まりも
2 件の小説ライサ物語
「ライサー!ちょと手伝ってはかれんか?」 「はい!今行きます!」 彼女はライサ。小さな村で生まれました。力が強く、正義感も持った女の子という名の天然で突っ走っちゃうタイプの女の子です。この物語はそんな彼女のお話。 ある日ライサが外に出ると。雲が暗く大人たちがヒソヒソと話していました。 「ねぇ、どうしたの?」 大人は渋い顔をしつつ 「いや、大事な石が盗まれたらしい」 この村には代々大事にされてきた石がありました。平和を祈り、豊作をもたらしてくれる石。 何も知らない人が見ても何か神秘的なものを持っていました。その石が盗まれたと言うのです。 「大変じゃない!盗人はどこに行ったの?」 「それが不思議な盗人でよ。場所を残していったんだよ」 「どこなんだい?」 「遠い遠い場所だよ」 「よし!私が取り返しに行こうじゃないか!」 ライサは思い立ったが吉日。荷物をまとめてその場所に向かってしまいました。 さて…どうしたものか…地図はもらった、っていうか奪ってきたけど… とりあえず歩きに歩き場所は海を渡りますからまずは港に行かねばなりません。港に行くには森を抜けなければいけませんでした。 森に入れば木々がライサを迷わせようとしているかのように来た道がわからなくなっていきました。歩いて歩いて、そろそろ休憩しようとした時です。 「ちょっと〜ヤダ、女の子が1人で森にいるじゃない!」 少し離れたところで男のそんな声が聞こえてきました。 横を向いてみると、ムキムキのそれはそれはおっきな大男でした。髪は長く三つ編みがされています。 え?え?それでその喋り方?え〜? 「あっどうも、えっ」 「なんでこんなところにいるのよ〜」 「大事な石が盗まれたんで取り返しにとりあえず港へ行こうと思って」 「え〜、だからって無茶よー」 「大丈夫かなーって木だったらワンパンでしずめられますし」 横にあった木を殴ればミシミシと音を立てて倒れる 「えっコワァ、あなたそんな力どこから出てるのよ」 「え〜そうかなぁ…」 「なんか色々心配だからあたしついていくわ…」 「マジですか!ありがとうございます!」 かくしてライサはお仲間1人増えました。まだまだ旅は続きます
白いお花の物語
前置き 昔に聞いたお話です その人の名前が喜代さんと言います。このお話ではその喜代さんが体験したお話。 「あっ!見て!スノードロップ!そろそろ春が来るね」 眩しい光と眩しいあなたの笑顔。春がそろそろ来そうな日になって、お花が好きなあなたは笑顔で指をさしていた 「綺麗だね、」 学校の行き道。あなたと仲良くなってからは違う道になっていた。 「スノードロップってね。花言葉がとても切なくていいんだよ。俺が初めて花にハマったきっかけでもあるんだ」 「そうなんだ!いいね、私もお花は好きだよ」 「まじ!やった〜ねぇねぇ、なんの花が好き?」 「え〜全部好き、」 「だよなぁ〜選べないよなぁ〜」 あはははと歩きながら笑う。学校でも人気者だったあなたは、私がぽつりといた私でも、見逃さないで話しかけてくれて…そんなあなたに私は恋をしていた。学校でも、話しかけてくれたから新しいお友達もできたんだよ。あなたは笑顔でそれを喜んでくれる。 「なぁ俺さ、将来花屋さん開きたいんだよね、」 「いいじゃん!素敵!開いたら絶対にいく」 「ありがとう、」 日々が幸せに変わって。こんな日々が続くのが嬉しくて嬉しくてたまらなかった。 でもそんなに続かなかった。 「なぁ…俺、癌になったらしい。」 「…え?嘘でしょ?冗談はよしてよ」 引き攣った笑顔で言った。わかってたあなたは冗談なんかこんな所で言わないことも、その顔でもわかった。本当のことだということも。 「それでさ、俺…後一年しか生きられないらしい」 目の前が真っ暗になった。やっと掴んだ幸せも、ここで終わりなのかと思うと何も考えられなかった。 暗い顔で俯くあなたと引き攣った笑顔で受け止められてない私 5分でも1時間に感じられた。今でも思い出す。 「だから、俺!後悔したくないから、だから…喜代にも手伝って欲しいんだ。」 「もち…ろんだよ、なんでもするよ、」 その日から学校は休んで、毎日会った。テーマパークにも動物園にも水族館にも…そして植物園にも行った。たくさん笑ったけど、夜は寂しくて、寝る前によく泣いていた。 そんな日が続いたある日。電話がかかってきた。 「ごめん、これからは遊べないかも」 容態が悪化したらしい。予想よりも遥かに早かった。信じられない気持ちで走って病院まで行った。 ベットに横わるあなた。悲しそうに微笑んでいた。 あぁ…なんでこうなるのか、神様はなぜこんなに無慈悲なの。嘆いた、泣いた、怒りもした。 なんで、なんで!好きな人が!大切な人が! 泣いて泣いて、 その日から学校に行って、病院に行く日が続いた。 病室のドアを開けると毎回申し訳なさそうな顔をあなたがする。それがどうしても辛かった。 時には顔に泣き跡があった、あぁあなたも辛いのね。変わってあげられたらいいのに。 抗がん剤治療になって、だんだん痩せていくあなた。体が耐えきれなくて、寝てる日が続いた。 病室に行っても返事はなくて。1人で話して、泣いて、 そんな苦しい日々の中、あなたの最後の時が来た 「喜代さん!あの子が!」 息が止まって。時間が止まったかと思った。 あぁ嫌だ!死なないで、 病室に駆け込めば、あの子の親族と医者がいた。 私を見ると、こう言った 「4月15日午後5時半、ご臨終です」 …え?なんで?なんで?嘘よね?夢よね?! 何も考えられなくなって呆然と立っていることしか出来なかった。啜り泣く声と、背中をさする音 その後のことはあまり覚えていない。 悲しみに明け暮れている日々。彼の親から手紙をもらった。下手くそなあなたの字で『喜代へ』と書かれていた。読んでみると 『喜代へ ごめんな、こんなに早く別れてしまって…俺は喜代が落ち込んで苦しんでいると思う。とても心配。俺は死んでしまった。もう会えない。だけど喜代には生きていて欲しい。俺が生きれなかった分生きていて欲しい。頼むから。俺の願いだ。喜代に出会えてよかった。最後の最後に言わせて欲しい。【喜代のことが好きでした】こんな形になってごめん、もっと早く言ってればよかった。まぁ元気に、さようなら』 涙が溢れ出した。泣けなかった。涙が出てこなかったのに。あぁすきでした、私も同じだよ。両思いだったんだね。わかった、生きるよ。生きて幸せになるよ。あなたへのメッセージ。毎日願うよ。 手紙から何かが落ちてきた。拾うとスノードロップの押し花だった。どれだけ泣かせたいのか… それを抱いて泣いた。そのあとは前を向いてまた歩いて。今はとても幸せ。 今でもそのスノードロップの押し花は大切に持ってらしてるそうです。『あなたのすきな花はなんですか?』 ※(フィクションです)