで舞い込んでくる。 琥珀は交換日記を眺めながら、小さく深呼吸をした。 (今日は……昨日よりちゃんと挨拶できるかな。) 交換日記を閉じた時だった。 「おはよう!」 聞き慣れた元気な声が飛んできた。 「……!」 顔を上げると、一之瀬薫が笑って手を振っている。 「お、おはよう……」 昨日より少しだけ自然に言えた。 それだけなのに、薫は嬉しそうに笑う。 「うん、おはよう」 その笑顔を見て、琥珀の胸の奥が少しだけ軽くなった。 (ちゃんと返せた) ほんの数秒の出来事なのに、朝から少しだけいい気分だった。 一時間目は現代文。 先生が教科書を読み始める中、琥珀は窓の外へ目を向けた。 桜の花びらがひらひらと舞っている。 「立花」 「……え?」 突然名前を呼ばれ、慌てて立ち上がる。 「続きを読んで」 「あ……はい」 なんとか読み終えると、ほっと息をつく。 席に座る瞬間、前の席の薫が小さく親指を立てていた。 (……応援してくれてた?) 思わず小さく笑ってしまう。 薫は何も言わず、前を向いたままだった。 昼休み。 琥珀は図書室で借りた文庫本を読んでいた。 静かな場所が好きだった。 ページをめくる音だけが心地いい。 「やっぱりここにいた」 聞き覚えのある声。 顔を上げると、薫が本棚の向こうから顔を出していた。 「ご、ごめん!本読んでたんだ」 「え?」 「邪魔した?」 「ううん」 薫は安心したように笑う。 「昨日さ、本好きって思ってたけど、やっぱり当たりだった」 「どうして?」 「朝読書の時間、本に夢中だったから」 そんなところまで見ていたなんて。 琥珀は少し照れてしまう。 「一之瀬君は?」 「俺?」 薫は少し考えてから笑う。 「漫画ばっかり」 「ふふっ」 思わず笑い声が漏れた。 「あ、笑った」 「えっ?」 「立花さん、初めてちゃんと笑った」 その言葉に、琥珀は急に恥ずかしくなって本で顔を隠した。 「わ、忘れて……」 「無理」 薫はくすっと笑う。 「その笑顔、いいなって思ったから」 その一言で、琥珀の耳まで真っ赤になった。 放課後。 交換日記を書く時間。 今日は昨日より、少しだけ書きたいことが増えた。 ペンを持ち、ゆっくりと言葉を紡いでいく。 Day2 琥珀 『今日、本の話ができて嬉しかったです。』 『私は小説を読むのが好きです。』 『一之瀬君は漫画が好きなんですね。』 翌朝。 机の中にはもうノートが帰ってきていた。 少し緊張しながらページをめくる。 Day2 薫 『本当は漫画だけじゃなくて、小説も少し読むよ。』 『立花さんのおすすめがあったら教えて欲しい。』 『あと……。』 『昨日の笑顔、すごく素敵だった。』 「……っ」 思わずノートを閉じる。 胸がどきどきする。 (なんで……こんなに恥ずかしいの) でも。 ページを開くたびに、昨日まで知らなかった一之瀬薫を少しずつ知ることができる。 そして、自分のことも少しずつ知ってもらえる。 まだ2日目。 それなのに、この青いノートはもう“宿題”ではなく、小さな楽しみになり始めていた。 Day2 琥珀 『今日、本の話ができて嬉しかったです。』 『私は小説を読むのが好きです。』 『一之瀬君は漫画が好きなんですね。』 薫  『本当は漫画だけじゃなくて、小説も少し読むよ。』 『立花さんのおすすめがあったら教えて欲しい。』 『あと……』 『昨日の笑顔、すごく素敵だった。』

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Day2

Day1

「えーっと、じゃあ今日はちょっと変わったことやるぞー」 入学してまだ一週間。 朝のホームルームで、担任の先生が黒板を軽く叩いた。 「このクラス、今日から一年間“交換日記”をやってもらうからな」 一瞬、教室が静まる。 「……は?」 誰かの間の抜けた声の後、すぐにざわめきが広がった。 「交換日記って……小学生かよ!」 「え、でもちょっと楽しそうじゃね?」 笑い混じりの声が飛び交う中、立花琥珀はそっと視線を落とした。 (……無理だよ、そんなの) 人と話すのは、昔から得意じゃない。 何を言えばいいのか分からなくて、気づけば黙ってしまう。 仲良くなるまでに時間がかかる自分が、誰かと一年も“続ける”なんて想像できなかった。 「ペアはくじで決めるからなー。文句なし!」 先生はそう言いながら、箱を軽く振る。 (お願い……静かな人。あんまり話しかけてこない人がいい……) そんなことを願いながら、琥珀は小さな紙を引いた。 ゆっくり開く。 そこに書かれた名前を見て、息が止まる。 『一之瀬薫』 (……え) 一瞬、頭が真っ白になる。 一之瀬薫。 入学してすぐ、クラスの中心にいるような男子。 誰とでも自然に話して、笑って、気づけば周りに人が集まっている。 自分とは、あまりにも違う人。 (なんで……よりによって……) 胸の奥がきゅっと縮む。 その時だった。 「立花さん、だよね?」 ふいに、すぐ近くから声がした。 顔を上げると、そこに一之瀬薫が立っていた。 「俺、ペアらしい。よろしくな」 にっと笑うその顔は、眩しいくらい自然で、真っ直ぐだった。 (……ちゃんと話さなきゃ) そう思うのに、喉がうまく動かない。 琥珀は視線を少しだけ逸らして、小さく頭を下げた。 「……よろしく、お願いします」 それだけ言うのがやっとだった。 放課後。 机の上に置かれていたのは、先生から渡されていた青いノート。 表紙には大きく書かれている。 『365日交換日記』 (ほんとに、やるんだ……) ページを開く。 白い紙が、やけに広く見えた。 何を書けばいいのか分からない。 “よろしく”の次に続く言葉が、どうしても出てこない。 ペンを握ったまま、しばらく固まる。 (変に思われたらどうしよう……) 悩んで、悩んで。 ようやく書けたのは、たった一行だった。 『よろしくお願いします』 それだけ。 書き終えた瞬間、少しだけ胸が苦しくなる。 (これでいいのかな……) 翌朝。 教室に着いて、机の中にノートが戻っているのを見つけた。 そっと開くと、そこには、昨日とは違う文字があった。 『こちらこそよろしく!立花さんのこと、これから少しずつ知れたら嬉しいな。無理して書かなくていいから、自分のペースでね。』 (……え) 思わず息を止める。 軽い言葉なのに、なぜか優しさだけがまっすぐ届いてくる。 “無理しなくていい” その一言が、やけに心に残った。 気づけば、ほんの少しだけ口元が緩んでいた。 (……ちゃんと読んでくれてるんだ) 昨日までただの白い紙だったものが、急に“誰かとの会話”に変わる。 その小さな変化が、琥珀の中で静かに音を立てた。 ーーこの一冊が、これから一年続いていく。 まだ何も始まっていないはずなのに。 確かに、何かが動き出していた。 Day1 琥珀 『よろしくお願いします』 薫 『こちらこそよろしく!立花さんのこと、これから少しずつ知れたら嬉しいな。無理して書かなくていいから、自分のペースでね。』

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Day1