花咲クズ
4 件の小説ゲーム
あぁ、実にいい人生だった。 子供と孫に囲まれて、最期がこんなに幸せでいいのかねぇ、 感覚がなくなっていく。来世も娘を娘にしたいし、孫を孫にしたいわぁ、 ピピピピ、 (人生シュミレーション 貴方のスコア) スコア? そうだ。シュミレーションゲームしてたんだ。 その事実に気がついた瞬間、 さっきまでの感動、寂しさなどの色々な感情が半減していく。 「いやぁ、神ゲーだったぁ、!娘ちゃんいい子だったし!」 登場人物への感情がどんどん他人事になっていく。 「このゲームで学んだことを活かして生きていこう!」 所詮ゲームだけどね!
ピザ
「ピザって無限に言ってみろよ」 冗談で言ったのは9歳の時のこと。 あれから随分と時が経った。 もう地球にいる人間は2人だけ。 もうすぐ僕らは死ぬ。 死ぬまで言い続けるなんてなんてやつだ。 彼に感激しながらそのまま僕は眠った。 目が覚めると白く、美しくてとても眩しい場所にいた。 ここが天国とやらか。 気がつくと老人と羽の生えた男児が前にいた。 「よくここまで来たな。 今から生まれ変わりの準備をするから目を瞑って座ってなさい。」 老人はそう僕に告げた。 僕はその命令に従うと気づいた時には知らない女性に抱えられていた。 そうして僕は順調に育っていった。 彼のことなんて忘れかけいた5歳の誕生日 公園で“ピザ”とずっと言っている子供に出会った。 母親は飽々している様子だった。 僕はその子供に近づいて聞いた。 「ねぇ、ここは?」 「ピジ。」
想像
「私宇宙人なの。」 彼女が僕の隣でそう呟く。 彼女はそう言うが、にわかに信じ難い。 宇宙人の存在を完全に否定するわけではないが、 僕の同級生として日々を過ごし、僕の隣に座り、僕の肩に頭を乗せているこの“可愛い彼女”が「宇宙人」だなんて、ありえない話だ。 だいたい、なぜ人間の姿でここにいるのか。なぜ、とこのまま話し続けると長くなりそうなのでやめておこう。 「へぇ〜、いいね。」 僕はそう答えることしか出来なかった。 彼女はその返答に驚きはせず、クスッと微笑んだだけだった。 「じゃ、私帰るね。また来るね!」 そう言って彼女は帰っていった。 彼女らしくない嘘は僕を動揺させたが、同時に僕を喜ばせた。 決して変態というわけではない。もう一度言うが、僕は変態というわけではない。 決してだ。断じて違う! 僕がふと時計を見ると0時を回っていた。 「もうこんな時間か。そろそろ寝よう。」 布団に入るとドアが開き、彼女が部屋に入ってきた。 眠気で動けない。 その瞬間僕は悟った。 彼女の嘘は 嘘ではないのだ。 彼女は最初から僕に嘘などついていなかったのだ。 僕が想像する宇宙人とは違っただけだ。 逃げなかった後悔などしていない。 愛する人の手で死ねるのだから。 彼女は最初から僕に嘘などついていなかったのだ。 そんな思考を頭に巡らせているうちに 彼女はあの可愛らしい姿が嘘だったような、恐ろしく、美しい姿で 僕の首を食いちぎった。 彼女は不味そうな顔をして 意識が朦朧とする僕を置いていった。
適当な君と
生徒たちの騒がしい声とうるさい蝉の鳴きごえが聞こえるお昼休み。 涼しい日陰に2人きり。 黙々とお弁当を食べていると、すずが口を開く。 ー 「2人で心中するの。どう?」 「そうしよっかぁ」 きっと、私は今ぎこちない顔をしている。 全てが終わるというのに何故か軽々しい君。 そんな君が大好き。そんな想いはそっと私の胸にしまう。 「何その顔笑」 「なんでもない!」 ー ひぐらしが鳴く頃にローファの音を響かせる。 「もうすぐ着くよ!」 これから2人で死ぬっていうのになんだか楽しそうで、ちょっぴり死ぬ怖さが和らいだ。 それでもやっぱり死ぬのはこわい。 正直まだ生きていたいけど生きているのは辛いし苦しいから。 揺れるスカートと白い肌。風になびく真っ黒な貴方の髪の毛。 もう少しで全てが終わる。 覚悟は決めている。 心残りはない…はず。 「私将来ゆーちんとシェアハウスしたーい!」 「できるかなぁ…でもさでもさ!」 小学生が横を通る。 小さな2人は笑い声をあげて踏切を渡る。 「ね、ねぇすず。やっぱりやめない?」 私は震えながらそう言った。