Riru_401
58 件の小説赤いクマのぬいぐるみ
赤い色に染まったクマのぬいぐるみが落ちている。 この世の憎悪や悲しみ、戦争、すべての闇などの色を染めたようだ。 世界は死んでいる。 毎日戦争や紛争で人がなくなり、動物がなくなり、餓死で人がなくなり、 人間の生とはまるで神のおもちゃのようだ。 神に気に入られた者が幸福に満ちている。 逆に神はいるのだろうか。 神は死んだもしくはいないからこの世界が壊れていく一方なのではないか。 クマの目には戦争で悲しむ人々の姿がうつる。 腕がとれ、綿が丸見えなクマ。 持ち主は帰って来ずただ銃声を聞きながら転がっているクマ。 その姿はまるで絶望や孤独を表しているようだ。
しやま駅
しやま駅。 地図には存在しない駅。 しやま駅行きの電車から見える景色はどす黒い闇。闇の中に見えるぶらさがっている死体。 そこでは寝てはいけない。 寝たらあなたも死体になってしまうだろう。 どんなに睡魔がきても、どんなに寝たくても帰れるまでは、寝てはいけない。 悪臭。睡魔。死体に囲まれる生活。空腹。食欲。喉の乾き。暇。不潔。虫。孤独。 この全てに耐えられた人がその駅から帰ることができるだろう。 体験した女性の話。 奏美さんは遠くに住んでいる家族の家に帰省している最中でした。 奏美さんは電車の中でうとうとしてしまいそのまま眠りにつきました。 奏美さんはあと少しで実家の最寄り駅に着くかなという時間に起き時計を見ようとした瞬間周りに誰もいないことに気づきました。 田舎ならまだしもまだここは都会のはず。 人がいないのは不自然です。 奏美さんは不思議に思いながらもなにも気にせず真っ暗な窓を眺めていました。 窓を眺めていると駅は停車し始め、暗闇の中にうっすらと人影が見えました。 乗ってくるのかなと奏美さんは思いましたが一行に乗ってくる気配はなく、電車が発車するのを待っていました。 しかし、何分も何時間も電車は発車せず、だんだんと強くなる悪臭に嫌気がさし、電車を乗り換えようと奏美さんは電車から降りました。 電車から出た瞬間、さきほどの悪臭がさらに強くなり、奏美さんは思わずハンカチで鼻を抑えました。 辺りを見回すと奏美さんは恐怖で震え上がりました。 どす黒い闇の中。上からぶら下がる死体。その周りに山になるように重なっている死体。壁に横たわっている死体。死体。死体。 さきほど人影だと思っていたのものは全て死体だったのです。 奏美さんは電車の中に戻ろうと後ろを向いた瞬間電車がないことに気づきました。 もう戻れない。もう家族に会うことすらできないと絶望しました。 −2日目− 奏美さんは腐った死体をかき分け、駅の看板を探しました。 駅の看板は汚れて、錆びて、文字が見えにくい状態でしたが来ていたズボンの裾を破り拭いてみると駅の名前が書いてありました。 「しやま駅」 こんな駅はなかったはずなのになんで、 奏美さんは疑問に思いました。 奏美さんは恐怖で震え上がりました。 しかし昨日からなにも飲まず食わず、睡眠もとっていません。 なにかを食べたくて飲みたくて、寝たくて仕方ありません。 ここで寝るのはまずいんじゃと奏美さんは眠たい目を無理やりあけ、食べ物を探しました。 どこを探しても食べ物はありません。 奏美さんはお腹を空かしたままその場に座り込みました。 「きつい、お腹空いた、誰か助けて、、。」 そう呟いた奏美さんが顔を上げると目線の先に蛇口がありました。 奏美さんは喉が乾いていたのでとても喜びました。 その蛇口をひねると、中からは水?いやどす黒い悪臭を放ったなにかがドバドバと出てきました。 すぐに蛇口をしめ、飲むのを諦めました。 結局飲み物も食べ物も見つかりませんでした。 −3日目− 奏美さんはボーッとしていました。 酷い死臭にも慣れました。 「このまま死ぬのか、。 最後にお母さんとお母さんに会いたかったな。」 そう思ったとき、ぶら下がっている死体がなんだかぶら下がったお肉のように見えました。 「あれは死体だったはず、、」 奏美さんはそう思いました。 食べようと思った瞬間、ぶら下がってるお肉の下に山のように積み重なるした死体が見えました。 この人たちもこのぶら下がってる死体が幻覚でお肉に見えたのではないかと奏美さんは考え、食べるのを辞めました。 寂しい。 苦しい。 眠たい。 喉が乾いた。 お腹が空いた。 疲れた。 奏美さんは倒れ込んでしまいました。 もう死ぬだろうと諦めかけた瞬間電車がやって来ました。 奏美さんは高揚しました。 神様が救ってくれたんだ。 そう思いました。 奏美さんは重たい体を何とか動かし、電車の中に入りました。 電車の中に入った瞬間突然強い眠気に襲われ、奏美さんはそのまま眠ってしまいました。 目が覚めるとそこはいつも通りの電車の中でした。 死臭もしない、腐った死体もないいつもの電車でした。周りは家族で楽しかったねという会話をしていたり、スマホをいじっていたり。 外は夕暮れでした。 夢で良かったなと奏美さんは安心しました。 履いているズボンが破れていることも知らずに。
惨めなゾンビ。
私は貴方がいない世界で1人彷徨い続ける。 貴方の手、貴方の肌、貴方の髪、貴方の目、貴方の熱、貴方の声、全てが愛おしく、懐かしく、寂しい。 貴方の熱を求めて。 貴方の温もりを求めて。 彷徨い続けて、冷えきった私はまるで氷のようだ。 貴方が私を見る目がとても愛おしかった。 貴方が私の手を恥ずかしそうに繋ぐ姿がとても愛おしかった。 どこにいるかも分からない貴方を探し続けて。 死んだ男に会うのを夢みて彷徨い続ける私を皆は本当にゾンビのようだと気味悪がる。 貴方が死んでしまったという現実に向き合う事が出来ずに会うのを夢見ている私は本当に惨めだ。
踊り狂い。
みんな自分を嫌ってるようで 無意識のうちに閉じ込めてるようだ。 自分の本音を閉じ込めて 笑顔の仮面を手放さず 周りに嫌われないように。 自分が自分を無意識に嫌ってしまうから周りには好かれようとする。 笑顔の仮面が スマホのように手放せなくなって。 顔に張り付いたまま 仮面の下の自分も見失って。 子供の頃キラキラして見えた大人も今は黒くて闇深い汚らしい物にしか見えず、 逆に子供の方がキラキラしてみえて あの頃に戻りたいとはこういうことなんだと悟った。 子供のようにはしゃいで踊りたいと何度切実に願っただろう。 社会の鎖に縛られ、闇に囚われ、光も希望もなくなってしまった。 キラキラして見えるアイドルや俳優を見てもその笑顔の裏に何があるのだろうと考え初めてしまう。 踊って狂って、この世界から抜け出したい。 「あいつはなにやっているんだ?」 「馬鹿なのか?」 などの非難の言葉は聞かずに。 踊って、踊って、狂って。 いつの間にか今までの苦しさまで忘れるように。
堕落した人生。
これならできる、きっと我慢すればいい未来がある。そんな希望もなくて。 「頭が痛い。」「学校行きたくない。」「死にたい。」 そんな言葉は「ただの甘えでしょ。」っていう一言に打ち砕かれて。 少しでも失敗したら呆れられて。怒られて。 こんなに辛くてももう涙すらでてこなくなって。 でも、どんなに憎んでも嫌っても恨んでも心の奥ではその人からの温もりを欲してた。 ただ笑って最悪な毎日がおわる日を願うばかり。
呪い。
私は今とても幸せです。 大好きな赤に染まって。 大嫌いな人間の助けを求む声が聞けて。 この世界の人々は私の事を呪うでしょう。 でも私もあなた方を呪います。 何度助けをせがんでも何も知らない振りをしてきたあなた方が。 幸せに生きれると思うな。 私はいじめられていることを何度も話しました。 でもだめだった。 助けてくれなかった。 本名も顔も公開してあなた方に話した。 それなのに見て見ぬふり。 あなた方も今ニュースを見て驚いていることでしょう。 何度も泣いて助けを求めた私が映ってるんだから。 あの時の事を思い出して怖がれ。くそ野郎。
わがままだろうか。
自分は錆びたネジのようだ。 錆びたネジのようにこの世界を崩すような存在としか思えなくなった。 錆びたネジのように自分は要らなくて、捨てられる存在だとしか思えなくなってきた。 自分が発した言葉はもうどれが本当でどれが嘘かもわからなくなってきた。 最初はここは嘘をつこうとか考えながら話してた。 最近はもう日常的に嘘をついて笑顔も心の底から笑っているのかさえわからなくなってきた。 嘘をつくのが当たり前になって本当の自分を見失ってしまった。閉ざしてしまった。 誰か閉じてしまった自分を開けてはくれないかと無意識の内に待っていて。 でもそんな人は一向に現れなくて。 いつから死にたいと思うようになったのだろうか。 辛さを乗り越えればいつかきっと幸せになるという言葉を信じて生きてきた。 けどもう限界だ。 いつまで待てばいいのか。いつになったら死ねるのか。 幸せになる未来を見る余裕すら奪われて。 前のように「なんとかなるだろう」とポジティブな考え方も奪われて。 なにもかも奪われて。 残ったのは辛さだけだ。 いつまで待てば死ねるのだろうか。 ある人は「死ぬのは甘えだ。」と言った。 またある人は「あなたよりも辛い人は星の数ほどいるんだ。」と言った。 辛さは人によって種類も感じ方も違う。それに優劣なんて付けれるわけないだろう。 例え、死ぬこと=甘えだとしても死にたいと思ったということはそれまで辛いのを我慢してそれが爆発してしまったんじゃないのか。 そんなことを思ってもその言葉を聞いて怒りより先に悲しみがきた自分はおかしいのだろうか。 そんなことを言ってもまだ消えたくないと思うのはわがままだろうか。
みんなの幸せ。
私が赤い綺麗な炎に包まれたら、みんなは嬉しがるだろうか。 私があの何メートルもあるビルの上から飛び降りたらみんなは楽だろうか。 私が冷たい水の中に沈み、浮き上がって来なければみんなは楽しむだろうか。 私が縄を首に巻き、てるてる坊主のようにぶら下がったらみんな嬉しいだろうか。 私が車に轢かれ、グチャグチャになってしまえばみんなは喜ぶだろうか。 私が生まれて来なければみんな幸せだっただろうか。
蜘蛛の糸。
「縁」 それは一見深そうにみえて蜘蛛の糸のように簡単に切れてなくなる。 「ずっと友達だよ!」とか「ずっと一緒ににいようね!」とか、本当に言葉通りになる人は数少ない。 1本の蜘蛛の糸で繋がる。 ずっと一緒にいる人は何本も何本もたくさんの糸で一緒にぐるぐる巻きにされてるんじゃないだろうか。 でも1つの喧嘩や、他の出会い。 そんなちいさなきっかけで簡単にちぎれてしまう。 それでもまたまた繋がったり喧嘩しても一緒にいる人達はすごい丈夫な糸で結ばれているのではないか。 蜘蛛の糸は7種類あるらしい。 さっき言った人たちは7種類の中で1番強い糸。 簡単に離れる人たちは7種類の中で1番弱い糸。 そんな糸で結ばれているのではないか。 そんなことを考えても、蜘蛛の糸のように簡単にちぎれてしまう物を僕は信用出来るわけない。
砂時計。
今こうやって小説を読んでいる間も砂は流れている。 砂は止まることなく流れ続け、最終的には流れきってしまう。 たまに割れたり壊れたりする。 砂がガラスから出たら終わり。 砂時計は思っている以上に脆くて壊れやすい。 でも、物によって壊れやすさは違う。 健康的な生活を送ってきた砂時計だけは壊れにくい。 流れきる、もしくは壊れたら今まであったことは全てリセット。 また反対にされて流され始める。 知らぬ間にループ。ループ。 砂時計たちは知らぬ間に流され続けている。