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5 件の小説願い
毎年8月が来ると 暑い暑い夏を思い出す 初めて会った日 夏が嫌いなあなたを必死に説得して遊びに行った日 ちゃんと恋に落ちた日 ちゃんと恋に落ちてもらえた日 2人は最期まで離れないって決まった日 最期まで一緒にいようって誓った日 誘ったのは私からだった どうにも先に進まない私達の関係を どうにか押し進めたいと思った そう思ったのはきっと 春休みに行った中華街の占いで 8月に恋に落ちて 11月に付き合える そのままその5年後には結婚できる そう言われたからだ 信じる者は救われる、そう思って信じた上で 計算して仕掛けた あなたが8月に恋に落ちる相手になるように その作戦は 思ったよりも上手くいったみたいで まるで今までの曖昧な期間がなんだったのかわからないくらい トントン拍子で 関係が深まっていった 8月あなたに初めて触れた日 私は本当の恋に落ちた あなたもきっと そうだったのだろう 初めて会ったのに 2泊3日の旅行をするのもおかしいし 初めて会ったのに 3日ともずっと居心地が良いのもおかしい そう思った だから私は最後の日に 次の予定を取り付けようと思った 11月じゃなくて 12月に 本当は11月がよかったけど 私たちは大学生だから 本気で勉強を頑張る同士だから 迷惑はかけたくないから そう決めたのは 2日目だった なのにあなたは 予想の斜め上をつく また冬休みに会いたい あなたから言われた 驚いた けど すごく嬉しかった 何月がいい? 私は聞く 早く会いたいから11月 でも忙しいと思うから12月かな そう言われた じゃあ11月に行くよ 私は続けて言う あなたのためなら忙しくても会いに行くよ あなたの返事は意外だった 次は僕が会いに行きたいから だから12月24日にしよう 付き合ってないのに 付き合える保証もないのに 初めて会ったばかりなのに 私は君との一生を確信した クリスマス、いいの?彼女できるかもよ? 私は本心でもないことを聞く 彼女?そんなのいらないよ。君がいるじゃん。 笑いながらそう言ってくれた 次会うまでは遠距離恋愛の練習ね 私がそう言うとあなたは笑いながら 途中でリタイアは許さないから って言った その次の日 またねをした お互い泣きながらハグして バイバイをした 最後に一緒に食べたのは ソフトクリームだった これが最後かもしれない そんなことも考えながら 少しずつ 味わって 食べた そのあとは お互い課題に追われていたけど 週に何回か寝落ち電話をして 近況報告をした そんな日々が続き 11月 電話越しのあなたから 緊張を感じた ねぇ、遠距離恋愛の練習、リタイアしたい どういうこと?好きな人できたの? 私は恐る恐る聞いた いや、そうじゃなくて… 練習じゃなくて 本当の遠距離恋愛しよう 何も言えない私 続けてあなたは言った だから、付き合ってほしい 遠距離がいつまで続くかわからないけど 必ず終わらせよう 私の2年間の片想いは 無駄じゃなくて 必要だったのだ 一緒に頑張って結婚しよう 私から言ってしまった あなたは うん だけ返してくれた 電話越しでもわかった 泣いていること 何度か喧嘩もしたけれど 別れそうになることはなかった 初めて会った日から6年が経つ 遠距離が終わるとわかった日に 結婚しようと言われた すぐに家を決めて 私も引越しの準備をした 今日もとなりには ソフトクリームを頬張るあなたがいる ソフトクリーム、上手く生かせてない…🙇♀️
愛の天秤
愛とは なんだろうか 束縛は 愛だろうか 放置は 愛だろうか 愛には 形がないから 目には見えない でも 表情で 行動で 言葉で 見えるものになる 愛しているなら LINEはすぐに返す 愛しているなら 常に一緒にいたいと思う 愛しているなら 相手を必ず許さないといけない そんなことはないだろう 愛しているかどうかは 愛されてると思わせられるかどうか きっとそうだ 愛の重さは人によりけり きっと私たちは 重さが釣り合う人を 最期まで愛することができる 重さは タイミングによる タイミングが合わないと 片方の重力に引っ張られる タイミングが合うと 互いの重力が相殺して 勢いよくのせても 天秤は 水平なままだ 本当に愛を交換したいのなら タイミングを待つしかない その間に別の人との釣り合いが保てるかもしれないから その準備をしながら 私は今日も 飛び込み台の上で構えている 彼に合わせて 天秤の片側に乗れるように
交差点
いつもの交差点を渡る。 ここを通るのは何回目だろうか。 ここを通れるのはあと何回だろうか。 そんな変なことをぼやっと考えながら。 交差点には色がある。 今日の色は普通のグレーだ。だって憂鬱だから。 今日はというか、毎年年初め数ヶ月はグレーに染っている。 理由は単純。だいたいその時期に不運が重なるからだ。 一昨年は部活が上手くいかなかった。 昨年は受験に失敗した。 今年は恋愛が上手くいっていない。 毎年その憂鬱な期間を超えて春を迎えると、交差点はピンクに色付く。夏は青、秋はオレンジ。 だけどオレンジは徐々に色を失い、冬になる頃にはグレーになっている。 オレンジが黄土色になっていることに気付く度、少し怖くなる。それでも前に進むしかなくて、私はまた交差点を渡る。 私にとって冬はとても辛いものだ。雪、冬休み、新たな出会いのための準備、そんな楽しいことが沢山あるはずなのに、私の心はいつも憂鬱で、交差点はいつもグレーだ。 でも、春になったらまたピンクに色付くだろうという安心も少しだけある。 今だけ、この数ヶ月だけ耐えれば、そう思って毎日必死に息をする。 でも、今年はダメそうだ。 昨年は電車が近くを通るところまで行って、思いとどまった。 まだ私の受験の戦いは終わっていなかったから。 だけど、今年の戦いはもう負けると気付いてしまった。 私はこの恋を手放して、もうすぐ見れるピンクの交差点に備えて次のステップに進もうとした。 大切なこの気持ちも、今までの思い出も、全て捨てて。私の心を殺して。 そう決意した次の日、私の心はまた揺れてしまった。今年は決意が上手くいかない。 部活が上手くいかなくても、引退まであと少し時間があるんだから死ぬ気で頑張るって決意して、強い心で挑んだ。引退試合では今までの自分を超えて後悔なく終えることができた。 受験に失敗しても、大学生活楽しんでやるって決意して、その意志を変えずにここまで来た。今年度、私のキャンパスライフはとてもとても充実した。きっとこれから数年、私の大学での幸せは増えていくに違いない。 今年は恋愛に失敗しそうだから、決意した。なのにその決意が揺らぐ。 でも気付いてしまった。揺らぐことは、その決意はしない方がいい事を意味していると。 暗闇のどん底にいる私。辛くて、寂しくて、何をするにもちょっぴり憂鬱で、どうしようもなくて。 でも今諦めることはできない、と言うよりかは諦めるべきではないんだと気付いた。 代わりの決意を探す。 探すと言ってももう1つしかないだろう。 努力してこの恋を実らせる。 今年の冬は白い交差点を見れるように。 約3年後、彼と一緒に色付いた交差点を見れるように。 私は今日もグレーの交差点を渡る。
運命の人
結婚する人とは、直感的に縁を感じるらしい。 本当なのだろうか。 気付いたときには恋に落ちていた。 気付いたときには誰よりも大切な人になっていた。 君は私に同じような気持ちを抱いていないだろう。 それでも私はめげずに追い続けたい。 君と結婚したいから。 なぜかわからない。 君と会える保証すらもないのに、君との未来を考えてしまっていた。 電車で偶然隣に座った家族。 お母さん。お父さん。赤ちゃん。 幸せそうだった。 お父さんが赤ちゃんをあやしていた。 君を思い出した。 君が赤ちゃんをあやしている姿を想像した。 君と子供と電車で公園に行く途中を想像した。 君の身長と声と考え方しか知らないのに。 君の顔も雰囲気もよくわからないのに。 君は今遠くにいるのに。 これが噂の運命の人の合図なのか。 私がそれを知っているから潜在意識がそうしているのか。 私にはわからない。 ただ一つわかった。 私が君をとても愛していることだけは。
絡まった赤い糸
出会いは画面上だった。 私はいろんなチャットアプリをやって、色んな人と電話をしていた。自分の満たされない何かを補うためか、ただの気まぐれか、始めた理由はいまだに私もわからない。 いつものように「ねおち」そう投稿する。瞬く間もなく「個チャ」に返信が来る。『寝落ちしましょうお姉さん』その中から私は1人を選ぶ。大丈夫そうな人を探して。変な人ならパスしてまた新しい人を探す。 寝落ち相手は正直誰でも良かった。 彼と出会ったのは、大学生になって初めてのテストまであと1週間の時、チャットアプリの関係なんて2、3日で終わるとちゃんと理解し始めた時だった。今日はこの人にしよう。ユーザーネームは読めない英単語、でも一通目が他の人と違って面白かったから。 その日の電話がどんなものだったかは覚えていないけれど、次の日すぐその人との履歴を全部消したことは覚えている。 明日はない、それがこの世界のルールだから。気になる前に、楽しくなる前に、自分から全てを終わらせる。 なのに君は次の日もその次の日も寝落ち電話をしてくれた。それは7月末まで続いた。君ととても仲良くなった気がしていたけど、誕生日は忘れられるし、時間感覚のズレもあって私は彼が苦手になった。 私から1週間距離を置きたいと伝えた。君は泣きながらも約束してくれた。初めての喧嘩だった。私にとっては人生初めての喧嘩だった。 1週間距離を置いてからまた電話は再開した。私の勝手な理由を許してくれた彼は私にとって最強の人になってしまった。 そこから3ヶ月後。君は突然連絡を絶った。後から聞くとちょうど彼女ができた時だったらしい。 私も君のLINEをブロックして削除した。私の中にある全ての君を排除した。もう関わることは2度とないと思った。 そこからまた2ヶ月後。何を思ったか私は久しぶりにチャットアプリを再インストールしていた。 君が見つけられそうなユーザーネームをつけて。 君との再会に期待はしていなかったし、確実に無理だと分かっていた。星の数には届かずとも日本の何万人もの人がいるこのアプリ内で、検索もできずに1人を見つけることは限りなく難しい。 前と同じように彼ではない他の人と通話した。やっぱり関係は2日で終わるばかりだった。 けど、君に見つかってしまった。やけに質問してきて、自分のことを話してくる人だった。 ユーザーネームはラテン語のリバースド•イー。そういえば君の名前のイニシャルはeだったことを思い出した。君のような気がして胸が高鳴るとともに、不安が押し寄せた。 その予感は的中して私はまた彼と繋がった。嬉しかったからか、悲しかったから、なんなのか訳も分からないけど涙が溢れた。電話だけのネットだけの関係、それなのにこんなに君のことを大切に思っていたことに気付いた。 ブロック削除したLINEを再び繋げた。君はまた2日で、いや1日で消えるかもしれない、そんな恐怖と戦いながら私は文字を打った。 女が追うと失敗する。ほんとにそうだと思う。 だからこの恋を『一旦』終わらせるために君の地元に行った。初めて君の地元に1人で行って、帰りのフライトが私の地元に着陸するまで君を好きでいようと思った。 帰りのフライトが終わった時、私はこの恋を『一旦』手放した。 君は好きな人ではない、友達、大切な友達だ、そう思い込んで。 それから4年後。君は私の地元に来た。 私の横には君がいて、君の横には私がいる。フラットだった関係は、4年の時を超えて大きく変化した。 楽しいこと、苦しいこと、ドキドキすること、やっと君と直接共有できている。君と目を合わせて、君に触れて、聴覚だけじゃなくて、私の五感全てで君を感じられている。 君と一緒になれない、そうわかったあの日から密かにずっと願っていたこの幸せを噛み締めている。私は一途だ。私の一途は君を苦しめたかもしれないけれど、時間をかけて君を幸せにするものになったと思っている。 セフレでもネッ友でもただの友達でもない、ちゃんと君が向き合ってくれると信じていた。君を信じることは間違っていない。初めて電話をして、君の優しさに触れた時から分かっていた。 君と出会ったことは間違いじゃなかった。やっとそう思えている。君と付き合うまでに色々他の人ともあったけれどやっぱり最後は君だった。 ありがとう。一直線の運命の赤い糸。