涼風葵
75 件の小説都合で語るな
勝手なことを言うな。 何も知らない癖に。 貴方の人生観はどうでもいい。 そんな安っぽい言葉で、 私の生き方を語るな。 なんの責任も取る気がないのにさ。 都合のいい時だけ 「もう大人だろう?」 なんて馬鹿げてるだろ。 私の人生は私の人生だ。 私が歩いてるんだ。
空いたまま
放課後の教室は、静かだった。 窓の外には夕焼けが広がり、 廊下の時計の針だけが動いている。 彼女は自分の机に座ったまま、 静かに息を吐いた。 ノートも ペンも もう必要なかった。 ただ、誰もいない教室で、 最後の決断をした。 誰も来ない校舎。 誰も気づかない日常。 それでも、世界は止まらず動き続ける。 翌日、彼女の席は空席のままだった。 教室には変わらない声と笑い声。 誰も知らない。 誰も困らない。 誰も悲しまない。 ひとりの少女がいなくなったことを。
引退の時
最後の試合が終わったらしい。 勝つことしか考えてなかったから 想定外過ぎた。 「本当に終わったのかな?」 実感が湧かないけど、 死ぬほど悔しいし、 ただただ、寂しい。 来年は無いんだな。 留年したい。 来年の主将はあいつかな? 実力的にも、あいつだよな。 真面目だし、責任感もある。 でも不器用だからな。 心配になってきた。 でも、今まさに一年生を慰めてる。 あいつも先輩なんだな。 俺にとっては後輩だけど。 来年も此処は良いチームになる。 絶対だ。 ずっと、全てを背負っていると思っていた背中。 本当は、支えて貰ってた背中。 どんな形になるかは分からないけど、 今度は俺が支えたい。 見守っていきたい。 あの空にまた届く日まで。
DARK-HERO
僕は正義なんかに興味は無い。 だって、僕たちが生まれたこの世界で 皆んなが幸せになるのは不可能だから。 国が決めたルールや法律は、 僕の前ではゴミ同然。 僕には守りたい人がいる。 邪魔するなら、お前の命はない。 自分で下した決断を正当化するのは もう疲れたんだ。 そばに居る人を救うためなら なんだってする。 「しっかり並べ。騒ぐな」 ヒーローはいつだって正しいことを教えてくれる。 でも、いざとなれば 僕が言ったことの意味が分かるさ。 戦う覚悟はできている。 僕はダークヒーロー。 誰からも恐れられ、嫌われている。 僕はダークヒーロー。 いつか君を救いに行くから。 僕はダークヒーロー。 正義なんて大嫌いだ。
雨の図書館
図書館の扉を開けると 木の匂いと紙の匂いが ふわりと混じった空気が流れ出した。 誰もいない。 静けさが耳の奥までしみ込んでくる。 窓際の席に座ると、 外の雨が景色を滲ませていた。 緑の葉が濡れ、 しずくが落ちるたび、 地面がかすかに跳ねる。 机の木目に指を置くと ざらりとした感触が心地よい。 ずっと前からここにあった机。 何人もの手がここで本を開いたのだろう。 一冊の古い本を手に取った。 表紙は日に焼け、 角はすり減っている。 それでもページを開けば、 言葉たちは生き生きと こちらに語りかけてくる。 雨音とページをめくる音だけが響く。 そのたびに、 世界がひとつずつひらいていくようだった。 気がつくと、 胸の奥のざわめきがすっかり消えていた。 ただ雨と、 ただ物語と、 ただ自分。 このひとときが永遠のように 続けばいいと思った。 本を閉じると 外の雨は少し小降りになっていた。 窓の外の葉は、 雫をきらりと光らせ、 次の風を待っていた。
名前のない痛み
夜の街は雨に濡れていた。 傘もささず、駅前に立ち尽くした。 スマホの画面には、 彼からの最後のメッセージが光っている。 「もう会わない方がいい」 あの日の笑顔も、 手のぬくもりも、 思い出そうとするたび遠ざかる。 指先は冷えて、胸の奥が痛む。 彼はもう、 どこかで別の誰かと笑っているのだろうか。 想像するだけで、呼吸が苦しくなった。 「ねえ、あれも愛だったの?」 誰に聞かせるでもなくつぶやいた声は、 雨に溶けて消えた。 ポケットの中でスマホが震えた。 一瞬、息が止まる。 けれど表示されたのは、 見知らぬ通知だった。 何も変わらない。 彼からはもう、何も来ない。 彼女はスマホを胸に押し当て、 ひとつ深く息を吸った。 涙と雨の境目がわからないまま、 ゆっくりと歩き出す。 夜は、まだ長い。
一周年🎊
こんにちは、涼風です🎐 なんと! 本日9/23で一周年を迎えました! 正確に投稿を始めたのは多分違う日なんですが、 アプリを入れた日から数えています🙌🏻 私が密かに立てていた目標の 「フォロワーさん50人」 は達成できませんでした… 悔しい! 正直、一年間も続けるとは 思っていませんでした! 自分でも驚きです笑 皆さん本当にありがとうございます🕊🍀 これからも辞める予定は無いので、 仲良くしてもらえると嬉しいです🫶🏻︎ 【一年での作品】 依存と愛 弦音の余白 きらきら ↑涼風が気に入ってる作品です📖´-
将来の夢
「僕の将来の夢はヒーローになることです」 小学校の時の作文に こんな事を書いた。 友達からは引かれた。 両親からは心配された。 担任は苦笑いをしていた。 あれからどの位経ったのかな。 先生も、友達も、元気ですか? 僕は元気です。 僕は人を殺めました。 それで感謝してくれる人がいました。 僕はヒーローになりました。 僕は夢を叶えました。
好きで、好きで、大好きで。
寝ることが好き。 二度寝はもっと好き。 自分の布団が大好き。 ダンスが好き。 自由に踊るのが好き。 皆んなで踊るのが大好き。 音楽が好き。 聴くのも、弾くのも両方好き。 音楽の旋律が大好き。 弓道が好き。 始めたばかりだけど、楽しくて好き。 中った時の感覚が大好き。 友達が好き。 沢山居るわけではないけどみんな好き。 面白くて、可愛くて、優しいみんなが大好き。 本が好き。 自分の世界に入れるから好き。 書くのも大好き。 ノベリーが好き。 優しい人が多くて、楽しいから好き。 ノベリー大好き!
静寂の舞
夕暮れの道場に影は揺れ 五つの弓がひとつの舞を描く 呼吸は重なり 空気は澄んだ水面のように張りつめ 弦の震えは光となり 矢に宿る。 放たれた矢は宙に淡い線を描き 音もなく世界を撫でて消えていく 当たるも外れるも ただ美の断片 静寂の中に 永遠のひとときが溶ける。 矢羽の微かな落下音さえ まるで旋律のように道場を満たし 儚くも確かな光が 私たちを包み込んだ。