とこしぃ

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とこしぃ

逃げ続ければいいってもんじゃない。

花鳥風月

ひゅ〜、ぺたぺた ひゅー、ひやひや    、ぺたぺた     ひやひや 昔、おばあちゃんの家にお泊まりに行ったとき、慣れない環境だからか、いつもぐっすり眠れているような時間帯になっても眠れないままで、しょうがないから水を飲もうと隣で寝ている両親を起こさないようにして、そろりそろりと部屋を出た。水を飲んで部屋に戻ろうとしたとき、ちらりと人影が見えた。行きのときは死角になっていて見えなかったけれど、よく見てみると縁側におばあちゃんが薄い羽織物を着て座っていた。どうしたの、そう聞いてみるとこう返ってきた。 「嗚呼、月が綺麗ね」 暑い夏は通り過ぎ、立秋を迎えてから少し立ったからか、おばあちゃんのように羽織物がなければ少し肌寒かったけれど何となく傍にいたくて、暖はおばあちゃんの温もりでとればいいかと思った。けど夜風に当たっているからかちっとも暖かくならなくて 「寒いでしょう?お部屋に戻って暖かくして寝なさいな」 そう言われて渋々部屋に戻った。 次の日、なんだかいつもより騒がしくて目が覚めた。中々に田舎の方だから動物の声とか木々が揺れる音かと思ったけれど、どうやら両親がバタバタと焦っている様子だった。まさかとは思ったけれどおばあちゃんは夜風に当たっているよりもずっと冷たくなっていた。

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花鳥風月

腐りきった僕と腐れない君

ぐちゃ、どろどろ。僕の足が進む度 べと、ずるずる。床が赤で染っていく がしゃ、ぴこぴこ。君の足が進む度 がこ、ずるずる。床に傷が増えていく 「ァ、a、ア、亜、あ、聞こえますか」 「あぁ、聞こえるさ」 「私、貴方との関係は永遠だと思っていました」 「僕もそう思ってたよ」 「一人って寂しいです」 「僕も君と離れたくない」 「世界って残酷ですね」 「なぁ、来世は何になりたい?」 「私は、あなたの隣にいれればなんでも」 「僕はそうだな。同じかもしれない」 「でもこの世界に次があるのでしょうか」 「分からない、この世界で会うかもしれないし、別の世界出会うかもしれない」 「出会えたらまた、わたしはあなたにつかえます」 「僕もきみをかうよ」 「ふふ、そのときはいまよりずっとながくいたいです」 「そうだなぁ、もっとはなしたいがぼくはもうむりだな」 「…またあえるひまで」 「あぁ、またあおう」

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腐りきった僕と腐れない君

はにかむ

はちみつ、とろり、とろとろり。 ほっぺた、とろり、とろとろり。 あたしにっこり、かあさんにっこり。 ぽたり、ぽとぽとり。 涙がぽとり、ぽとぽとり。 思い出ぽとり、ぽとぽとり。 私しくしく、母さんにっこり。 ねぇ母さん、あの蜂どうするの。私蜂苦手だし、父さんは嫌いなんだよ?…自然に返すのは嫌だなぁ、思い出が飛んでっちゃうみたいだもん。そんな笑ってないでどうにか言ってよ。 蜂蜜が好きな私の為に養蜂を始めた母さん。 私が叫びながら蜂のお世話をさせる母さん。 まだ一緒に蜂のお世話したかったなぁ。

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はにかむ