桜ユウ
2 件の小説愛とは
運命なんてどうでもいいから,ただ1人の人を愛し愛されたい。 理想・条件・ステータス・経済なんてものは飾り。 私の願いは,愛し愛される人を一生かけて幸せにしたい。
瞳は何も物語らない
3月。その日は雨がザーザー降っていた。 「せっかくの卒業式に、雨か…」 いや、でも私は雨女だし良い事あるかも、行事がある日に限って雨も降りたがるから。だが…好きなあの人は、雨の日にわざわざ来ないだろう。そう考えると何だか心にまで雨が降るような気がした。 「手紙、送り過ぎたから嫌われたのも同然だから仕方ない」と思うより他ない。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 結局、好きなあの人は来たらしい。私は緊張で心臓が壊れないように頑張って胸の高鳴りを抑えた。「声が、聞こえる。」 卒業式で名前を呼ばれるまで待たなければならない苦痛な時間に、好きなあの人を考える余裕は無い。早く立ちたいのに立つことすら不可能なこの時間。「友達はどうしてるかな〜」と、考え事をしていれば腰の痛みは無くなると思った瞬間に「牧野優花」と呼ばれた。タイミングが悪すぎる。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 私は何度か壇上に立つ機会があった為、好きなあの人とは必然的に顔を合わせてしまう。しかし私は顔を合わせない目も合わせない。「手紙を送り過ぎた迷惑な人」としか、思われていないのだから。その視線すら見たくない。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー その視線の先に、私はいるのだろうか。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 卒業式が終わってガヤガヤしている。私はまたもや壇上に上がる機会があった為、好きなあの人には目も合わせずに努力していた。まぁ最後ぐらいに目を合わせてもバチは当たらないだろう。そう思って視線を合わせた先に、 真面目な瞳で、こちらを射抜くような目をしてじっと見つめてきた、好きな人がいた。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 私が彼に渡した手紙には、こう書かれている。 「好きという気持ちにさせるから、待ってて」