スポットライト
3 件の小説え? なんて?
決まってそれをみるのは屋内だ、普通の少年が部屋の隅っこで立っている 「すみっこさん」 そう名付けたのは確か十一の秋だった。 当時は親にも先生にも友達にも信用されなかった、とうとう折れた心には信じてもらえないと言う文字が刻まれた。 別に見られている訳でも喋っている訳でもない、ただそこに置き物のように突っ立っている。 すみっこさんは幽霊なのかな? でもそんな言葉で片付けれるものではなかった、すみっこさんは「触れれる」し、自分に対してなんの悪意も感じなかった。 人間とは怖いものでそんな奇怪な状況でも慣れてしまう。 しかし「慣れ」とは何かがいつもと違うとその分強烈な違和感を作り出す。 「え? 」 すみっこさんが目を合わせてくる。 いつもと違う 急に怖くなった 硬直した自分に向かってすみっこさんはパクパクと口を動かした。 「え? なんて」 そう反射的に言葉にするとすみっこさんは叫んだ。 「やめて」 と だから俺は言った 「え? なんで」 と、片手にもったナイフをギラギラさせながら身長が俺より小さくなったすみっこさんに向かって歩いて行った。 「いつも仕事のストレス発散に付き合ってくれてありがとうね」 すみっこさんは幽霊なのかな、いや違う、この生暖かい液体の感覚は「本物」みたいだ。 しかもどんな暴力を振るおうが、寝て起きたらいつも何事も無かったように突っ立ってるし。 肺に銀色の刃が突き刺さるとすみっこさんはぶくぶくと喉から音を立てて叫んだ、口もパクパクさせている。 何か言いたげな表情だから、聞いてみた。 「え? なんて?」
読まないでください
死神がいる、私のすぐ近くに 死神がいる、私を殺すために 死神がいる、音を殺しながら 大きくて暗い図書館の中、私は1人でいる 心は寂しさと恐怖心が支配して背後にある闇から逃げる様にただ前を向いて歩いていた。 ふと廊下に落ちている本を拾う 白紙が続く中ど真ん中のページに一言何か書いていた 私はそれを見て手足の感覚が無くなる様な恐怖を感じた。 「死神はあなたが死ぬ様に運命を進める」 それを読み終えた途端本棚が私の方に倒れてきた。 私は下敷きになり身動きが取れなくなる 周囲を見てみると私が歩いてきた暗闇から足音が聞こえる。 ......カシャン......カシャンッ と、金属製の「何か」を持ちながら 「誰か」がやって来る 暗闇から顔が見えるくらいの近さまでやって来る、それは顔の無い人型であった 顔全体が皮膚で覆われた様にツルツルしたソレは手にチェーンとディスク状の刃物を持っていた 私にできることは絶叫しか無かった、顔の無いソレはついに私の目の前までくるとしゃがみ込んで手に持っているディスク状の刃物を無理やり口の中に詰め込んできた 叫べば舌に歯が食い込み痛みが増す、私はどうしたらいいか分からなくなった ソレは私の背後に回ると首にチェーンを回しかけた 私はどうなるのか恐怖よりも怒りが出てくる ソレはチェーンを引っ張りだした 首から糸が張り切れる様な音が激痛と共に数回する、声にならない声をあげる 次に鈍い音が鳴るそこで私は痛覚が無くなった おそらくは死んだ その瞬間私はとあることを思った 死神を許さない 同じ目に合わせてやる 絶対に許さない、ころすころす 死神は誰だ? コイツか? ......死神は私が死ぬ様に運命を進める この物語を進めていた奴は誰? あ、いた
橋本が消えた
「なあ相原、橋本が消えた」 友人から友人が消えたという報告を、あなたはされたことがあるだろうか。 俺はある、 しかもそれは「昨日のテレビ何見た?」とか、「キーホルダー無くしちゃった」とか、それぐらいのテンションで聞かされたものだった。 「は? 何言ってんだ」 いつものファミレスの窓際席、外は雨が降っている。 目の前にはカレーを食べる金田がいる。 「橋本に電話しても家行ってもいないんだ」 なんでコイツは焦りが無いんだ? 「でもよくよく考えたらさ、俺橋本に会ったことないんだよな」 水を手に取って飲む 「なーに言ってんだよ……いやまてよ」 確かによくよく考えてみたら三人で遊んだ記憶が無い 「なんで急に消えたって思ったんだよ」 「なんだろうな、なんか消えた気がするんだよ」 カラーンコローン… ファミレスの扉が開かれる 「おっ! お前ら集まってたのね!」 「…………」 「え、誰?」