MOMO
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私の推しはVtuberの結城ライカ。中性的な見た目や声に反して歌声はとても力強くまっすぐ伸び伸びとしている。 しかし私の母はVtuberなどといったチャラチャラしていてろくに学校も行ってないような人たち(母の偏見)が気に食わないようだ。 だが私は諦めない。どうにかして母にも推しと出会う良さを実感させたいのだ! −と意気込んではや数ヶ月。 私は未だ母に推しの良さを知ってもらえずにいた。 「…もう諦めた方がいいのかなぁ。」 確かに自分の価値観を他人に押し付けるのはあまり良くないかもしれない。 そう思いつつさらに数ヶ月。 母の運転する車に乗って買い物に行っていたとき、暇になった私は車をスマホに繋いでライカ様のオリジナル曲を流した。 短いイントロから始まりかすかにすっと息を吸う音が聞こえる。その直後、パーン!と突き抜けるような美しい声が車内に響く。 聞くたびに心臓が震え気分が高揚する声。 母はその声に少し驚いた様子でスピーカーの方を見た。 「これ、なんて人が歌ってるの?」 「…!!」 驚いた。あんなに勧めても全く興味を示さなかった母が自ら質問してくるなんて。 そうか。初めからこうすれば良かったのか。 初めから、私が何よりも好きなこの歌声を聴いて貰えば良かったんだ。 「っ、結城ライカっていう人が歌っててね!」 「へぇー。綺麗な声だね。歌もすごく上手。」 それ以上母は何も話さずただ静かに歌に耳を傾けていた。 私はそれがきっかけで母がライカ様にハマるのではないかと期待したが、そうはならなかった。 「もう少しで行けそうだったんだけどなー…」 そんなことを思いながら母のいるキッチンを覗くと、かすかに音楽が流れていた。 それは私の身体に染みついたあの声だった。 母は私の存在に気づくと、いそいそと音楽を止めてな何事もなかったかのような澄まし顔で「どうしたの?」と聞いてきた。 「あっ、いや、何でもない。」 慌てて自室に戻った私はニヤニヤが止まらなかった。 やばい。どうしよ。嬉しい、嬉しすぎる。 母は私の知らないところでとっくにハマっていたのかもしれない。 教えてくれなかったのはプライドが高い、いや、ただのツンデレかな。 そう考えながら私は棚の中を漁りながらライカ様のファーストシングルアルバムを引き出した。
来世は猫がいい
「ねね、来世は何になりたい?」 「えー、なんだろ」 「私はスタイル抜群の美少女になりたい!!」 同じクラスの女子たちがそんな会話をしている。来世、か。私は来世とか輪廻転生なんてものは信じていない。 でも、もし。 もし本当に来世があるなら 私は 私の来世は −「来世は猫がいい」− 毎日暖かい陽だまりの中で丸くなって寝るんだ。 不安なんて少しもなく、 まぁるく、平和に生きるんだ。
膨らむ
一月一日、私は家で一人寂しく餅を焼いていた。焼いていた、といってもトースターで焼かれていく餅を眺めるだけだ。 餅は好きだ。同じ餅でも磯部餅、きなこ餅、お雑煮、たくさんの種類があるから食べていて飽きない。でも私は食べることより、餅が膨らんでいくのを見ることの方が好きだった。 子供の頃から膨らんだ餅の中には何が入っているのか気になってしょうがなかった。今思えば餅の中の空気が水分で膨張しただけなのだが、子供の頃はあの中にみんなの気持ちが入ってるのではと考え、母親にそのことを話していた。 なぜみんなの気持ちが入っているなんて考えたかはあまり覚えていないけど多分、新しい年を穏やかに迎えられたことへの感謝が入っていると思っていたのかななんて思っている。 でも、私はその考えがなぜかとても愛おしく思えて、幸せに思えて、ただ餅の膨らんでいくのを見ているだけなのに温かい気持ちになれた。 この気持ちも餅のなかにいれて私はぷっくりと膨らんだ餅を頬張った。
将来の夢
おおた かける 5さい ぼくのしょうらいのゆめは、みんなおたすけるヒーローになることです。いつぱいわるいやつおたおしてせかいじゆうのみんなおしあわせにしたいです。 大田 かける 10さい ぼくのしょう来のゆめはサッカーせん手です。ぼくは、たけちゃんと同じクラブチームに入っていて毎日たくさん練習しています。これからも一生けん明練習していきます。 大田 翔 18歳 僕の将来の夢は警察官になることです。 そのために中学のころからたくさん勉強して努力してきました。勉強以外にも体力をつけて今の自分にできることを考えてきました。これからも努力を怠らず、精進していきます。 大田 翔 24歳 過去の僕たちへ 僕は今、地元の交番で働いています。5歳の僕、10歳の僕、夢を叶えられなくてごめんね。 そして18歳の僕、あのときの夢とは少し違うかもしれないけど、今の仕事に僕はとっても満足しています。地元のみんなはいつも温かいあいさつをしてくれ、職場の人たちは厳しくも優しい指導をしてくれます。 子供の頃になりたかったものにはなれなかったけど、“今の僕”は今の仕事に就けて本当に良かったと心から言うことができます。 最後に僕の人生をここまで積み上げてきてくれてありがとう。 これからも誇りを持ってこの仕事を続けていきます。
カラスvs俺
今日こそは。 今日こそは俺の昼飯、カツサンドを守り抜いてみせる。 ヤツはいつもあのパン屋の屋根で俺のカツサンドを狙っている。 だが 今日はいない。 俺は慌てて辺りを見回した。 だが ヤツはいない。 ついにいなくなったかと、俺は安堵し、カツサンドを頬張ろうとした。 その瞬間! ヤツは俺の背後から現れ、カツサンドを奪っていった。 「守れなかった……!」