Ritsuki
9 件の小説笑顔は分からない
ときどき不安になる。 いつも自分と一緒にいてくれる人は、 気を使って笑ってくれているのではないかと。 どうしようもないくらい、不安になる。 でも、また明日と笑う君を見ると 人の本心なんて結局は誰にもわからないのだから その笑顔が本当のものだといいなと祈る。 いつまでも君が笑っていられますように。
歌は夢に溶けていく
恋愛の歌は、きっと素晴らしいものに 青春の歌は、きっと面白いものに 過去の歌は、きっと応援するものに キミの歌は、きっと悲しいものに 恋愛なんてしたことがないけど 楽しそう、なんて感想を述べた 実際キミは、苦しそうだった 「恋愛なんてしないほうがいい」と ああ、でもね、誰かを好きなキミは 少しだけ楽しそうに見えたんだ 好きな人に好きになって欲しくて、 日に日に綺麗になってくキミをみてたんだ 僕は恋なんてしないし、恋愛なんてわからないけど 恋をするなら、恋愛がわかれば、 キミと青春の時を駆けたいと思った そんな夢をいつの間にか見ていた
癒えない傷には
一つ残った傷跡を撫でてみた。 そこに痛みはもうない。 目視できる傷は、跡は残っても痛みは消える。 だが、目視できない傷はどうだろう。 きっと、一度傷ついてしまえば、 また同じ言葉で、態度で傷ついてしまうのだろう。 何度も何度も傷を抉るように。 癒えることのない傷は、誰が治してくれるのだろう。 癒えなくてもいい、だから心に絆創膏を一つ。
音楽って人生みたいね
いつも通りすぎてく日々に飽き飽きしたこの頃。 「少しだけ」とスマホを持って、 一つ音を紡いでみた。 再生するとその音は澄んで聞こえていたけど また一つ音を増やせば、霞んで聞こえてしまう あぁ、辞めだ。人生みたい。 一つの言葉や行動で全てが壊れてしまう。 スマホを離そうとした手の力がなぜか抜けなかった。 もしこの音が人生ならば、もう一度紡いでさ。 ぐちゃぐちゃになった時には、そっと抱きしめて。 現実逃避なんて上等、SNSよりはましかな。 ゲームオーバーがない世界だ。 何度でも、死んでみよう
大好きだった
「やっぱりここは生きにくい世界だ!」 泣き叫ぶように、それでも笑顔で君は言った。 周囲を見渡してみれば、嘘を被った人ばかり。 人の顔色ばかり気にして、 好きなものを好きと言えない。こんな世界には やっぱり僕も、生きにくいと思った。 君も僕も絵を描くのが好きだった。 好きだったんだ。 ただ純粋に、思うがままに筆を動かすのが好きだった。 でも、周りはそれを許してくれなかった。 「いつまで絵描いてるの?」 「少しは勉強をしたらいいのに」 「何が楽しいのかわからない」 「下手くそだなぁ」 でも、周りが僕たちを認めてくれることはなかった。 綺麗になんて描けなくてよかった。 誰にも理解されなくてもよかった。 ただ、ただ絵を好きでいたかった。 水彩で描いたクラゲが形をなくしても、 鉛筆で描いた海が真っ黒になっても、 本当によかったんだ。 好きなものを好きと言えていれば、 それだけで、幸せだった。 でも、それには好きなものを好きと 言える環境が必要で。 好きなものを好きと言い続けることが、 ここまで辛いと思わなかった。 僕は、絵が....大好きだったよ。
溢れた好意
好きだと、付き合って欲しいと告白されたとき 僕はその手を取る以外の行動を取ったことがない。 好きだけで相手の言葉が終われば、 「そっか」と返すだけ。 付き合って欲しいと言われれば、 「いいよ」と返すだけ。 僕はいつも相手に好きだと与えられても、 「僕もだよ」と同じように与え返すことができない。 相手に同じものを返すことができないのに 自分から相手を拒絶するのに怯えて、 それを笑顔で誤魔化すだけ。 それなのに、相手からの好意に少しでも 拒否したいと思ってしまったとき 僕はあっさりと「ごめんね」と別れを切り出してしまう。 僕だって好意を向けられて気持ちが悪いと 思ったことなどはないけど ただただ、貰うばかりの好意にとても 疲れてしまうのだ。 僕は僕の行動を非道で残酷だと思うし 最初から期待なんてさせないほうがいいと 何回も自分にささやいた。 でもね、1番残酷なのは、ただの感情に 恋情なんて名前をつけた者だと僕は思うんだ。 人の好意は返せないまま蓄積されて、 僕の手から溢れ続ける。 今日も醜い言い訳を1つ。
夜は耳を塞いで
いつからか、夜眠れなくなっていた。 眠気はあるし不眠な訳ではない。 ”夜“に眠れないのだ。 昼頃からは2時間程度眠れる。 でも、夜は1人音楽を聴きながら 朝が来るのを待つしかない。 生活習慣が整ってないのか。そうも思ったが 人並みに健康的な生活をしていると思う。 だから急に眠れなくなった理由がわからなかった。 怖くなって、最近は眠れることを祈って 耳を塞ぎながらベットに丸まる。 でも、朝はすぐに来なかった。 少しずつ、静かな1人の世界を楽しめればいいなぁ。 今日も、1人夜を過ごして朝を迎える。
恋情に手は届かない
どれだけ手を伸ばしても届かない。 人は、こうも簡単に失う。 どんな人にも平等に、 人が欲している言葉をかける。 そしてほんの少しの気遣いも忘れずに。 こんな簡単で当たり前の行為だけで、 人の好意と言うものはすぐに近づいてくる。 でも、僕はそんな好意なんて望んでいないし その好意の意味がよくわからなかった。 恋愛は思い込みだと聞いたことがある。 確かに、生存本能による欲求は 理にかなっていると思うが、 恋情と言うものは説明がつかない勘違いだと思った。 僕は、そんな感情を押し付けられても 困惑するしかなくて、それでも受け入れることもできなくて。 結局は曖昧な返事で終わらせてしまうから、 「そっか」 その返事しかしないから、 僕はその人との関係が途絶えそうになって 結局は一つずつ削除して行くことになるのだろう。 人間にそんな曖昧で説明もできない 感情がなければよかった。 どれだけ手を伸ばしても、 きっと僕はその感情を手に入れることは できないのだろう。 それだけ離さまいと掴んでも、 波に攫われるように、大切なものは 僕の目の前から去っていくのだろう。 僕に、説明もできない感情.. 恋情が理解できればよかった。
明日には廃棄
多分一生僕の部屋は片付かない。 部屋はその人自身を表すと言うらしい。 いつも感情はどこか荒ぶっていて、 ものは溢れかえっているのになぜか寂しげな 部屋はそれこそ本当に僕の心境を表している ようなものだと思った。 人から押し付けられて行き場を無くした恋情。 人をよく見て気づくための心理学の知識。 話を合わせるためだけの娯楽用品。 手放すことは簡単なのになぜか重々しく 感じてしまうそれは僕の部屋に閉じ込めた。 明日にでも全部捨てるよ