桜ユウ
4 件の小説本棚の秘密
私は人が信じられない。 何をしても裏切られて絶望する気がして、友達を作るのが怖かった。 だから,学校に行っても,友達と喋っていても,心の中はぽっかり穴が空いたように孤独だった。 唯一外に出て信頼出来るのは,大学の先輩だ。 私が泣いても,無関心を装っても話しかけてくる。 はつらつとした元気な笑顔で。 私は先輩の笑顔が大好きになった。 そんなある日,私の部屋の本棚が白く眩く光り輝いた。 「何事?」 そう思い本棚の近くまで行った瞬間。 「ーえ?うわっ!ー」 ー 一つの大きな扉の前に立っていた。 目の前の扉を外に開けるようにして開けたところ,大きな階段が見えた。 階段には,一段ずつ年齢が書かれている。 「1.2.3.4.5…16.17歳の階段…。」 一段ずつ登っていくと,18歳の段にたどり着いた。 しかもこの階段,登っていくごとに過去の私が一輪の花を携えて立っている。階段を踏むと,まるでお花畑が咲き誇るかのようにフワっと広がった。 しかし,15歳の段からは過去の私がいるだけで花は咲かない。 15歳の私はお花ではなく,紐を輪っかにしていた。そしてじっと下を向いている。 16歳の私は,ハートの形をした手紙を持っていた。 そうだ,好きな人に想いを伝え損ねたんだ。 だから……、 悲しい顔をして下を向いている。 そして17歳。 17歳の私は,友達の顔形をしたそっくりの人形を持っていた。 ,何人もの親友をこの時一気に失った時期だ… やはり,悲しい顔をして下を向いている。 幼少期時代・小中時代、何にも考えなくとも過ごせていた毎日。 それは,私の親・祖父母の力あってこそ笑顔で過ごせた。 高校生時代・そして今,私は大人の力なしに自分で抱えた問題を解決しなければいけない。 「ー私できないよ、どうすれば正解なの,ねぇ,誰か教えてよ。ー」 泣いて喚いても誰も手は貸さない。 自分で考えるしかないのだ。 いつしか先輩にこんなことを言ったことがある。 「私,無理して笑ってしまうことがあるんですよね笑」 いつもの陽気な返答が返ってくると思いきや, 真面目な顔で, 「それ,辛くないの?」 私はこの時,無理して笑うことが辛いんだということが分かった。 苦しい,自分の想いを言えない、、 親友と仲違いする形になるのが怖くて,友達ともうまく喋れない。 好きな人にさえ、喋れなかった。 18歳の階段、今の私。 登らなければ…登らなければ。 「(私の思い・想いを受け取って…)」 小さな声が懇願するような声に聞こえたその時,私は表に出していかなければ自分はそれ以上の荷物を背負う事になる,それを未来の私に背負わせるわけにはいかないんだ!と、 小さな光の束を受け取った。 そうして私は18歳の階段を登った瞬間、 また目の前に扉が開かれた。 ー開けるとそこに,笑顔になった未来の私と過去の私が抱き合っていたー 私に気づいた2人。2人は歩み寄って現在の私を抱き寄せた時,眩い光が太陽のように光って私の視界を白くされ、気づいたら ーー本棚の目の前に立っていた。 もう,本棚は光っていない,光っているのは頬に流れた大粒の涙だった。ー
夢の中の君は
君は私が辛い時に限って夢に出てくるね。 「友達と喧嘩してしまった日に」 「夜眠る時、辛くて中々眠れない日に」 「親と意見が食い違って、泣きたい日に」 「大学生にもなって、友達とも上手く話せなかった日に」 「アルバイトに落ちた日に」 「ルールあるばかりの社会から自由になりたい日に」 「風邪で辛くて寝れない日に」 「大好きな友達に裏切られ、大泣きした日に」 …そうだ、あと1つ。 「君に初めて、振られてしまった日に」 慰め上手の、最愛の人。 私はそんな君を、愛していた。
愛とは
運命なんてどうでもいいから,ただ1人の人を愛し愛されたい。 理想・条件・ステータス・経済なんてものは飾り。 私の願いは,愛し愛される人を一生かけて幸せにしたい。
瞳は何も物語らない
3月。その日は雨がザーザー降っていた。 「せっかくの卒業式に、雨か…」 いや、でも私は雨女だし良い事あるかも、行事がある日に限って雨も降りたがるから。だが…好きなあの人は、雨の日にわざわざ来ないだろう。そう考えると何だか心にまで雨が降るような気がした。 「手紙、送り過ぎたから嫌われたのも同然だから仕方ない」と思うより他ない。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 結局、好きなあの人は来たらしい。私は緊張で心臓が壊れないように頑張って胸の高鳴りを抑えた。「声が、聞こえる。」 卒業式で名前を呼ばれるまで待たなければならない苦痛な時間に、好きなあの人を考える余裕は無い。早く立ちたいのに立つことすら不可能なこの時間。「友達はどうしてるかな〜」と、考え事をしていれば腰の痛みは無くなると思った瞬間に「牧野優花」と呼ばれた。タイミングが悪すぎる。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 私は何度か壇上に立つ機会があった為、好きなあの人とは必然的に顔を合わせてしまう。しかし私は顔を合わせない目も合わせない。「手紙を送り過ぎた迷惑な人」としか、思われていないのだから。その視線すら見たくない。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー その視線の先に、私はいるのだろうか。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 卒業式が終わってガヤガヤしている。私はまたもや壇上に上がる機会があった為、好きなあの人には目も合わせずに努力していた。まぁ最後ぐらいに目を合わせてもバチは当たらないだろう。そう思って視線を合わせた先に、 真面目な瞳で、こちらを射抜くような目をしてじっと見つめてきた、好きな人がいた。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 私が彼に渡した手紙には、こう書かれている。 「好きという気持ちにさせるから、待ってて」