けゆ

10 件の小説
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けゆ

よろしくお願いします 不定期投稿です。

らしさ

自分『らしさ』 その人『らしさ』 ってなんだろう。 人は『らしさ』を“個性”と呼ぶことがある。 その個性は時として自分を輝かせる。 また、時として自分を苦しめる。 あなたらしくしなさいって言われたりする。 自分『らしさ』って何? 答えなんて自分じゃ分からない時もある。 そんな時、周りに人がいる。 それは、あなたの個性によって集まってきている。 ほら。 あなたにも個性がある。 自分『らしさ』がある。 周りに人がいて、楽しそうにするのは 自分らしさ。 一人の時も十分満足している、楽しいと思うのは自分らしさ。 友達が欲しいから友達になれそうな人を見つけようとするその頑張る姿が、 自分らしい。 自分の行動に目を向けてみると 意外に 『らしさ』 が広がっている。 他の人の『らしさ』を見つけることだってできる。 少し、視点を変えて 自分『らしさ』 その人『らしさ』 を見つけてみるのも案外楽しいかもしれない。

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らしさ

再会

学校の放課後、俺たちはいつもの公園に向かった。 「遅くなってごめーん。」 「全然大丈夫ー!」 「それより、昨日テレビでやってた映画見た?」 などと、他愛もない話をしていた。 そうして、公園で遊んでいるうちに一人の友達、和樹が「なぁ、今から俺ん家で遊ばない?」 と聞いてきた。 珍しかったので少し驚いたが、全員が賛成した。 和樹の家は、とあるマンションの三階の角にあった。 和樹の家に着くと、和樹のお母さんがむかえてくれた。 「いらっしゃい。」 「お邪魔します。」 そう言って家に入る。 玄関には、ネット通販のダンボールなのかよく分からないダンボールが沢山置かれていた。 和樹の部屋にみんなが入ると、和樹がゆっくりと口を開いた。 「あのさ、俺、明日に別の県に引っ越すんだ。」 「…え?」 予想だにしない発言が俺の頭の中でぐるぐる渦巻いた。 「それ、本当か…?」 俺と同じクラスの彰が細い声で尋ねた。 「うん…。本当…。」 「そ、そっか。」 みんな落ち込んだ。 もちろん、俺も落ち込んでいた。 「な、なぁ。 最後だからさ、お前らを呼んだんだ。 今日は俺ん家で思いっきり遊ぼうぜ!」 和樹が明るい声で言う。 「そうだな。 最後くらいめちゃくちゃ遊ぶか。」 そう言って、俺たちは残りの時間を楽しんだ。 いよいよ、お別れのときだった。 「じゃあな。」 「うん。」 俺たちは、最後に何回も握手をした。 離れるのが嫌だった。 エレベーターに乗って一階に向かおうとする。 「ねぇ。 最後にこれ。」 和樹が何かを渡してきた。 「なに、これ?」 それは袋に入っていた。 中を確認しようとしたとき、ちょうどエレベーターのドアが閉まり始めた。 「じゃあ、また! どこかで会えたら!!」 「おう!またな!」 俺たちは、エレベーターのドアが閉まり切るまでお互いに話し続けていた。 エレベーターを降り、マンションを後にする。 残りの友達と別れて、俺は家に帰った。 家で、さっき和樹からもらった袋を開けた。 中には、俺たちが全員写っている写真だった。 その写真に、何か書かれていた。 『今までありがとう! また会おう!』 たった二言だった。 でも、泣くには十分の言葉だった。 一人の友達がいなくなるという寂しさが、急に込み上げてきた。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 俺は社会人になり、仕事に全力を注いでいた。 今日は、休みなので大きなショッピングモールに買い物に行った。 目当てのものは二階にあるので、エレベーターに乗った。 その時、見覚えのある顔がいた。 あの日、引っ越した和樹だった。 「和樹!」 俺たちは、エレベーターで数年ぶりに再会した。

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再会

自分の物語

自分の人生は、ひとつの物語。 読む人なんていないかもしれないけど、自分は必死に物語を続けている。 でも、物語は良くない方向に進むこともある。 自分にとって辛いことや苦しいことが降りかかってくる。 物語に、少し困難があった方が面白いだろ? いないかもしれない読者に語りかける。 別にいい。 辛いことがあっても、いつか希望が見えてくる。 そう信じて、今日も物語は続いていく。 この物語はハッピーエンドだろうか。 物語の途中では何も分からない。 もしかしたら、望まない終わり方をするかもしれない。 それでも、物語を続けていく。 人生というものは、ひとつの物語で 時に嬉しいことがあり、時に辛いことがある。 終わり方に注目するんじゃなくて、生き方に注目をしたらどうだろう? 納得のできない、生き方でもいいじゃないか。 生きていたんだから。 終わり方がどうであれ、生きたという事実があればそれでいい。 そう考える人もいる。 結果、どうであれ人生は自分の物語なのだから好きなように物語を作り、好きなように終わらせてもいい。 俺の人生はいったいどんな物語になるのだろうか。 これからも、物語は続いていく。

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自分の物語

言葉

あーあ。 今日も学校で悪口を言われた。 慣れたらいけないのだろうけど、言われすぎて慣れてしまった。 言葉は時として凶器になる。 悪口を言われた人を見ても、傷ついていないと思われることが多い。 体は何も傷つかないからだ。 でも、確実に心は傷ついている。 言葉で人を傷つけていても、分かりにくいから言っている本人は何も気にせずに当たり前のように悪口を言う。 言われた側は、その後何日もかけて心の傷を治していく。 治らない時もある。 言葉が心の奥底に沈んで、もうどうしようもないときがある。 そんな時、優しい言葉をかけられると なぜか、少し心の傷が癒えた気がする。 優しい言葉は人を救うことが出来る。 言葉は時として凶器になり、時として癒しを与える。 言葉に責任をもって、発言をしていきたい。 世界がそうなって欲しい。 そう、願っている。

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言葉

生きる

あなたはなんのために生きているのですか そう聞かれても、今は何も答えることが出来ないだろう。 僕には、自分の人生を語るほどの経験がない。 ましてや、誇れるものもない。 そんなやつに質問をしても望ましい解答というものは得られないだろう。 これから何年も生きて、自分がなんのために生きているのかが分かる日が来るのだろうか。 もしこのまま来なかったらどうなのだろう。 僕の生きた証などないのだろうか。 僕がなんのために生きるのか。 自分の好きなように生きても結論は出るのだろうか。 なんにも縛られずに生きてもいいのではないか? 人生一度きり。 好きなように生きなさい。 親にそう言われた。 お前の人生なんだから、好きにすればいいじゃん。 仲のいい友達にそう言われた。 なんのために生きているのか。 死ぬ前には一度、結論を出してみたい。 好きなように生きるのも悪くない。 どう生きようとその人次第。 邪魔はしない。されたくない。 僕はそうやって生きたい。 僕は、自分の思いのままに 生きる。

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生きる

タイムマシン

海が見える、とある町の片隅にその研究所は存在した。 その研究所の最高責任者である 鈴木は日々タイムマシンを発明することに全ての力を注いでいた。 「ついにタイムマシンが完成した!」 鈴木は大いに喜んだ。 「おめでとうございます!鈴木さん。」 鈴木には弟子がいた。 三年前から鈴木と共にタイムマシンの発明をしていた。 「ありがとう。佐藤のおかげで念願のタイムマシンが完成した。」 「いえいえ、鈴木さんが頑張っていたからですよ。 僕なんて、少し手伝ったぐらいです。」 その弟子の名前は佐藤という。 ここで鈴木は深刻そうな顔で佐藤にこう伝えた。 「これは、まだ試作品だ。 過去にも未来にも行けるようにしているが、正直まだ不安が残っている。 実験もかねて、佐藤にはタイムマシンで過去に行って欲しい。 頼む。」 佐藤は少し躊躇ったが、タイムマシンに乗るのが夢だったので鈴木に 「はい。僕でよければ。」 と言った。 「そうか。ありがとう。 じゃあ、ここに乗ってくれ。」 「はい。」 いよいよ、佐藤が過去へと出発しようとしていた。 「少ししたら、戻ってこい。」 鈴木は、佐藤に伝えた。 「分かりました。 では、行ってまいります。」 「おう。」 期待と緊張を込めたタイムマシンが、 今、過去へと出発した。 タイムマシンが出発してから十分が経った。 なかなか、佐藤が帰ってこない。 そこから、更に五分がたった頃 鈴木は心配そうに口を開いた。 「大丈夫かな? ちゃんと戻ってくるだろうか? 山本は。」

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タイムマシン

約束

ねぇ。 十年後、この桜の木の下でまた会おう。 約束だよ。 幼馴染と放課後の公園で約束した高校最後の日。 大学からは別々になるから。 俺と幼馴染はまた会おうという一つの約束をした。 その時から十年が経った今、俺はあの桜の木の下にいた。 約束した日が今日なのだ。 そういえば、時間とか話してなかったなと思い本当に会えるのか不安になる。 昼過ぎが妥当だろうと思い、一時から待ち始め三十分が経った。 どれぐらい待てるか分からないが、今日会えなかったらもう二度と会えないだろうなと考えていた。 あの時、連絡先を交換しておけば良かったと後悔した。 桜の木の下で待ち続けて二時間が経とうとしていた。 もう今日は来ないのかもしれないなと諦めかけていたその時、俺の目の前に女の人が現れた。 …あの幼馴染ではなかった。 その後は女性も沢山この公園に来たが、幼馴染は現れなかった。 くそっ。 結局会えなかった。 悲しい気持ちのまま、俺は眠りについた。 後日、高校の時に仲がよく俺の幼馴染ともよく遊んでいた友達に幼馴染が今どうなっているか聞いた。 その友達は、俺の幼馴染と同じ大学に行っていた。 まさか、その二人ができた…とは考えたくないので無理やり頭から振り払う。 少しして友達から返信がきた。 『あぁ。お前の幼馴染か。 あいつはな、去年に交通事故にあって病院で手術を受けたが亡くなってしまった。 その時に連絡出来なくて申し訳なかった。 お前の幼馴染に頼まれたんだ。 まだ言わないで、と。 伝えるのは、来年になってから。って言われた。 今日、お前が連絡してきてよかった。 いつ話そうか迷っていた。 そして、伝言を預かってる。 今からここに書くぞ。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 私と桜の木の下で約束した幼馴染へ 私は桜の木の下であなたのことが好きだと伝えようとしていました。 でも、それも出来そうにない。 なので伝言という形をとりました。 あなたがどういう気持ちなのかは分からないけど、私は初めて会った時から好きでした。あなたも好きだったらいいな。 でも、私はあなたと面を向かって思いを伝えることはできない。 きっと、ここで死んでしまう。 なので、私からの最後の約束をして下さい。 私の分も幸せになって。 世界で一番幸せになって。 他の女の子にあなたが取られるのは少し悔しいけど、あなたには幸せになって欲しい。 この約束、絶対守ってね。 大好きだよ。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− これで伝言は終わりだ。 あとはお前に任せる。』 ここで、メッセージは終わった。 読み終わった瞬間、涙が溢れた。 俺はこんなに涙があるのかと疑うほど泣いた。 泣き終わったのは、一日後の朝だった。 もう一度、伝言を見た。 “俺はお前のことが好きだ” 俺が桜の木の下で伝えようとしていた思い。 まさか、あいつも同じ気持ちだったなんて思いもしなかった。 そういえば、また新たな約束をしてしまった。 あの約束は果たせなかったから、今度こそは約束を果たす。 天国で見ていてくれ。 ここから、お前との約束を果たす。 俺は、世界で一番幸せになる。 そう心に決めた。

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約束

あいつが星になった

「あいつ、星になったらしいぞ。」 高校時代の友人からメールが来た。 最初、意味が分からず困惑していたが、次のメールで全てが分かった。 『あいつっていうのは、俺らの担任の先生だよ。よく怒ってきたやつ。 星になったっていうのは、今あいつは、保育園のボランティアで星になる役っていう謎の仕事をしているんだ。俺たちの間では星になったって言ってる笑 久しぶりに会うという意味合いも込めて今度、会わないか?高校の時のやつらに会えるぞ? 日時はまた教える。』

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あいつが星になった

あした天気になあれ

今日も雨か。 雨の日は嫌いだ。 あの人との思い出が蘇ってしまうから。 僕には、人生の中で一番愛した人がいた。 僕はその人しか愛さないし、愛せない。 そう思えた人がいた。 デートの日には、いつも舞い上がる気持ちを抑えて家を出ていた。 その日は雨だった。 強い雨。 その雨は朝から弱まらず返って強くなってきている気がする。 傘を持ち、集合場所へと向かう。 彼女はすでに来ていた。 「待たせてごめん。」 「いいや、全然大丈夫。」 「じゃあ、行こっか。」 「うん。」 そう言って、僕らのデートが始まった。 雨の日でも関係なく僕たちは遊びまくって充実した日を過ごせそうだった。 帰り際、少し疲れたので公園の屋根付きのベンチに座った。 彼女が 「あした天気になあれ。」 そう呟いた。 その時の顔が、今でも忘れられない。 雨に恋をしているかのような微笑みを浮かべていた。 一言で表すのならば、 それは、 美しかった。 その後も、彼女は雨の日に必ず 「あした天気になあれ」 と呟いていた。 なぜ、呟いていたのかは今となっては知る由もないけど彼女が言った時だけは なぜか雨がとても美しく見えた。 彼女と別れたのも、雨の降る日だった。 僕らに思い出のある、雨の日に 僕らの思い出のある場所で。 僕らは別々の道を歩もうと決めた。 でも。 僕は忘れられない、 貴女のことが。 雨が嫌いだった僕を好きにしてくれた 貴女を 僕は忘れられない。 こんなことを思ってもどうにもならないことは分かりきっている。 でも、もう一度。 もう一度だけでいいから 僕の隣で 「あした天気になあれ」 と呟いて欲しい。

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あした天気になあれ

夜の街で

夜の街は好きだ。 どこか静かで、儚くて。 一人が好きな俺にとっては最高の時間帯だ。 そんなある日、夜の散歩をしていると一人の女性が倒れていた。 どうやら、どこか痛いらしい。 お腹らへんに手を当て苦しそうな顔をしていた。 とりあえず、彼女の安否を確認する。 「大丈夫ですか?」 そう尋ねると 「ほっといてください。」 そう言われた。 もちろんほっとける訳ないので救急車を呼んだ。 「救急車を呼んだので、安静にしといて下さい。」 と彼女に言う。 救急車が来るのを彼女の横で待っていた。 無事に彼女が搬送されるのを見送っていると、ふと気になったことがあった。 彼女はなぜ、あんなところで倒れていたのだろうか。 いくら考えても、結論は出なかった。 後日に知ったことだが、どうやら彼女は自殺をしようとしていたらしい。 あんなところでなぜ… と思うと同時に 助けてよかったのだろうか。 という思いが俺の中でぐるぐると渦巻いていた。

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夜の街で