漣
6 件の小説記念料理
今日は付き合って9回目の記念日! いつも家事をしてくれている彼のために手作り料理を振舞おうと思うの! 何を作ろうかしら? ・・・うん出来た! 彼、喜んでくれるかしら? きっと良い匂いね! _______________________ ”はーただいまー・・・うわ、またかよ・・・” ”えー何これーめちゃくちゃ臭いんですけどーもしかしてこれ?最近悩んでることって” ”そうなんだよ帰ってきたら必ずあるから臭いがこびり付きそうでさ” ”本当迷惑だよ”
無題
数年前片方の視力を落としてから不思議なものが見え初めた。 人の頭の上に煙が見えるのだ。 それは七色に収まらずまさに十人十色のようだった。日常生活にはなんの影響もないものの物事が起こる少し前に煙は現れる。 まるで予言のように。 今までに見た煙の色は四色程。 一つ目は赤色。 クラスメイトの頭に現れて数分後そのクラスメイトは授業で怪我をして血をながした。 二つ目は青色。 三日後振ることのなかったはずの大雨が降った。 三つ目は緑 もう咲くことの無い桜が大量の花をつけた。その桜は大変美しく来る日も来る日も写真の許可を出し続けた。 そして今見つけた白。 病床に伏せる母の頭の上にわたあめのような煙を見つけた。 やがてゆっくりと息を引き取り亡くなったことを告げられた。 トントン拍子で葬式も進み、遺骨も回収し、 家に帰ろうとした時のこと。 横断歩道を渡っている途中大型トラックが猛スピードで突っ込んできた。 勿論避けられるはずもなく、私は重量に押し潰された。 身体中の骨が嫌な音を立てた。 腹は抉られ腸がはみ出た。 上向きの目玉を戻し、カーブミラーに写る自分の頭を見れば 紫色が消えかかっていた。
火葬場
私は昔から体力がなくて行事のマラソンとかも嫌いだった。 高校の体育祭で持久走をやらされることになった私はせめて最後まで走ろうと思い、休みの日少しだけ走ることにした。 交差点に差し掛かるところで全身真っ白の男性が私の前を走っていた。 この人も走っているのかと勝手に親近感を覚えながら信号機を待っていた。 青になって走り始めると男性はそのまままっすぐ新しく出来た建物に入っていった。 「あれ、あの建物……」 新しく出来た建物は火葬場だった。
進路相談
高一の夏二者面談で進路について言われた。 「××××進路は何処か決めてるか?」 「やりたい事とかないのか?」 “いえ・・・まだ決めてないです” 「そうか…まだ高一だからいいけど高三になったら大変だぞ?」 「やっぱり何かなりたいものとか探した方がいいと思うぞ?」 “はい・・・” クーラーの効いていないお世辞にも涼しいとは言えない教室で 私には将来の道は見えていなかった なりたいものとか言っても 安定した職業に就いて 安定した生活を送って たまに贅沢をして たまに友達と遊びに行って そんな生活で十分なのに やりたい事がないのならただの会社員でもいいと思うの ゆっくりお金を稼いでゆっくり自分のしたいことを見つけて それっていけない事なのかな?
見えない主語
「×××ってフリー?」 掃除が終わった教室で友人の一人にそう聞かれた。 「そうだよ。どうしたの?」 「なんかさぁ×××と××××最近距離近いじゃん?だから気になって。」 「あぁなるほどね笑」 でもフリーだといえば嘘になる。 信用していない訳ではないけど一応言わないで置いた。 一応ね? クラスにでも流されたら溜まったものじゃないし笑 ほら付き合ってるのを隠してるってことよくあるじゃん? それを使っただけ。 信頼がないってわけでもないよ?
経帷子
貴方とであった時のことはよく覚えていない。 でも貴方のことはよく覚えている。 長い黒髪に真っ白な着物を着ていたね。 貴方のうっかりがとても可愛らしかった。 両親に連れられて、親戚達とどこかに向かうみたいだ。 あの子の間違いは治ったのかな? あの子は体力がないからゆっくり歩いてあげて欲しい。 着いた場所はどこかの式場。 誰かの祝言でもあげるのかな? ……あの子は?……どうしてまだ間違っているままなの? しょうがないから自分が直してあげることにした。 貴方に近づくと粉っぽい匂いがした。 化粧してるの?そのままでも充分可愛いのに…… 貴方を抱き上げて着物を直す。 ……あっちょっとよれちゃった。 まぁいいよね。 直して寝かすと式場の従業員がバタバタと駆け寄ってきた。 「あの……ここどこですか?」 「あれ?なんで化粧がよれてるのよ……しかも装束が戻ってるの……」 自分などいなかったかのようにあの子が眠ったままの箱を押していってしまった。 そのままあの子は帰ってこなかった。