にーとちゃん
3 件の小説余命3ヶ月の彼女
僕はまだ知らなかった。 好きな人がこんなにもはやく逝ってしまうのだなんて。 想像もつかなかった。 僕には1年前から付き合っている彼女がいる。 まだ日は浅いがお互い、お互いの事が大好きなのだ。 僕の彼女は、いつも笑顔で優しくて明るくて困っている人が居たら助けちゃう優しい人なのだ。 そんな彼女と僕はいつものように2人で過ごしていた。 ある日、彼女が急に苦しそうに倒れた。 僕は慌てて救急車を呼んだ。 もう何が何だかわからなくてパニックになってしまった。 「居なくならないで、死なないで、生きて、僕の傍から離れないで。。頑張って..」僕はひたすらそう思いつつ一緒に救急車に乗って、彼女と病院へ向かった。 診断されたのは予想外の事だった。 「膵臓癌」という言葉が僕の耳に過った。 僕はショックだった。 沢山泣いた。 なにかの聞き間違いであって欲しい。 でもそんな僕の期待を医者は裏切った。 「1番辛いのは彼女のはずなのに、泣いている僕は何なんだよ..」そう思った。 それから、僕は毎日面会に行った。 雨の日も風の日も台風の日も雷の日もかかさず行った。 ある日、面会に行くと彼女は少しだけ元気そうだった。 彼女は微笑みながら僕にこう言った。 「はるくん、、いつも来てくれてるんだよね。ありがとう」 僕は嬉しかった。 ずっと寝ていて気づいてないと思っていたから。 僕は「もう身体大丈夫なの?」と不安げに聞いてみた。 そうすると、彼女の表情が少し暗くなった気がした。 それでも彼女は「大丈夫だよ」と微笑んで言った。 彼女は膵臓癌と言うことを知っているのだろうか。 そう考えていると医者に呼び出された。 医者からは「さくらさんの余命は持ってあと3ヶ月でしょう。」そう告げられた。 僕は今までに無い絶望を味わった。 僕は固まってしまった。 これを彼女に言わなければならない日がいつか来るだなんて... 僕は恐怖と悲しさで胸がいっぱいだった。 それでも、(泣いていちゃダメだ。 僕が彼女を支えるんだ。) そう決心した。 2ヶ月目、彼女はなぜか少し良くなっている気がした。 全然良くなんかなってないことくらい僕だってわかってる。 でもそう思わなくちゃ。 僕の精神は保てなかった。 そして、3ヶ月目の朝 天気は晴れていてすごく暖かかった。 (もう少しか..)そう僕はふと思った。 そろそろ言わないとな。そう決心した。 「あのさ...」僕は言いずらそうに彼女にそう言った。 すると彼女は「どうしたの?」と笑顔で答えた。 僕はそんな彼女の顔を見たあとにこんな事を言うだなんて、すごく胸が苦しかった。 「実はさ..さくらは膵臓癌で..余命が3ヶ月で..」「だから..後1ヶ月しかないんだ..。」 僕そう震えながら告げた。 もう少し早く言うべきだったのかもしれない。 それでも彼女は、「そんなの薄々わかってたよ。わたしが病気であと少ししか生きられないだなんて」そう微笑みながら言った。 僕は彼女の前でたくさん泣いた。 彼女は僕の頭を優しく撫でてこう言った。 「大丈夫だよ。私は死なない。まだまだ生きる。」僕はその言葉に安心出来なかった。 そして、その日が来た。 医者の言う通り彼女は21歳という若さでこの世を去ったのだ。 僕はまたあの日のようにたくさん泣いた。 でもなぜだか彼女の声が聞こえた気がした。 「大丈夫。私はずっとそばにいるよ」そう聞こえたのだった。
白花の女の子(二話)
あれから僕は毎日古森さんのお見舞いに行った。 そしてある日、「もう..あんたさえこんなことにならなければ!!!」そう怒鳴る古森さんのお母さんが目に入った。 病室の中に飾ってあった花の花瓶は割れて、割れたガラスの破片と水と白いお花が散らばっていた。 「何してるんですか!..落ち着いてください!!! 」僕はそう言いながら必死に止めた。 古森さんは泣きながら震えていた。 あの頃と何も変わらない。 僕は古森さんに何かしてあげられているのだろうか。ふとそう思った。 (考えてはダメだ)そう思った。 ひとまずここの片付けをしよう。 僕は淡々と散らばったもの達を片付けた。 片付けが終わるとスーッと一呼吸した。 (古森さんの母親、相当まいってるな..)そう僕は思った。 失礼なのかもしれないけれど見た感じそうにしか見えなかった。 そしてある朝、学校に行くと古森さんが居た。 相変わらず古森さんへのいじめは止まなかった。 僕は少しでもいいから変わりたかった。なにか力になりたかった。 もう古森さんを一人ぼっちになんかしない。 僕は固くそう誓った。 キーンコーンカーンコーンッ チャイムが鳴ると同時に先生が入ってきた。 「今日から金森が復帰する。もう大丈夫だそうだ。」先生がそう言うと、僕は安心した。 嬉しかった。 休み時間、珍しく古森さんが僕に話しかけてきた。 「翔也くん..色々ありがとう。」古森さんは少し微笑みながらそう言った。 僕は古森さんにそう言われて少しドキッとして心臓がはやくなった。 古森さんの笑顔を見たのは僕だけなのかもしれない。 そう思うとなんだか嬉しかった。 特別な気がした。 この子を守りたいと思った。 僕は家に帰って姉貴に相談した。 「なぁ、姉貴」そう話しかけると姉貴は 「なに?」と少しだるそうな言い方をしつつも答えた。 「僕..なんかおかしいんだ。クラスにいる古森さんの事見たり考えるとドキドキしちゃって..ずっと心臓がうるさいんだ。」僕は勇気をだしてそう言った。 「それはな、翔也恋だよ」姉貴にそう言われ僕は目を丸くして驚いた。 「そ、そんなはずない!」必死に否定した。 姉貴は人をからかうのが好きだから、またいつものだろうと思った。 翌日、学校に行ったら金森さんが来ていた。 やっぱり見るだけでもドキドキしちゃう。 そう言えば、もう少しで2月だ。 バレンタインの日.. クラスのやつらが競っている。 正直そんな事はどうでも良かった。 僕にとってバレンタインなんかあってもないようなもの。 貰えるやつが得をして貰えないやつが損をするそんな日。 でも今は違う。 金森さんからのチョコが欲しいと思った。 やっぱり僕はどうかしてる。 そう考えていると、また金森さんに声をかけられた。 「翔也くん..ちょっと来てくれないかな?」なんだか金森さんの顔が赤い。 僕は体育館裏に呼ばれた。 「あの..その...」金森さんは何か言いたげな様子で僕に一言言った。 「す、、好きです!!!..」僕はびっくりして固まった。 (僕が..この僕が?!...)それで頭がいっぱいだった。 現実なのに夢を見ているようだ。 でもちゃんと現実だった。 僕は女子に告白された事なんか1度もない。 僕にとっては人生初の告白。 それだけでビッグイベントなのだ。 内心嬉しくてびっくりしつつも心が踊った。 「私じゃダメかな?...」金森さんにそう言われ僕は告白をおっけいした。 そして付き合い始めた。 初めてのことだらけで、最初は何をすれば良いのか分からなかった。 だけど少しづつ慣れてきた。 一歩一歩、少しづつ、ゆっくり。 時間をかけてお互いを知って行く。 こんな幸せな時間がずっと続けばいいのにな。僕はそう思った。 そして、月日が流れ僕達は大人になった。 もう立派な社会人。 子供の頃とは違う。 僕は今、素敵な奥さん(金森さん)、そして2人の子供と幸せに暮らしている。 僕が数年前に願ったことが実現した。 実現なんかする訳ないって思ったけれど、実現したんだ。 それが嬉しくてたまらない。 白い花のように美しかった金森さんは今も変わらず白くて美しいままなのだ。
白花の女の子
僕は15歳。 どこにでも居る普通の中学3年生。 平凡だった僕の日常はだんだんと終わりを告げていった.. 僕はいつも通り朝起きて学校に向かう。 今日も何も変わらない日が続くのだろう。そう思っていた。 でもそんな予感は当たらなかった。 「転校生が来るぞー。みんな席につけー」 先生がそう言うとみんなザワザワしだした。 そりゃぁそうだ。転校生なんて滅多に来ない。 こんな田舎のちっちゃな中学校になんか...。 「は、はじめまして..。古森雪です。よ、よろしくお願いします..!」震えながらも彼女はそう言った。 僕は不思議に思った。 どーして彼女は、雪のように真っ白な肌で赤色の目をしていて白色の髪をしているのだろう。 そう考えていると僕はふと思い出した。 (白い髪..赤色の目..白い肌..そうか、アルビノだ..!) なんだかスッキリした。 中休み、みんな古森さんのことが気になってしょうがなかったのか古森さんの周りには沢山の人が居た。 「ねえ、どこから来たのー?」 「てかなんでそんな真っ白なの?」 みんな詰めよって色んな質問をした。 古森さんはすごく困っている様だった。 古森さんは、髪の毛が綺麗なロングで少しくるくるとしていた。 前髪もパッツンでなんだか雪のプリンセスの様に見えた。 古森さんのその色は「なんで?」ってみんなが問いつめても答えずいつもヘラヘラして誤魔化していた。 ある日古森さんの机が無くなっていた。 僕は何も出来なかった。 みんながこうするから僕も傍観者。 もし違う行動をとれば次は僕の番だ。 ターゲットにされる。 僕は最低なのかもしれない。でもこれも自己防衛なのだ。そう思った。 見てる奴らもみんな僕だけじゃない傍観者。 結局何も変わらない。 古森さんは「あ、あれれ(笑)わ、私の机どこいったのかな〜、(笑)」なんてヘラヘラしながら言った。 涙目になっていたのを僕は知ってる。 そして古森さんは走って逃げたのだ。 そして、今日はもう古森さんは早退したとだけ告げられ見ることはなかった。 次の日、僕はいつもの様に学校に向かう。 教室に入ると古森さんの机が落書きされていたのだ。 色々なことが書いてあった。 僕はさすがに悪いと思った。 古森さんを助けなきゃ..少し焦った。 このままこの世からいなくなってしまうかもしれない、こいつらと同じになんかなりたくない。 そう思って不安で胸がいっぱいだった。 古森さんが登校してくる前に机の落書きを全て消した。 みんなびっくりした顔で僕の方を見つめてた。 いじめはあってはならない。 僕が、僕だけでも古森さんを守るんだ。 でも今日は古森さんは学校に来なかった。 次の日も、その次の日も、学校に来なかった。 僕が散歩をしていると古森さんを見かけた。 内心僕はホッと安心した。生きていたから。 僕は「古森さーん!」と声をかけた。 「あ、あの..どうしてここに?..」古森さんはまた困った顔をした。 「たまたま見かけた」僕はそう一言返した。 少し躊躇いながらも「古森さん明日は学校来る?」僕はそう聞いてみた。 「明日は...行くよ。」古森さんは暗くそう言った。 次の日、ほんとに古森さんは来た。 僕は十分偉いと思った。上から目線なのかもしれないけれどなんか嬉しかった。 古森さんが教室に入ろうとしてドアを開けると黒板消しが上から降ってきた。 古森さんはびっくりして固まってしまった。 僕は急いでチョークの粉をはらった。 それでも古森さんは今にも泣き出しそうな顔をしていた。 「ありがとう..」そう言うと古森さんはどこかへ行ってしまった。 なんだか嫌な予感がしていてもたってもいられなかった。 僕は慌てて屋上へと走った。 (古森さんが..古森さんがあぶない!!!) すごく怖かった。 予想は的中した。 あのさくの向こうに古森さんがいた。 「古森さん!」僕がそう叫ぶと古森さんは泣き腫らした顔をしながら僕の方に振り向いた。 「なに?...」そう言った。 「なに?..じゃないよ!こっちに来てよ!!まだ死なないでよ..」 僕はそう言った。 心臓がうるさい。僕の体は震えていて目から涙が溢れていた。 「もう疲れたんだ。私。」そう言うと古森さんは 「毎日毎日、何のために生きてるのか分からなくなっちゃった。私なんか必要ないんだ。って思った。全て終わらせたいの。」 そう言った。 僕の言葉は古森さんには届かなかった。 そして古森さんはそこから飛んだ。 翌日、学校に行くとみんなザワザワしていた。 古森さんが転校してきた時とまた違うような..。 心臓がまたうるさい。 「みんなに悲しいお知らせがある。」先生がそう言うと僕は察した。 きっと昨日の事だろう。。 僕は喉をゴクッとして先生の話を聞いた。 「昨日の朝古森雪さんが屋上から飛び降りました。一命は取りとめて今は入院している。」 なぜだか僕は少しだけ安どしている。 ほんの少しだけ僕は胸をなで下ろした。 放課後僕は、先生から病院を聞き古森さんに会いに行った。 コンコンッ そうノックすると僕は病室のドアを開けた。 そこには古森さんのお母さんが居た。 「あなただれよ」そう言われて少し怖かった。 「古森さんのお見舞いに来ました..。風上翔也です。」僕は震えながらもそう言った。 「初めまして、雪の母親の古森紗栄子と言います。」正気を取り戻したのか落ち着いてそう言った。 そりゃぁそうだ。娘がこんな状態になっているのに正気を保てるはずがない。 少なくとも僕なら無理だ。 古森さんは目を覚ました。 「あれ..ここ病院?..おかぁ..さん?..翔也くん?..」そう言った。 「雪!目を覚ましたのね..。あんた何してんのよ!!迷惑かけんな!ったく」優しいかと思ってた雪の母親は豹変した。 (この人情緒不安定だな..)僕はそう思った。 古森さんは「ごめんな、さい..もうしないです。ごめんなさい...ごめんなさい...」泣きながら震えた声で何度もそう言った。 俺はさすがにやばいと思って古森さんのお母さんを止めた。 俺がしたことはいい事なのか悪い事なのかよく分からない。 でも古森さんが助かったなら俺はいいと思った。