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2 件の小説夏色気分
ジリジリとした暑さが悲鳴を上げる暑さが、 私たちの青春を更に盛り上げる。 少しだけ浮かれた気分になって、 青春を謳歌している気持ちにもなって。 学年主任にこっぴどく叱られるのさえ酷く気持ちよく感じたあの夏の日。 なんとも言語化できないサイダーの美味さを、 サボりがバレて廊下を駆け巡る私たちの姿を、 線香花火のジンクスを信じて願い事を、 夏色気分に浸り続けていたんだ。 恥ずかしい思いしてもいいじゃないか。 叱られてもいいじゃないか。 惨めになっていいじゃないか。 全てのことに飽きたら、自由な旅に一人出てもいいじゃないか。 それを夏が教えてくれた。 さぁ、若者よ。今画面を見ている君よ。青春を謳歌する者よ。これから青春を背負う者たちよ。 コレはまだ序盤に過ぎない。 だからどうか限られた青春時代を一分一秒尊く生きろ。 そして大人たちに見せつけてやるのだ。 “自分たちは今、光り輝いていると“
海誓山盟
カップルが無性にクリスマスツリーを見に来る理由とか、星ひとつ輝いてない空を見上げて「綺麗……」なんて呟く意味とか。 「ウチには一生わからないんだろうなって思ってたんだけどな」 思わず言葉にした思いを、君の耳がキャッチした。 「なに? なんか言った?」 なんでもないよ、なんて言うのも変だと思ったから「あたしね」と話を続ける。 「彼氏とか、一年前までは本気でいらない存在だって思ってたの」 「お前らしいな」 君が優しく微笑んで私を見つめた。 どうやら“私らしい“みたい。 「なによ。彼氏なんて人生に不必要じゃない」 そのとおりでしょ、と同意をして欲しいがために上目遣いでもして言ってみる。そしたら君はクスクスと笑い始めて、「まぁ、不必要なのかもな」ってぽつりと言ってくれた。 だって彼氏が居たところでメリットとかある? そんなことを君に聞いたら「ないわけじゃねぇけど、俺は完全にお前と一緒で反対派だった」って二度目の同意を言ってくれた。 「まぁでも、恋人が居て邪魔だとは思わない」 しとしとと降る真っ白な雪が、さっきよりも勢いを強くして、私たちの間をほんのりと冷たくさせた気がした。 「いや、違うな。お前だから邪魔だって思わないのかも。俺、たぶんお前以外のヤツと付き合ってたら上手くいってねぇし。てゆーかお前だから上手くいってる」 何をバカなこと言ってるんだって思いながらも、内心少しだけ嬉しく思う自分がいた。 すると君がニコッと整う歯を見せて笑い、私の手を無邪気に掴んだ。君らしくないと思うけれど、君と手を繋ぐのはイヤじゃない。 「ねぇ、恥ずかしいって……。手繋ぐのにメリットってある? 絶対ないよね」 君のほんのりとあたたかい手が、身体中を熱くさせてあまりの恥ずかしさに「ぷしゅう」と湯気が出てしまいそうだった。まぁ、いまさら君に言ったってこの手が離れることはないだろう。だって、私もこの手を離したくないのだから。 「メリットしかねぇよ!」