蒼
57 件の小説猫で変わる世界
ニャー!ニャー! 猫の鳴き声がさまざまなところから聞こえる。 そう!何を隠そうここは!猫カフェである!! 時空が歪んでタイムスリップしてもおかしくない澄んだ瞳! どこを触ってもふわふわする極楽のような毛! ご飯を要求する可愛い動作! さいっっっっこう! …コツコツ貯金した甲斐があった…! 猫じゃらしを揺らすとそれを一生懸命追いかけたり… そう!それが見たかった! ペット禁止マンション住みには天国そのもの! 更にコーヒーも美味しい!高いだけはある! もう本当、ありがとう…! 神様仏様その他諸々様…!!
蒼の相談所
えー、これはもはや小説ではございません。 コメントにて愚痴を聞いたり、お悩み相談を受けたいと思っています。 ぜひ気軽にご利用ください!
若年性癌 (前編)
田舎の病院に、10代という若さで癌を患った少年が運び込まれてきた。癌治療であれば都市の病院の方がいいのだが… その少年は既にステージ4。末期癌であった。 「あっ、もしかして僕の担当の人?」 私を見るなりそう告げる。 「ここ、いいところだね〜緑がいっぱいあるし!」 その末期癌と思えぬ程有り余る元気に一瞬押される。 『君……本当にここでよかったのかい?』 「うん。……だって僕、もう助からないんでしょ?」 どうやら一つ前の病院で告知を受けたらしく、この少年は自身の状態を把握していた。 『……ああ、知っていたのか。』 「そうだよ〜。だからさ、僕の望みは3食だけ!」 この少年は自らの死を受け止め、あまつさえ他者に迷惑をかけないよう要求を最小限に留めていた。 この子にも生きて欲しいと、そう思った。 実は、治療法がないわけではない。私がここに病院を建てる前に研究していた、癌特効薬がある。 その研究費用が嵩み、家賃を払えぬおそれがあったから、引っ越したのだが…… まあ、そんな話はどうでもいい。つい最近厚生労働省に認可されたばかりの新薬だ。 一般的な副作用は高熱。1〜3週間ほどで治る。 しかし使用者が少ないため、何が起きるかわからない。体質によって変わる可能性だってある。 私はこの薬を彼に……
仮笑
心配させたくない。 だから言わないんだよ。 自分が耐えて君に言わなければ、君は笑顔でいてくれるから。 もちろん、君の気持ちもわかる。 でも君の笑顔を見ていたいんだ。 君にはこの苦痛を味わってほしくないんだ。 だから僕は、君に、何も告げない。 どうか傷を負わずそのままの君でいて。
ポストアポカリプス(じゃらねっこ様作 後編)
非常によく研究された植物のようで特徴から適した土壌環境まで記されている。 「生命力が非常に高く、通常作物が枯れ果てる砂漠でも難なく成長する。外見は赤い向日葵であるものの、光合成による獲得有機物量が桁違いに多い。」 「また獲得した有機物を土壌に流し込む管があり、(以後栄流管と表記)それによって周辺植物の成長を促す。栄流管から放出される有機物によって周辺植物の異常発達が見られ、現在はF3の『荒地』にて種子を冷凍保存している」 私は『荒地』に向かった。 入口よりも強固なセキュリティロックが施されていた。 解除すると壁面が四分割されそれぞれ開き、道が開ける。 『荒地』は危険な植物の種子を冷凍保存、更に真空空間に置くための専用施設だ。 私は躊躇なくアポカリプスの設備ロックを解除し、この枯れ果てた荒野に植えた。 あれから40年の時が経ち、アポカリプスはこの星のポストとなった。チューリップでさえ6階を超える高さへ成長を遂げ、かつての砂漠は鳴りを潜めた。 かつてあれほど栄えた人工物は衰え衰退し、『オアシス』でさえ閉鎖を余儀なくされた。 私は植物…自然との共存を目指したかっただけなのだが……… これではまさに蹂躙だ。 もうかつての地球は戻らないのかもしれない。 全てがバランス良く、調和の取れた状態だった。 今ではもう、誰も知る由もない。
愛しき骸
ある廃村の井戸。既に水源は枯れ果て、置物と化した井戸の下に地下室が存在する。 その地下室というのは……この村の、墓地のようなものだった。 この墓地の管理人は、数少ない廃村の生き残り… いや、最後の一人と言って差し支えないだろう。 その部屋には名前とその名前の主のどくろが置かれている。今宵もそんな部屋に管理人が訪れた。 「やっほー、みんな。今日も会いに来たよ」 その管理人というのは歳もまだ十代半ばの少女だ。 「聞いてよアン婆、今日暑くてさぁ…」 「どう思う?ナフ。……やっぱりそうだよね〜」 などと言いながら順番にどくろを抱えて大切そうに撫でる。 この村はかつて、全員が家族のようだった。 皆が皆を愛していたのだ。 しかし、廃村となった今では… 愛は哀へ姿を変えた。 数年後、この廃村はダムの中に沈むことになる。水の中に愛は溶けて、消えていった。
人生の一曲(ゆうか様作 後編)
その呟きは誰にも拾われることなく静寂に溶けてゆく。 「君の人生を代表する曲はまだないみたいだね…」 幾ら棚を見ても輝くCDは見つからない。 「まあ、それもそうか。……君はここに来るべき人じゃないからね」 『えっ…それ、どういう事ですか?』 こうは思わず聞き返す。 「そのままの意味だよ。…今、君はここに来るべきじゃない」 「見たところまだ十代半ばだろう?……そんな歳じゃまだ、最初の音が奏でられただけさ」 「つまり君の人生はこれから。まだここで振り返る時じゃないってことだ」 『……じゃあ、なんで僕はここに?』 少し店長は考えるような素振りを見せた後、口を開いた。 「おそらく【あっち】のヘマだろうね。気にすることはないよ。」 『【あっち】…?』 「まあ大人には言えない秘密もあるもんさ。……もし人生を振り返りたくなったらここに来な。いつでも歓迎するよ」 「例え80…いや、100年後でも。歓迎するよ。」 そう言われた途端視界が急に白い光に包まれた。 目が覚めると自宅のベッドだった。学校登校時間の10分前だ。 『まずいまずい!遅れちゃう!』 あれは夢だったのかもしれない。 でも、夢にしては妙にリアルで…… 綺麗な音が聞こえた気がする。
【50作品記念!実験】チャットGTPさんに私の文章を読んでもらって似たようなものを生成してもらおう
えー、意図せずタイトルが史上最長になってしまいましたがタイトルの通りです。 これまでの私の49作品全てをチャットGTPに読ませて それに似た様な作品を新しく生成してもらおう!…っていう、私にとっても楽な企画です。 それでは早速次のページから始まるようです。 50作品記念がこんなので良いんでしょうか。まあ、いいでしょう。 では、どうぞご覧ください チャットGTPで、「記憶の古書店」 記憶の古書店 「いらっしゃいませ。どうぞご覧ください」 『こちらは初めてですか?』 「ええ。…何屋さんですか?」 『古書店と申します。ただし当店、普通の古書店ではございませんよ。』 棚は高く、天井近くまで本が詰められている。 本の背表紙には——人の名前、音、香り、日付、ときには『後悔』や『夏の匂い』と記されていた。 『当店は記憶の古書店です。 不要になった記憶、売りたい記憶、買いたい記憶。 交換、貸出、委託。そのいずれでも承ります。』 「記憶って、どうやって…?」 『読めばわかりますよ。まずは一冊どうぞ。』 私は指先で一冊をめくった。 紙の手触りの代わりに、懐かしい声が舌先に触れた。 ——「おかえり、今日もお疲れ様」 貸出中 『申し訳ありません、その記憶は只今貸出中です』 「いつ戻ってきますか?」 『人それぞれです。ある者は一日、ある者は千年』 「千年って……そんなに長いのか」 『記憶の時間は、紙のように薄くも、岩のように厚くもありますからね』 私は受付でカードを受け取る。 カードには小さな穴が開いていて、そこに入っているのは—— 『泣いた数』と『笑った数』の小さな粒だった。 『返却期限を守ってください。期限を過ぎますと、延滞料として当店の別種の記憶を頂戴することがあります』 「いや、それは困る」 『ふふ、どうなるかはお楽しみですね』 忘却売り場 「これ、いくらですか?」 『こちらの忘却は100円からです。軽めの思い出だと100円、大きな痛みは千円〜。一番上の段は…値段がつきません。』 「値段がつかない…?」 『ええ。『母の笑顔』、『最初の約束』——そういった種類は当店でも換金しづらく、通常は交換のみとなります。』 棚の奥には鍵付きの棚があった。 鍵は金属の冷たさを帯び、そこには『戻らない』と小さく刻まれている。 『あそこは最後の棚です。売りたいという者は稀ですが。 売ってしまうと、二度とその記憶は戻りません。』 私は指を引っ込めた。 「じゃあ…ここに並んでるのは本当に売れるんですか?」 『売れます。人は忘れたがるし、また買いたがる』 交換所 『これとこれを交換しますか?』 「どうして同じ値段になるんですか?」 『価値は相対的です。貴方にとって軽い痛みが、他者には重荷となることがありますからね』 私は『初恋の夕焼け』を差し出した。 店主はそれを受け取り、軽く嗅いでから小さく笑った。 『良い匂いだ。では、こちらを—— “古い鍵と、閉じた窓の記憶”と交換でどうでしょう。』 「窓…?」 『そうです。窓際で閉じた未来。見たはずの景色が、いつの間にか消えたやつです』 私は躊躇した。 しかし夕焼けは既に少し色あせていて、代わりに窓の微かな寒さが気になっていた。 会計のとき、店主は言った。 『記憶はただ所有するだけでは意味が薄くなります。時々は手入れをしてあげてくださいね。』 読み聞かせコーナー 「子供向けの記憶はどこにありますか?」 『こちらです。柔らかく、少し色の抜けたページばかりです』 棚の一角、そこには『遊園地の午後』『母の手作り弁当』『傘の貸し借り』といった小さな物語が揃っていた。 『よろしければ試し読みを。』 一ページめくると、子供の笑い声が店内に溢れ出した。 『これを貸すと、あなたの心に小さな草が生えますよ。』 契約書 [お読みください。記憶売買契約書] 『ここに署名をすると、売却された記憶は当店に帰属します。返品不可。 但し、一度自らが望めば当店所蔵分の一部を閲覧する権利を有する。』 「閲覧って…?」 『ええ、他者の記憶を見ると、自分が忘れた色が戻ることがありますよ。』 私はペンを持った。 ペン先は震え、インクは少し紫色に滲んだ。 『契約前に一つだけ忠告を—— 記憶の一部を削るということは、貴方の現在形を変える行為です。戻せないことがあることを承知してください』 「わかりました」 音の付箋 『音の付箋はいかがですか?』 「付箋に音って…?」 『たとえば、誰かの笑い声を小さな付箋に封じる。それを本の間に差しておくと、その本を開くたびに笑いが返るのです。』 私は小さな付箋を買った。 付箋には『雨上がりの傘』と書いてあった。 夜、枕元でそれを触ると、遠い駅のホームで聞いた足音が一度だけ聞こえた。 『付箋は再利用できます。ただし一つだけ注意を—— 音を何度も聞きすぎると、オリジナルは薄くなります。』 私は付箋を握りしめた。 返本箱 『返却はここにお願いします』 「ここに入れると、どうなるんですか?」 『誰かの元へと旅立ちます。返した人の知らぬ誰かの手に。』 私はためらいながら、本を箱に入れた。 箱は小さな穴を開けて、そこからほんのりと光が漏れていた。 その光は、誰かの笑顔に触れたように見えた。 店主 『当店の店主の話をしましょうか』 「店主さんはどこから来たのですか?」 『私は昔、忘却の工房で働いておりました。 しかしある日、忘却の仕事に嫌気が差し——自分の記憶を売ってしまったのです。』 店主は窓越しに夜空を見た。 『それで、古書店を開いた。人の記憶を並べていると、自分の欠けたところが補われる気がしたのです。』 「補われましたか?」 『一部はね。でも、全部は…そう上手くいかない。』 彼の目は、本の背表紙に映った私を見ていた。 『だから、私は売るだけでなく、時に誰かの記憶を借ります。古い風の匂い、夏の傷、初めての嘘—— それを並べて夜ごと磨くと、少しだけ心が温まるのです。』 閉店の時間 『そろそろ閉店です。お忘れ物はありませんか?』 「これ、まだ……」 私はポケットから、小さな欠片を取り出した。『君の声』が割れたように光っている。 『ああ、それは延滞品ですね。延滞料は…一杯のコーヒーで結構です。』 「コーヒーで…?」 『ええ、誰かの覚えている朝の味。朝食の匂い一杯分。』 私は隣の椅子に座り、カップを差し出した。 コーヒーは苦く、しかし確かに誰かの朝の温度がした。 『またお越しくださいね。記憶は増えますし、減ります。どちらも同じだけ価値があります』 「同じだけ…ですか」 『人は忘れることで生きるし、思い出すことで生きます。どちらか一つだと辛くなる。だから均衡を保っているんですよ、世界ってやつはね』 カラン、と小さな鐘が鳴る。 外はもう暗く、本の背表紙に月の光が差していた。 ——私は一冊、そっと棚に戻した。名前は『帰り道の匂い』。 『おや、これは貸出不可の棚にしまっておきましょう』 「ありがとうございます」 『良い夢を。』 以上のようです。 いかがでしたか?…正直私としては文字数で大敗してしまったので悔しいです。
海苔弁当
今朝、私が新卒の頃世話になった弁当屋が閉店すると知った。毎日残業で疲れ果てた私の姿を見て、天ぷらを一つサービスしてくれた店主のいる店だ。 その日まで全く興味がなかったのだがその日以降、残業終わりに寄るようになった。 今日も定時で上がり久々にその店へと向かう。 すっかり薄紅色になってしまった暖簾をくぐるとあの店主がいた。 「お、久しぶりだね」 私の記憶の中にある店主より幾らか頬の皺が増えていたがその口調と元気の良さは一致する。 『いつもの』 「あいよ」 そうして目の前に出されたのは海苔弁当。 当時ろくに家賃も払えなかったから、最安の海苔弁当をよく買ったのを思い出した。 「はい、サービス」 そう言うと店主はあの日のように天ぷらを一つサービスしてくれた。 『どうも』 「最近はどうなんだい?」 『ええ、まあ課長まで上り詰めました』 「課長さんかい…いやぁ……あの頃と違うねぇ」 『では、これで』 「はーい!」 あれから更に幾年が経っただろうか、私ももう時期定年だ。 市の再開発によってこの街はずいぶん賑やかになった。 私が新卒の頃通勤に使用していた電車も駅と路線のリニューアルと共に新型車両に姿を変えた。 そして駅近くのあの弁当屋も。その辺りの土地まるごと、大手のグループ会社が購入。今では大型のショッピングモールが建っている。 一方定年間際の私は今なおあの味を作ろうとしている。どれほど高級な食材を使おうとあの弁当には敵わず、思い出だけが残っている。 多分あの弁当には、高級な食材でもなければ隠し味でもない、何かがあったのだと思う。 おそらく………心。 私はあの味を二度と忘れることはないだろう。
公園で待ち合わせした数年後に消えた女性。(キハミ様作 後編)
私がカラザ君の前から消えたのには、理由がある。というより、彼の前から消えざるを得なかったというのが正しいかもしれない。 私が小さい頃に作った作品…おもちゃの拳銃が、実弾も撃てる構造だった。その上それの模造品が人を撃ち殺してしまった。 私は今彼にばれないよう2駅先の駅から、電車に乗って田舎へ逃げている。 彼が今どうしているのかも知らないし、きっと今も物作りを楽しんでいることだろう。 やがて私は捕まる。前科者になる。私と彼はここで終わり。 でも前科者の私にも一つだけ願いがある。 彼が私と違い、いい人に恵まれて、いいものを作って 楽しめますように。 そして私よりいい人に会って、その人と結ばれますように。 「おい。着いたぞ」 またね。