Novelee

N

Novelee
読む
発見
ログイン
メニュー

シカ

1 件の小説
Profile picture

シカ

読書が好きな高校生です

2025年5月からNoveleeを利用しています
3 フォロー中5 フォロワー

春の知らせ

ある日、目が覚めた。 春が来たのか。 窓からあの曲が聞こえる。胸が高鳴るのをかんじる。身を乗り出して春の匂いを深く吸う。もうこちらへ帰ってきているのだ。 急いで窓から丸太のハシゴをくだる。春がきたばかりの草木は薄い緑で覆われている。 最後に見たときよりも雪が溶け、かさが増している川にかかるアーチ状の木の橋の上。春になると帰ってくる大好きなあの姿を捉える。 ハーモ二カを吹く姿は何も変わっていなかった。 君はこちらに気がついて、手を振っている。 僕も走りながら君の名前を叫びながら振り返す。 冬になると僕をおいて南の方へ旅に出てしまう君。どんな冒険をしてきたのだろう。どんな景色を見てきたのだろう。早く聞かせて欲しい。 「孤独がないと帰ってきた時の喜びがない」 なんて君はいつか言っていた。だから僕は行かなかった。 本当は一緒に旅に行きたいけれど。 次の冬が来るまで君はここにいるだろう。 そしたらまた色んなことを話せるね。 春の暖かな匂いとハーモニカの音とともに 帰ってくる君は孤独を愛する人。

10
3
春の知らせ