化け猫
13 件の小説化け猫メイドは今日も待つ
4.居ない 館に住み着きおよそ2年目 やること全て完璧になった 主様からも素敵なメイドと呼ばれた 自分が猫であることを忘れかけるくらいには すごく、楽しくて、幸せだった なのに 『主様。起きておられますか。ご飯ですよ』 ……?音がしない。 『主様。起きてますか?大丈夫ですか?』 ……。返事ひとつ聞こえない。 ガチャ ドアを開く。主様の部屋に入ったのなんて、ここに来た時以来ではないか。いつもは頑なに入れようとしないから。 『主様〜…って……』 居ない。デスクにも、ベッドにも。 キッチンやリビングに降りてもいない。 私ずっとキッチンいたし 靴…。 そうだ、外に出たか確認しなきゃ 舞音は部屋を出て玄関に向かう 最初は長いメイド服につまづいて転んでいたが、今じゃもう階段も走れる。 玄関に着いてシューズクローゼットを開く。 無い。 主様の革靴がない。 いつも履いてる靴がない こんな朝から?どこへ? 詮索するのもよろしくないかと思い 帰りを待つことにした。 せっかく作った朝ごはんは、勿体ないので別の蓋付きの箱に詰めることにした。昼までに帰ってくればそのまま温めてお出ししよう。 帰ってこなければ、僕のご飯にしよう。 そんなことを考えながら、朝ごはんを済ませた。 食器を片し、まぁまぁ広い屋敷の掃除。お庭も箒でササッと掃いて、一息つく頃にはもうお昼。主様は帰ってこない。 なんだかそわそわして落ち着かない。 近くにあったバナナを頬張り、1つの本を手に取る。グリム童話の赤ずきんだ。 何度も読み返して内容はほとんど覚えてしまった。 台所に置かれたご飯に、手をつける気は起きなかった。 本を読み終えたころ、外はすっかり橙色だった。主様はまだ、帰ってこない。 そういえば、2年前。追ってきた奴らがいたな。その後主様が護身用にナイフをくれたっけ。キラキラとアンティークな装飾が施された、ナイフ。3本。あと、懐中時計。 テーブルの上に並べて眺める。主様、帰ってくるのでしょうか。 ナイフを持ち上げ外の太陽に当てる。 刃がきらりと光沢を見せる。 太ももにつけたナイフホルダーに3本しまい、懐中時計もポケットにしまう。浴室の掃除に向かう事にした。 カーン カーン 外のベルがなった。誰か来たみたいだ 主様はそのまま入ってくるだろうから、よその人…。警戒心をもち、玄関に向かう。 近くの窓から外を覗くが、人は見えない 恐る恐る扉を開けて先の人を視界に止める 『いらっしゃいませ。どのような御用でしょうか。』 ッ!? そんなっ…なんで…… 玄関先に佇む男はそっとハンドガンを構える その姿は、どこか見た事があった。 あの時…猫に戻ってしまった舞音を助けた時のあの構え方。そしてそのハンドガンの装飾は…… 『主様……っ』 ※表紙画像無くしました(泣)
化け猫メイドは今日も待つ
3.ある時 僕は舞音。人間だ。嘘、化け猫だ 元々は妖怪の町にいて、希少価値のある化け猫の僕は常に追われていた。ある時すっ転んでころころ転がった先、今の館の主、主様に拾われた。そこで僕はメイドとして姿を誤魔化し暮らしている。 主様に家事を教わり一通りこなすことができた頃、誰かが館に訪れた。珍しい。この地帯は妖怪が現れる可能性から人は恐れて来ないのに。 誰だろうと思い舞音は玄関へ向かう。玄関横の窓から外を見てみる。 っ!? 奴らだ。化け猫を捕まえようとする、奴ら。 なぜ?なんで見つかった?いや違う。 私は奴らの前で人間になったことは無い。 妖力をゼロにして、敵意も向けない。 少しの妖力でも奴らは気づく。 ガチャ。 『いらっしゃいませ。どちら様でしょうか』 「あぁ、この屋敷の人か?聞きたいことがあってな」 心臓が痛い。頭がキーンとする。 『聞きたいこととは?お答えできることであれば協力しますよ』 できるだけ、友好的に。敵意を出さないで 対話をする。 「助かるよ。で、聞きたいことなんだが、このくらいの黒猫を見なかったか?だいたい2日くらい前だ。俺らはその猫を探しているんだが」 ヴッ…。あぁ、吐きそうだ。痛い。痛い痛い痛い。僕じゃない。僕の事じゃない。猫。そう、ただの猫。僕は猫じゃない。 『猫…ですか。見てないですね…。この辺りは人間おろか動物すらもあまり見ないので…。お力になれず申し訳ないです』 言えた。大丈夫だ。大丈… にゃ。 ふらりと足が立ちくらみ、倒れてしまった。 目を開けば布の下。モゾモゾと動いて気がついた。 (あ、猫。……猫!?) 猫の体になってしまったのだ。しかも奴らは目の前にいる。舞音は服の下から出たあと、慌てて奴らの足元を潜り外に出た。 猫になった理由は簡単だ。舞音のデフォルトの姿は猫だ。人になるには力を使う。ここに来てからずっと人の姿だった。つまりガス欠だ。妖力を使い切ってしまった。 いくら寝ていても、寝てる時も人の姿じゃ 力は貯まらない。やってしまった。 走る足を止め館から距離を取り奴らに向き直す。ギッと歯を食いしばり、目を使う。ギロッと睨む瞳は真っ赤。走ってる時に補給された妖力を使い波動を打つ。威力は弱いが体は鈍るだろう。 だが、勝てる見込みは無い 奴らは武器を持ってきてない。 袋を持ってる。それに僕を入れるみたいだ ジリジリと詰められて、ガス欠してる僕は手も足も出ない。主様はきっとお仕事中… 舞音はキュッと目を瞑った。 銃声 どこからか、発砲音が聞こえた 恐る恐る目を開けると 奴らが倒れていた。僕はの目の前で 頭から、血を流して…… 顔を上げて玄関の方を見ると 主様がハンドガンを構えていた 助けられた 急いで走って主様の足に擦り寄った 主様はひょいと舞音を抱き上げて 優しく抱きしめてくれた 主様の手は、震えていた 舞音の前足に何かが当たった 胸ポケットに何かある ずっと触っていたら主様に絆された 大切なものだから触るでないと 前足をしまい主様に抱かれて館に戻る この世界では殺人なんてよく起きること でもきっと主様は初めて人を殺したんだろう 舞音を守るために 舞音が部屋で寝ている間に 主様は奴らの死体を袋に詰めて 妖怪の町の方に捨ててきたらしい。 玄関に置かれた僕のメイド服を綺麗に畳んで 枕元に置かれていた。 人化する時、妖力にも気をつけないとな (寝ている時は猫でいよう…) そうして舞音は追われる日々を抜け出した このまま館で、平和に過ごそう。 そう思ってたのに。 ※表紙画像無くしました(泣)
化け猫メイドは今日も待つ
2・雇われメイドになりました 男に運ばれてどこかに着いた。腕の中で猫になってる僕は薄く目を開けその場所を見る 館だ。大きな館。 この男の家なのか?1人でこんなどこに住んでいるのか?というか、妖怪の町からそんなに離れてないぞ、妖気を感じるし。なんだよこの男。 館に運ばれ一室に入る。綺麗に整備された部屋。人間用の部屋だ。ダブルベット…?にマオは置かれる。男は頭を撫で言う [もし化け猫なら人になれるだろう。力が溜まったら人化して私のところへ来なさい。すぐ隣の部屋にいる。] そう言って部屋から立ち去る。その後すぐ隣の部屋のドアがガチャンと、開いて、閉まった。 化け猫であることは知られてしまった。何されるか分からない、でももう逃げることも出来ない。マオは布団の中に潜った。 寝ていたのだろうか、数時間が経ってしまった。 〈人化して私のところへ来なさい〉 マオは思い出し、ベッドを降りる。 目を閉じ後ろ足に妖力をため、前足をあげる。そのまま力を放出し目を開ける。うん、できた。人の姿になり、気がつく。 『服がないっ!?』 そうだ、猫化した時ジャージはそのまま捨てたんだった。マオは慌てて部屋にあったクローゼットを開く。2着、服があった。クラシックなメイドの服と、軽そうな部屋着。 マオは部屋着を着て男の部屋に向かう。 そういえば人間のルールとか分からないな とりあえず入るって知らせるためにドア叩くか。 コン コン コン [起きたかい、入りな] マオはドアを開け部屋に入る 男はデスクを立ち、部屋の椅子に座るよう促す。マオは言われた通りの椅子に腰掛ける マオは警戒して妖力を少し貯めておいている。なにか仕掛けられたら直ぐにカウンターするためだ。 男は少し頬を緩め話し出す [まぁ、そんな警戒しないでくれ。少し化け猫とは縁があってな、君が追われているっぽかったから、ついね。] マオは相変わらず警戒している。じっと男の方を見つめ全身に妖力を纏う [それで、君の名前とか言えるかい?] 『……マオ』 [マオくんだね。もし良ければうちに住まわせたいのだが、どうだい?向こうに戻ればまた追われる日々だろう。寝床はさっきの部屋、食事と風呂もきちんと用意しよう。] マオは動揺した。なにか裏があるのか。 だがマオにとっては良すぎる条件。 確かに向こうに戻ればまた追われて食事なぞまともに取れないだろう。 (最悪、私は戦える。罠にかかってみるか) 『…わかった。向こうに戻るのもうんざりだし。その話、乗る。ところで、あの部屋にメイド服があった。僕を働かせるのか?』 [あぁ、この屋敷を私一人で回すのは少々苦しいものでね、別にその部屋着でも構わないが、一応メイド服を用意しているんだ。] なるほど。メイド服…。もし奴らがここまで来た時メイド服を着てたら少しは僕だとバレにくいかもしれないな。館に住まう以上、安全でありたい。 『わかった。あの服借ります。住まわせてもらってるんだ、協力する。』 こうしてマオは、雇われた。 部屋に戻り、メイド服を出して着替え、 隣に置かれたドレッサーに向かい合い、 髪の毛を結って、置かれていた雪の結晶の髪飾りを借りて、両サイドのお団子にリボンをつけ、微笑む。 『今日から私は、雪夜舞音。』 ※表紙画像無くしてしまいました(泣)
化け猫メイドは今日も待つ
設定 雇われメイド 化け猫(あかやし) 山奥の御屋敷に主様と暮らしてた 戦闘可能。短剣使い 0.プロローグ 寒い地帯の山奥にある大きな御屋敷 玄関先にはメイドが1人 ロングのメイド服、ボブカットの髪、赤い瞳、お団子頭。 そしてきらりと光雪の結晶の髪飾り。御屋敷を眺め彼女は呟く 『お帰りなさいませ、主様…』 視線の先には誰もいない。 彼女の瞳は少しだけ、 潤んでいたような気がした。 1・追われて 僕はマオ、妖怪だ。と言っても可愛い方だ。なんせ化け猫。 人になれたり猫になれたり、鬼じゃないだけいいだろう、なんて思いたい。化け猫は今実験対象。数が少ないから。息を潜めて隠れて暮らす、安全ってなんだよ。マジで。人里からパクってきた?ジャージが泥にまみれてる。そりゃ逃げ隠れしてるし家無いし。 僕がひっそりとご飯を食べている時にうるさい声が聞こえた、 嫌な予感がする。 「ここだ!ここにあの化け猫がいるらしい!」 あーまじですか。ご飯を食わせろー! 慌てて頬にご飯を詰め、勢いで猫化し元々開けてた穴から抜け出す。そのままくだれるだけ山を降り、死角に進む。 『あ゙ッ!?』 やってしまった!後ろ足が木の枝を越えられなかった。バランスを崩してゴロゴロと落っこちていくマオ。目が回って伸びてしまった [おやおや、子猫かい?起きれるかい] 人の声…。あっ、終わった。 僕はこのまま人に捕まり解剖とかされるのだろうか。猫が人になれるとバレたらおしまいではないか…。でも意識がふわついてろくに動けないんだ、大人しく運ばれておこう… [君は妖かい?妖力を感じる。] !?!?!?
光の影
眩しい人っているよね どんな時でも明るくて 太陽のような人 憧れるけどなれやしないことはわかってる でも憧れる。だから僕は 光の影になる 眩しい人の隣にたって 影を演じる 相手をたてて 自分も照らされる それで、いいのかな まぁ、幸せだからいいかな 「あれ…」
忘れんぼ
僕は忘れんぼさんです 大事なことも、そうじゃないことも すぐに忘れちゃいます でも、覚えてる時もあります なので、よくどうでもいいから忘れるんでしょって言われます そんなことないって何度訴えても 相手は聞いてくれません。 どうでも良くないことも忘れちゃうのって言っても あっそで済まされます。 僕が悪いのは事実です なのですごく罪悪感あります でも、またすぐ忘れちゃいます 何度も、何度も、何度も 気をつけても、忘れちゃう メモしても、メモしたことを忘れます メモ用紙はなくしました。 僕は自分を責めました 恋人との約束も忘れちゃいます 怒られます。あまり前だけど 忘れてたら教えて欲しいってお願いしても 忘れるなら教えても意味無いでしょと言われ 僕はもう呆れられたんだと、諦められたんだと 泣きました。僕の忘れんぼのせいで人を苦しめて自分も苦しんで 好きを伝えても信じて貰えなくなりました なにもかも、僕の忘れんぼのせい ごめんなさいが口癖で、何度も謝る 記憶力弱くてごめんなさい、 約束破ってごめんなさい いい子じゃなくてごめんなさい ごみくずでごめんなさい。 死にたいって思った。 大袈裟かな、記憶力のせいで死にたいって でもね、事実 恋人とは別れたくない でも、こんなやつだから嫌われちゃう 怖くて怖くて怖くて怖くて 沢山怒られて呆れられて しまいには連絡が来なくなって あぁ、僕の忘れんぼのせいで 不幸にしかならなかった 死んでしまいたい
痛覚
痛い。 痛い。 とても。痛い うつ。 うつ。 とっても。うつ。 性行で逃してたストレスが 行き場を失い私に留まる 恋人を失い行為ができず 手首に切り傷込める 痛い痛い赤い線 手首が少し腫れてきて 若干痒みを帯びてきた あぁ。痛い
つまんない
人生なんてそんなもの 生きてる意味が無いもので いつか死ぬなら今でも良くて 大人にはなりたくないと思ってて それでも時間は無慈悲だから つまらないこの毎日をいきなきゃいきない もうさ、死のうよ
最期の。
7時。アラームで目が覚める。 親友と遊びに行く日。 眠気まなこを無理やり覚まして布団を剥ぐ。 今日は僕の最期の日でもある。 いや、最期にするんだ 着替えを済ませ荷物を持ち 待ち合わせ場所へと足を向ける。 いらない覚悟を持って行く。 9時半。待ち合わせ場所に着く 親友はまだ来てないみたいだ。 わざわざ僕に会いに地方まで来てくれるんだ。歓迎しよう 今日を済ませたら僕は終わるのだ。 スマホを見ながら待っていると 「やぁ」 来たか。 9時45分。カラオケに来た。 デュエットしたり ソロで歌ったり。 親友が歌上手いのには羨んだ。 僕も負けじと声を出す。 あぁ。楽しい。 でも僕はゆらがない。 決めたことは変わらない 僕は今日で終わる。終わりにする。 いまだけは。楽しもう。 12時半。外に出た。 歌い疲れてお腹がすいたんだ コンビニでご飯買おうかと 近くのコンビニに向かった 僕はあまりお腹すいてなかったから 軽くお菓子を買っただけ。 親友はカップラーメンを買ってたな 給湯器からお湯を注ぐ親友を横目に外へ出ることにした。 「あっつい!」 なんか叫んでる。 どうしたと見に行くと まぁ。火傷してた 凍った飲み物で急いで冷やしたが まぁまぁ酷いから病院に連れてった ……ってしたら。新患やってなかった。 紹介された皮膚科まで行ったんだけど まぁ……うん。看護師さんも引いてた お薬とか貰ってたよ。包帯巻かれて 今何時だ。だいたい2時前か さぁて。雨が降ってきちゃったな。 もうそろそろ終わるか 親友も火傷した手のまま遊ぶ訳にも行かないだろうし… 病院出て広い道路にでてきた お互い反対方向向いて帰路に着く 僕の帰るところは土の中だが。 2時40分。目的地に着いた 目をつけていた場所 ここで終わる 最期の1日だった 最高の1日だった 物思いにふけるのも今日が最後か 帰りたくなる前に、かえりますか。 それじゃ。さよなら。 最高で最低な世界。
僕は
僕は。何にもなれなかった また堕ちていく ゆっくりゆっくり 堕ちていく 空を泳いで 落ちちゃった