Ⅲ
5 件の小説幸せな日の夜
幸せだと感じた夜 自分は寝たくない。 寝て起きたら何か変わってしまうかもしれない。 何事も無かったかのように、なるかもしれない。 昨日と同じ幸せなんか、経験出来ない。 幸せな時間を終わりにしたくない。 だから、 何の変哲もない日は好きだ。 失う恐怖を知らない自分が無敵だと感じるから。 でも同時に、灰色で毎日が染まってしまう。 自分はどんな人生にしたい? 次の日が同じ幸せじゃなくても 昨日は凄く楽しかった。という記憶が、 思い出に変わって満たされていく。 だから、幸せな日があるだけで 過去が彩られていく気がする。
誰にとっての一番?
「あの子の方が絵が上手いよ。」 「あの子の方が勉強出来るよ。」 “あの子の方が、あの子の方が” その言葉で、いつも否定される。 それが嫌で、怖くて いつの間にか“一番”に固執するようになった。 「君の一番の友達になりたい。」 その子にとっての一番になれなくて、苦しくなった。 勝手に苦しくなって、一人で泣いた。 どうやったら一番になれるんだろう。 考えたけれど、答えは見つからなかった。 当然だ。 だって“誰かにとっての”一番になんか、なる必要ないから。 いつだって一番を奪うのは、 “過去の自分から”でいい。 「今が一番、幸せかな。」
好きな動物は
ある人には猫が好きだと言った。 別の人には犬が好きだと言った。 また別の人には鳥が好きだと言った。 「君の好きな動物は?」 私は悩む。 本当に好きなのは何の動物だろう。 「うーん…ハムスターかな。」 また違う動物を口にした。 “自分”がハッキリしてなくて、嫌になった。 「ごめんね、好きな動物がハッキリしてないの。」 君は困惑した顔を見せた。 私に苛立ったのかと思った。 でも、違ったみたい。 「何が悪いの?」 「みんな好きだなんて、最高に素敵な事でしょ?」 そうだ。 1番を“決められない”訳じゃない。 “皆好き”だから、決めたくない。 私は、ハッキリそう言えた。
なんでもいい
「いつがいい?」 「いつでもいい。」 「何がしたい?」 「なんでもいい。」 「何処へ行きたい?」 「どこでもいい。」 貴方の発言に腹を立てる。 私は気づいた。 この子、自分を持ってないんだって。 私は思った。 一緒に居ても楽しくないのかなって。 私は言った。 「貴方の気持ちが知りたいの」って。 貴方は言った。 「君が楽しいと思う事を、したい。」って。 なんでもいいって、優しさじゃない。 けど、とっても嬉しい気持ち。 「そう。私も同じ気持ちなの。」 “君とするなら”なんでもいい。
考え方
「私、“普通”じゃないんだ。」 君は苦しそうな声でそう言った。 「どうして?」 私は反射的に聞き返す。 「感情が蓋されてるみたいに、何も感じない。」 月、星、花、海、どれを見ても動かない感情。 それは、人間としての在り方を忘れさせる。 「怖いよ、生きる事に興味が無くなりそうで。」 私は何を恐れているのか分からなかった。 「皆と同じ感情を抱くことが“普通”って訳じゃない。」 逆に、揃いも揃って花や星を 綺麗だと思うほうが、怖いでしょう?