芥子菜
6 件の小説到着までの一幕
初めて行った東京駅の外で見たものは四角い青空と白く高い壁、高い背丈の人でも小人に見えるようなサイズの建物でした。 鳥のさえずりはどこにもなく工事現場の響く低音にびくつきながら とりあえず目的地に辿り着くためマップを開き立ち止まろうとするとそのまま人混みにまざって流されてしまいそうになる人の多さにただただ、圧倒され続けていました。 この時はまだ東京に降り立った実感などどこにもなく、日本の 首都で友人たちが憧れていたあの東京とは思えずなんとも殺風景で無機質なところというネガティブな感傷のみ。 目的地に辿り着けるか不安でしかありませんでした。 でも今日、この地にきたのは他でもありません。 そう、ライブです。推しのライブ。 ずっと部屋に引きこもって画面を見る日々に突然の告知 推しが周年のライブを開催する、とのことでちまちまと準備し 1人のオタクが田舎からのこのこ這いずってでてきたのでした。 近年の旅ではスマホがチートアイテム級になんでもできてしまうので大丈夫だろうと高をくくり案の定都会の洗礼を受けます。 そう、とある駅出口から出たはいいもののマップの示す位置は近くを彷徨い続け明確な場所をささず時間だけが過ぎていく… ほとんどおそらくの人が心弾ませながら会場に向かうであろう ところ1人ぽつんと顔を青くしながら画面を見つめ続け こんなところ場違いだった、来るんじゃなかったと思考停止の渦へ沈んでいました。 そんなところに目に入ります。 黒いパーカーにピンクのロゴ カバンにはキャラクターの缶バッジ… 急にどこからか現れて颯爽と消えかけていくように 思ってしまいましたが、 これを逃すわけにはいかない 絶対にこの方を逃すわけにはいかない‼︎ 離れて歩きながらでも見失うことのない一定の距離でついていきました。完全に不審者の出来上がりです。 ここら辺で余裕が出てきて人々を見渡してみると 私の故郷にいたら奇抜な格好でほとほと浮かれてる奴 としかみられない格好 こんな格好二次元でしかみたことないが それは女装か?など 普通のスーツの人たちに紛れ多種多様な服が入り混じっていて それでいてなお自然とそこにいて良い雰囲気がある。 最初に抱いた殺風景で無機質なものでなく、東京とはなんとたくさんの色に囲まれていて寛容なところだろうかと、普段からこのように自由な格好で色々なところにいくことができて羨ましいなと自然と頬が緩んでいました。 まあ、その方々、後に私の目的地に現れましたが おもわず二度見してしまいました。 知っているが知らない人と無事に再会したところで 列に並びながらもまた笑ってしまったのでした。
アダルトチルドレン
父親からよく言われる 自らを病人扱いするなって 私も好きで言っている訳ではない でも過去を振り返り、ネットでかき集めた 浅い知識と照らし合わせると症状が似通っているし じゃないと、この生きづらさに説明がつかない 生きづらさに理由がほしいんだよ あなたが怒鳴り散らす声にいつも怯えていました あなたが弟たちを殴る音に自分の無力さを感じました 自分の意見を伝えようとすると泣くようになりました もう自分の意見を伝えようともしなくなりました いつしかあなたの機嫌をとるのが上手くなり いつしか何事も事なかれ主義になりました こうしてただそこにいるだけの 空っぽな人が出来上がりました あなたが私をこうしたんだから 今更何を伝えようとしても響かない 失敗作で悪かったね お互いに
下書き
言葉を紡いで消して紡いでは消してで繋ぎ合わせ 繰り返される頭の中での試行錯誤 すごく大変そうだけど楽しそうでもあるね 君はどんな文字で真っ白なこの場所を埋めていくんだい? どんな文字の羅列で想いを詰め込み染めてくれるんだい? 完成するのがとても楽しみだ ずいぶん悩んでいるね 文字を打つスピードがゆっくりだ 先の展開が難しいとか? もしかして、飽きちゃったとか? お話の展開は君の頭の中にあるから こちらとしてはどうしようもできないけどさ 何個も何個も未完成品だらけでむずむずしちゃうなぁ 君は気分屋なのかな? なんにせよ完成するのを心待ちにしているよ おやおや、久しぶりだね 全く、この部屋に何年言葉を置きっぱなしにしているんだ 引越し後の段ボールでもあるまいし ああっ⁉︎ 確かにむずむずするけど全消しするなんて! 世の中の誰か1人でも作品を待ってるかもしれないじゃあないか もし待っていないとしても 自分の想いを形にしたら楽になれたかもしれないのに っとと、また書いてくれてる 急がば回れってやつかい? 君は気難しい奴だな とにかく完成を楽しみにしているよ ぽちっと これで完成‼︎ 白い部屋からただの文字だったものが 作品として世界の海へ出ていくのを見る これほど心地いいものはないよね 僕は完成にもっとも近い未完成品しか見れないけど 君が楽しんで書いたとか君が苦労して書いたとか それを知っているのは君と僕だけ 今日もこの白い部屋から見守っているよ 今日もこの白い部屋から旅立つ言葉を応援しているよ
ラーメン
退屈な大学に通う途中 電車に乗る前によく病院帰りの祖父に会った これでラーメンを食べなさい 渡される3000円 そんなに高いラーメンはないよ お決まりのセリフからいつもお小遣いをもらい 学食の味気ないラーメンを食べる そんな日々だった これでラーメンを食べなさい 白い無機質な部屋 前よりも細くなった腕から 3000円渡される そんなに高いラーメンはないよ それにいつもラーメン食べてるわけじゃないし 少し不貞腐れながらお決まりのセリフを言うと 祖父は少し口角が上がる 生意気な口を聞くとなぜか嬉しがる そんなところは少しも変わっていない 今日も学食でいつも通りラーメンを食べた これでラーメンを食べなさい そう言われた気がした 声をもう発することができず その手が震え財布を持つこともできない 祖母から渡される3000円 そんな高いラーメンはないよ もう自分で働いて稼いで食べることができてるよ いつものお決まりのセリフ いつも通りを意識して発したその声は 自分でもわかるくらいに震えていた 表情を動かすのも一苦労だろうに 私には笑ったように見えた そのお金でラーメンを食べることは 今もなおできていない
時間は解決してくれない
未だにずっとひきずっている 嫌いになれたらどんなに楽だろうか いっそ忘れられたら、とても楽になれるだろうに その時間をなかったことにするには年月が経ちすぎた 私の頭の中で都合のいいように書き換えられた 優しかったあの時と裏切られたあの時が交互に再生され もうどれが本当にあった事柄なのかも曖昧になってきた 最初は恋や愛だったもの とても大事だったもの 今はただ醜い執着に成り果て それにしがみつくのみ
こんばんは。初めまして。
誰か見ていますか? 初めまして。芥子菜と申します。 新年、何か新しいことを始めようと思い立ったが吉日 きっとすぐに飽きて辞めてしまうだろうけど 迷惑をかけずにひっそりと 誰も知り合いのいないこのネットの海で 自由に自分を表現できたらと、ここに投稿しました。 勝手に居着いて勝手にいなくなると思います。 それまでどうか、ふつつか者ですが何卒よろしくお願いします。