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「そら」じゃなくって「クウ」。 小さな物語をただひたすらに書いて いつか空の上から見る 大きな物語を書きたい。 最近は2ヶ月に1、2回 調子がいい時は1週間来ています。 空の活動 2024.9.14〜終わりなき旅

お遊び鬼ごっこ

8−謎の女性  血孤がスタートの合図を切った。  清佳の体は一瞬体が震え、あの第1ゲームで犠牲となった女の人を思い出した。  また、あんなふうに誰かが死ぬのかな…。いや、“誰かが”じゃなくて今度は私の番かもしれない。 「清佳、これからどうする?鬼が来たら、どうすればいいの?」  叶菜は不安な顔を浮かべながら清佳に尋ねると、泣きそうな顔で清佳の手をぎゅっと、力強く握る。  それに比べてあの女の人は涼しげな顔をしている。  一体どうして?そこまで逃げ切れる自信があるの?第一ゲームを経験しているはずなのに。  いや、今はそんなことを考えている場合ではない  この40分間安全にここに居れる、そんな簡単なゲームではない。  鬼が来たら、身動きを取れずにここで捕まってしまうかもしれない。  犠牲者を1人でも増やすために、血孤もきっとなにか考えているはず…。 「キャー!」  すると、短い叫び声が清佳たちの耳に入った。  誰か鬼に捕まってしまったに違いない。  私が助けなきゃ。そう、頭の中で思っても体が動こうとしない。  私が鬼を避けながらあの人を助けられる身体能力なんて、あるわけがない。  それに加えて、もしあの人を助けられたとしても、今度はあの男の子や叶菜が捕まった時に助けられなくなってしまう。  もしかしたら、助けている際に私が捕まってしまうかもしれない。  そんな考えが清佳の脳裏をよぎる。  今、私が動けばあの人は助かるかもしれない。  しかし、引き換えに私の命が奪われてしまうかもしれない。  でも、でも……。一体、どうすれば……?。 「ねえ、清佳、大丈夫?顔が青白いよ。」  叶奈が、そう心配しながら清佳の顔を覗き込む。 「うん、大丈夫…。」  私が、死なせるの?人を目の前で殺すの?  鬼に捕まって凍った人は、動いてなくても顔が青ざめているのがわかる。  あと数分で自分の命が消えてしまうのだから。  ああ……。どうすれば、どうすれば……。 「大丈夫ですよ。あなたが殺したのではないですから。」  すると、清佳の様子を見ていた女の人がそう、声をかける。  その女の人は、優しい瞳を持っていた。 「ゆっくり、吸って、吐いて。」  人が目の前で死にそうになっている中、笑顔をのまま、優しい声で話しかける。  でも、そうだよね。  全てを重く受け止めてしまったら、このゲームでは生き残れない。  清佳は自分に言い聞かせながら、息を吸う。 「あの…、ありがとうございます。」 「いいえ。ごめんなさいね。急に声をかけてしまって。びっくりしましたよね。」 「と、とんでもありません。」  その声はとても落ち着き、清佳ほっと一安心した。  なんだろう、この感覚。  一瞬、頭が真っ白になる。 「私の名前は桜羽小春です。ここで会ったのも何かの縁ですし、協力し合いましょう!」 「え、ええ…。そうですね。私は栗花落清佳です。よろしくお願いします。」 「清佳、いい名前ですね。」  この桜羽という人に清佳は、全ての飲み込まれてしまいそうなほど、頭で考えるより先に口が動いてしまう。 「えっと、私の名前は柊木叶奈です。桜羽さん、でしたっけ?本当に信用してもいいんですか?」  しかし、叶奈はまだ桜羽さんのことを警戒しているようで、清佳の手を握りながらあとずさりする。  確かに、桜羽さんはまだ何かを隠し持っていそう。 「ええ、もちろん。清佳さんと叶菜さん、これからよろしくね。」  すると、にっこり笑った桜羽さんが、なんだが恐ろしく見えた。  なぜだろう、血孤の笑顔を見てきたからだろうか。  私は、出会う人全て疑わなければならないの? 「清佳、むやみに人を信じちゃダメだからね。」 「うん。」  でも叶奈の言う通り。  桜羽さんだって、血孤のように恐ろしい裏を持っているかもしれない。  そう考えると、よけいに桜羽さんを信用できなくなってきた。  すると、清佳の体は一気に吐き気に襲われ、立つのも難しくなった。  その場うずくまると、その様子を見た叶菜が清佳の背中を優しく撫でる。 「大丈夫、叶菜?」  ダメ、起き上がらないと。  今鬼が来たらどうするの。みんなに迷惑をかけちゃう。  逃げられない。動けない。立ち上がれない。喋れない。  清佳の体からはだんだんと力が抜けていく。  ああ、叶菜、叶菜……。 「叶菜……」  小さく親友の名前を呼ぶと、清佳の瞼はゆっくりと下へ閉じた。 「清佳、清佳!まさか、あなた清佳に何かしたの!?」  叶菜は桜羽さんの顔に向かって無我夢中で叫ぶ。  口を大きく開け、目を見開き、先ほどまでの叶菜とは一変した表情と声を見せた。 「そんなわけないですよ。私にそのような力は兼ね備えていませんし。それより、叶菜さんはどうなんですか?」  ゆっくりと落ち着いた表情で叶菜に向かって桜羽さんは問いかける。  叶菜は一瞬目を眉間にシワを寄せすると、続けて話した。 「そんなわけないでしょ!清佳は私の大切な、大切な親友なんだから……」  目から溢れる涙を抑えながら叶菜は必死で話す。  清佳の名前を何度も何度も呼び続けるも清佳の口は開かなかった。 「清佳……」

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お遊び鬼ごっこ

女の子

私は小さい頃 “男の子みたい” って言われた。 7、8歳の頃 男の子と一緒に話した。 男の子と一緒に遊んだ。 男の子と一緒のズボンを履いた。 男の子と一緒に日焼けした。 男の子と一緒にでっかい声を出した。 男の子と一緒の短い髪にした。 スカートが嫌い。 長い髪が嫌い。 周りのみんなは真っ白だけど 私だけ真っ黒に日焼けして 周りのみんなは綺麗な声だけど 私はうるさい声で 周りのみんなは同性で遊んで話して 私はみんなと遊んで話した。 “男の子みたいだね” 別に気にしなかった。 男の子の何が悪い。 男の子の何がダメ。 わからない。 だからずっとそうした。 周りのみんなは綺麗な細い足を出すスカート 周りのみんなは長い髪でヘアアレンジ 周りのみんなは真っ白な顔と手 周りのみんなは綺麗な声の歌声 “女の子らしい”で男の子を引き寄せた。 でも私は “男の子” で恋愛対象として見られなかった。 高校に上がって “女の子らしさ” を頑張って勉強した。 1番モテる女の子を探しす。 短いスカートで真っ白い肌を見せて 小さくて綺麗な声と長くてサラサラな髪。 私もそれになりたかった。 でも 小さい頃に日焼けした黒い肌は治らなくって スカートを足に通せば太い足が目立って 髪を伸ばせば毛先がバサバサになって 綺麗な声を出し始めたらからかわれた。 “女の子らしさ” を始めたらぶりっ子と言われた。 何が正解。 何が不正解。 難しい。 “女の子” ちなみに表紙の花は 「オハイアリイ」 です 花言葉は 「自分らしさ」 自分らしさを大切にしよう

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女の子

揺れる。

ざーざーって 満ちたり引いたり。 波が揺れる。 揺れる。 揺れる。 1人で揺れる。 耳を撫でるような音で揺れる。 うるさい音を立てながら揺れる。 頭の中を駆け巡るように揺れる。 2で揺れる。 3人で揺れる。 4人で揺れる。 だんだんと増えてきて うるさくなって いっぱいになった。 たくさんの音を立てながら たくさんの数で いっぱい いっぱい 音を立てながら揺れる。 冷たい砂に冷たい足を付けて ゆっくり歩く。 足を上げて前に出して 足を上げて前に出して。 冷たく揺れる水に そっと足を付けて。 ざぶーん。 ざぶーん。 ざぶーん。 ざぶーん。 たくさんの音を立てながら揺れる水に ばっしゃーん。 って小さな音を立てて揺らす。 冷たかった足もだんだんと暖かくなってきて 瞼の裏まであったかくなってくる。 「ばいばい」 そっと 音の波が揺れた。

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揺れる。

お遊び鬼ごっこ

7−第2ゲーム「氷鬼」  目を覚ますとそこは冷たい雪の上だった。  確か次のゲームが「氷鬼」だったはず。きっと、ここがその会場なのだろう。  ここは床が雪なだけあって、足がとられやすくなっている。おまけに凍りそうなほど寒い。  全員が体を起こした頃、あいつが笑みを浮かべながらコテージの扉を開けやってきた。 「第1ゲーム「変わり鬼」はどうだった?楽しかったでしょー!血孤、あーゆーの見るの大好きなんだ!」  “あーゆーの”それはきっと“人が苦しむ姿”という意味なんだろう。  隣に居た叶菜は清佳の手をぐっと握る。いつになってもこの凍り付くような雰囲気にはなれない。 「もー!みんな次のゲームが楽しみすぎて血孤の話聞いてないでしょー!次のゲームの説明するから、ちゃんと聞いててよね!」  いつもと同じように笑顔でそういうと、手を後ろに向けた。 「この人たちが今回の鬼だよ!」  そこには狐の面を被った4人の子供が現れた。 「桜が舞い散るように飛ぶ血桜!波のように勢いのある血夏!紅葉するかのように全てを真っ赤に染める血秋!3人がみんなを追い詰めるよ!楽しみ〜!」  きっと、あの言葉は本心なのだろう。あんなに無邪気で純粋な笑顔。きっと、普通の家庭に生まれて、普通の育ちをしていたら、普通の元気で笑顔の可愛い女の子になっていたんだろうな。何があって、こんな血迷った事をし始めたんだろう。 「じゃあ、氷鬼のルールを説明するね!鬼に刺された人は3分間その場から動けなくなるの!そして、3分経つと……、全身が凍るんだよ!」  今回は、“捕まる”じゃなくて”刺される”だから、鬼にあったらすぐ逃げなきゃ凍る前に死ぬ可能性があるっていうことね。  そして、ただでさえ凍りそうな温度と空気の中、身動きをと取れなくなってしまうと、3分経つ前に死んでしまいそう。そのくらい、本当に寒い。  叶菜の手も、指先からだんたんと冷たくなっていくのがわかる。  今の季節が冬だとはいえ、まだ17°C。服装は薄手の長袖一枚にパーカーだけ。この寒さは1月の下旬よりも寒い。  その中、血孤は寒そうなそぶりを1度も見せずに話を進めていく。 「しかし!3分の間に味方の誰かがみんなの事をタッチすると、なんと動けるようになるの!すごいでしょ!だけど、助けられるのは1人1回まで!助けたくても助けられないこの罪悪感を味わって欲しいの!」  なんて悪魔な心を持っているんだろう。  でも、とりあえず鬼に捕まらなければいい話。かと言って、そんなにこのゲームが甘いはずない。 「制限時間は40分!1分後にみんなを鬼が捕まえに行くよ!みんな、頑張ってね!」 「じゃあ、第2ゲーム「氷鬼」のスターート!」 「59、58、57…」  血孤がそう数え始めた瞬間、身構えていた人たちが雪に足を取られながらも、会場全体に散らばり始める。 「私たちも」  そう言いながら叶菜と一緒に走り出す。  会場全体を見渡すと、コテージ、暖炉、枯れ木、がまばらに置かれてあり、「変わり鬼」同様に中心にはタイマーが立っている。  そして、会場の端に2棟、団地が続けて並んでいる。2棟のどちらとも6階建で屋上がついている。しかし2棟のうち1棟は2階半雪に埋もれており、雪が積もっている1番上の割れた窓から入れるようになっている。  ほとんどの人が団地に走っていっているが、あの男の子はただ1人、暖炉の方に走っていっている。  理由はわからない、だけど、私たちも早く隠れないと捕まってしまう。 「清佳、私たちもあの団地へ行こ!」 「うん!」  暖炉に行った男の子のことは気になってしまうが、今はそれどころではない。  私と叶菜は目の前にあった2階半が雪に埋もれている団地へ駆け込んだ。  柔らかい雪に足を取られながらも割れている窓へをかけていく。 「どこに行く?」  叶菜が首を傾げながら聞いてくる。 「んー。屋上行こう。各部屋に入っても追い詰められたら終わりだし。屋上なら、最悪飛び降りてもふかふかの雪が支えてくれるっしょ」 「そだね」  正直、飛び降りるなんて考えられないけど、それくらいしか逃げれる場所がない。挟み撃ちにされたら終わりなんだけどね。  団地の中は薄暗く、大半の人がもう1つの団地へ行ったようだ。  軽い足取りで3階から6階への階段を駆け上がっていく。 「11、10、9…」  カウントダウンが10を切った頃、屋上の扉を開けた。  そこには、1人の女の人が椅子にもたれかかっていた。  年齢は小学6年生か中学1年生くらいの人だろうか。清佳と叶菜の存在に気づくと、目を見開きながら「こんにちは!」と明るい声で言った。  すると、血孤の「よーいどん!」という声が聞こえた。きっと、鬼が走り出したのだろう。  それが、地獄の時間が再来する合図となった。        

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お遊び鬼ごっこ

真っ赤なココロ

※貴方のココロの色を教えてくださいという、募集企画に関連するものです。 ※あくまでもこんなふうに書いたらいいんじゃないか?  という、書き方がわからない人のためです。  貴方のココロにあった書き方にしてください。  ちょっとした参考になれば嬉しいです。 (詩の例) 周りの音が全部うるさくきこえた。 声も モノも ココロの音も 全てうるさくて、 どうしようもなくって。 周りの音が全部真っ黒になった。 声も モノも ココロの音も 全て私にとって真っ黒で 私のココロは真っ赤になって。 真っ赤になったココロの色を 全部全部全部 吐き出して 吹き出して、 全部全部全部 出したかった。 ______________ ここまでが詩の例の1部です。 これで174文字。 この詩のタイトルは…「真っ赤なココロ」 とでも言いましょうか。 普通すぎるかもしれませんが(笑) 参考になればいいです。 長い文章とかは…苦手なので許してください。 何度も言いますが、あくまでも参考です。 自分のココロを自分の表し方で教えてください。

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秘密のあの子

ずっと,笑って笑って笑っていた。 引きつった笑顔と引きつった顔。 操られているかのように笑っていた。 それでも無視され続けていた。 昔いじめらていた子。 一時期不登校になり 学校側もそれなりに動いてはいた。 いじめていた子を怒鳴ったり いじめていたのを知ってた子を怒鳴ったり クラス,学年,学校全体に注意したり。 それでいじめられていた子の気持ちが 晴れて雲がなくなるわけがないって そんなわけがないとを知っていたんだろうけど 先生たちはそれしか動けない。 怒鳴って怒鳴って怒鳴って。 だんだん話の内容から外れて 昔の話に戻るのがオチ。 決まり切ったオチを何度も何度も繰り返して だから不登校は治らないんだよ。 そんなことを到底私が言えるはずもなく いじめを知っていても無視する側。 クラスで生き残るにはそれしかない。 だから,あの笑顔も無視する。 頑張って頑張って頑張って みんなに認めてもらおうとして 手を差し伸べて 受け入れて欲しかっただけのあの子。 それでも周りは見向きもしない。 まるであの子がいないかのよに_________

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透明の花

「知ってる?“透明の花”って」 クラスの隅で窓の外を見ていると そんな声が教室の中心から聞こえた。 “透明の花”というのは 最近このクラスで流行っている噂のことだ。 誰かがその透明の花を摘むとその人は姿を消す その花には呪いがかかっている そう言われている。 もっとも僕はそんな噂を信じるぐらいなら 勉強した方がマシだと思っている。 だからなのか知らないが 僕はノリが悪いといっつも省かれている。 別にお前らなんかにハブられても 悲しくなんかない。 僕はいっつもこうだったから。 小学生からずっと。 僕は昔から窓側の先が大好きだった。 誰の目線も届かない隅っこの席が。 だから僕はこの席がいいと先生に言うと 必ずこの席にしてくれた。 隣の席の子も前の席のこと一緒になって 話し合いやなんやかんやしている。 班行動の時も先生は僕が1人でも注意しない。 授業を受けないで窓の外を見ていても 居眠りを学校の間ずっとしていても 授業に参加してなくたって誰も気にやしない。 興味のあることだけ真剣に受けて それ以外は帰ろうかと思うくらい寝てる。 帰りたいけど門が閉まってて開けられない。 もう一つの小さなドアは 職員室な行かなきゃ開けられない。 職員室に行っても誰も気づかない。 そもそも職員室になんか行く気分にすらならない。 だから僕は1人の学校生活を送っている。 小学生の時なんか突然みんなにハブられたものだから 僕号泣してさ。 なんでだろうってずっと考えてた。 なんで急にハブられたのか どうしたらまたみんなと遊べるか。 でも今はあいつらに考える時間を奪われる方が 癪に触って仕方がない。 ああ……。 あの花を積んだ時から僕は 変わってしまったみたいだ。

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三人の海

 夏、といえば 「海だーー!」  眩しい日差しが私たちの肌を焼く。  砂浜はフライパンのように熱く、それに自ら飛び乗ってる目玉焼きのような私。  日陰なんてこれポッチもない。あるといえば少し離れた場所にある屋台か、そこら辺の人のビーチパラソル。今日は海に入りに来たんじゃなくて、肌を焼きに来たと同然。  隣にいる流夏なんて沖縄の少女みたいに真っ黒焦げ。ちょーうるさくてはしゃぎまくって。周りの人なんて耳塞ぎたいくらい。 「ねえ。うるさい」 「仕方ないじゃん。楽しみにしてたんだから。3人で来るの久々だし」  何が仕方ないだ。周りは迷惑してるんだから。私と莉愛に聞こえる声で良いでしょ。  そんな暑かったりうるさいのを和らげてくれるのが波の音。  ずっと揺れる波は莉愛の髪の毛みたい。 「ね。莉愛」  あるはずもない返事を私たちはただただ待ち続けていた。 「早く、琴葉も入ろ?」 「うん」  バーンって大きな音を経てながら海に飛び込む。その音が2回続くと、微かにもう1回、聞こえた気がした。  この飛び込む音を聞くのは、今日で2回目。1回目も流夏と莉愛と私の3人で行ったっけな。その時は、この倍、うるさくてうるさくて暑かったんだけど。もうそんな日々は帰ってこないのか。キセキは起きないのか。 「琴葉……。今は全力で海を楽しも!莉愛の分まで!」  にっこりと笑った流夏。うるさくてうるさい流夏だけど、その分人思い出だ。あの日以来。自分より他人のことを引っ張って。  流夏が私へと手を差し出すと、バンっと大きな音を鳴らしながらその手を取る。 「言っとくけど、莉愛はもう全力で楽しんでるよ!」 「そうだね!私たちに構わず真っ先に海に飛び込んでたもんね」  莉愛とはずっとずっと一緒。一緒だから。  見てる?私たちのこと。  全力で楽しんでるから!  

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三人の海

夏の空

夏になると空は真っ青に染まる。 夏になると空は綿飴で覆われる。 夏になると空は雨の雲で覆われる。 夏になると空には七色の橋が現れる。 夏の空はまるで遊園地。 たくさんのパラダイスが待っている。 一筋の飛行機雲が空に浮かぶ。 その先に小さな翼を広げて飛行機が 風を切りながら優雅に飛んでいる。 まるで青い空を駆け抜けながら 白い雲のスタートラインを切っているように。 そしてそのスタートラインはまた姿を消した。 次の日は空から水がよく降る日だった。 大粒の雫。 縦に 地面に叩きつけるように降り注ぐ。 傘を広げても突き破る勢いで。 バタン バタン バタン。 少し経つとそんなの嘘。 真っ青な空には一本の橋。 赤 黄 緑 青。 いろんな色の橋が7つ現れて 重なると同時に雨は息を止めた。 大きな大きな橋。 あっちの雲からこっちの雲までかかってる。 夏の空は気持ちがいっぱい。 悲しくなったり嬉しくなったり。 夏の空はどこまでも続く 一本の橋に覆われた。

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夏の空

パレット

真っ白だったパレットに 色とりどりな色がやって来る。 色同士がパレットの上で 仲良く喋ったり喧嘩したり そうして 真っ白だったパレットが だんだんと変わってくる。 緑やオレンジや紫 たくさんの色たちが話してる。 ぐるぐる回ったり 水遊びをしたり そうして 真っ白だったパレットが だんだんと変わってくる。 黄緑やピンクや水色。 たくさんの色たちが遊んでる。 それを静かに見守るパレット。 だんだんと自分の色を失うパレット。 色々な色に染まるパレット。 たくさんの色に囲まれながら その色は水に流される。 薄く残る色。 色が生きた証。 そうしてまた 真っ白に生まれ変わったパレット。 遊んだり帰ったりする仲間たち。 ゆっくりと眠るパレット。 ゆっくりと眠る仲間たち。 そうしてまた 真っ白なパレットに 色とりどりな色がやって来る。

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