このは
3 件の小説夏休みの初恋(序章)
僕の名前は翼これはまだ僕が小学生だった頃の話、夏休みにおじいちゃん家へ遊びに行くことが多かった。 カブトムシを捕ったり、スイカを食べたりして今思うとめちゃくちゃ楽しかったのを覚えている。 ある日カブトムシを捕まえに網と虫かごを持ち山に入った 翼「今日はめっちゃ晴れたからカブトムシ捕り放題だなぁ!」 少し歩いた所で僕は立ち止まりカブトムシが居そうな気を探していた 翼「よーし、前ここら辺ででっかいクワガタ居たから今日はここで張り込むか!」 網を持ち木を一つ一つ見上げたりして、探し回っていた時の事だ ???「ねぇ君何してるの?」 翼「ひえ!?」 急に声を掛けられ変な声が出てしまい、急いで口を手で覆った ???「あははっ、変な声っ笑」 木漏れ日の中に白いワンピースを着た同い歳くらいの女の子が立って、クスクスと笑っていた。 翼「な、なんだよ!お前!急に話しかけたらびっくりするだろ!」 ???「えぇ〜気づかなかった君が悪いよ!私悪くないもーん!」 翼「僕が悪いの!?てかお前誰だよ!この辺じゃ見ないけど」 ???「お前お前言わないでよ!私にはゆりって名前があるの!」 翼「そーかそーか!で!ここで何してんだよ」 ゆり「何って、おさんぽだよ」 ゆり「君こそ何してるの?」 翼「カブトムシ探してんだよ、ここら辺でかいのいるからさ」 ゆり「へ〜そうなんだぁ、じゃあ私も一緒に探してあげる!」 翼「は?!いやいいし!一人で探せるし!」 ゆり「こー言うのは二人で探した方が早く見つかるのよっ」 そう言って半ば強引に後ろから着いてくるゆりは、時々「あつい〜!」「きゃー!?くもー!」 と騒いでいた、うるさいなぁと思いつつふと後ろを振り返った時に木漏れ日が照らすゆりの顔はとても可愛く、歩く度にふわりと舞うワンピースも相まってドキドキしてしまっていた。 夕方頃 翼「中々見つからないなぁ、、そろそろ帰るか」 ゆり「え〜!もう!?」 翼「もうすぐ日が沈んじゃうし、見つかるわけないだろ」 ゆり「あ!ねぇねぇ!あれ!カブトムシじゃない!?」 大きな声を出して大木を指さす君を見ていたら、私じゃない!あっち!と顔を大木に向かされた 翼「でっけぇ!!」 ゆり「流石に大きすぎない!?」 そこには大人の手のひらよりも少し大きいカブトムシが木に止まっていた 僕は網を掴み大木に向かって背伸びをした 翼「んーーー!ダメだ届かない」 ゆり「諦めないの!あ!私が上に乗るから、翼肩車して!」 翼「は!?なんで俺が下なんだよ!」 ゆり「いいから早く早く!」 翼「はぁ、わかったよ」 ゆり「上見ないでね!」 はいはいと溜息を着きながらゆりのことを肩車し、ゆりはそのまま網でんー!んー!と奮闘していた。 ゆり「ちょっと我慢してね!」 そう言うと肩の上に立ちさらに背伸びをした 翼「ちょ、おま、危な!」 そう言いかかった時、肩が軽くなったと思ったら ゆりの声が聞こえた ゆり「採れた!」 上を見上げるとそのまま落ちてくるゆりに押しつぶされた所が最後の記憶だった。
不老不死の呪いを背負った一人の少女(序章)
詩人「これははるか昔のおとぎ話」 「勇者と4人の仲間達は世界を滅ぼそうとする魔王に立ち向かっていました。」 カキン! ジャキン! 剣と剣がぶつかる音が響く魔王城 5人の内既に3人は息絶えていた リオン「アリス、もうあたし達しか残ってないみたいだな……」 アリス「そうね、魔力も底を尽きかけてる。」 「貴女の聖剣ももう折れかかってるじゃない」 リオン「あぁ、ここまでかもな……でもあたしらに後を託してくれたあいつらの為にも刺し違えてでもやらなきゃ行けない」 アリス「私の全魔力を貴女に注ぐわ、安心しなさい!リオン…貴女の骨は私が拾ってあげるから」 リオン「あはは!そりゃありがたい、全力でいかせてもらうぜ!魔王!!」 全ての魔力を注がれたリオンは折れかけた聖剣を振りかぶり、魔王の身体を引き裂いた 魔王「ぐ……あ……我を倒した所で世界は変わらぬ、我を倒したお前らが世界から淘汰されるのだ…愚かな勇者よ我はタダでは死なぬぞ……」 そう呟き、息絶えた魔王の亡骸から黒きオーラが勇者と聖女の身体にながれ混んだ、そして2人は人里に帰ることはなかった、大陸の王は魔王と勇者は相打ちになったと人々に宣言し、やがて人々の記憶から勇者達は消え去って言った 少女「よく知っているなそんな昔話」 詩人「これは父から聞いた話なんです、父も祖父から聞いて祖父も曽祖父から聞いたと言っていました」 詩人「誰も覚えていないってのは悲しい物ですから、僕らがこうしてたまに皆に聞かせてるんです」 少女「今時詩人ってのも稼げるのか?今じゃ簡単にスマホでなんでも調べれるのに」 詩人「まぁそこそこ稼げますよ、占い師とかあーいう職業も昔からあるのに衰退しないでしょう? それに僕らは稼ぐ為でなく、繋ぐために詩人をやっていますから」 少女「そっか、あんたもすげぇな」 詩人「いえいえ、それほどでも。あーそう言えば最近都心の方で怪物がよく出るらしいですね。」 少女「あぁそうだな、あんた十分気をつけろよ」 スタスタと歩いてきたもう1人の少女 ???「反応があったはそろそろ行くわよ」 少女「あぁわかった、いい話を聞かせてくれたありがとな」 そう少女は言うと連れと一緒に二人で店をでてきた、少女は折れた剣を携えていた
小さな奇跡
「ねぇねぇ知ってる?」 「んー?何を?」 「おばあちゃんから聞いたんだけど、ここら辺だと花火の上がる日に気になる人との間に四つ葉のクローバーがあると幸せになれるって伝説があるんだって!」 キラキラした目と早口でそう説明する幼なじみはもう17にもなるのに、どこか子供っぽかった。 「なんだそりゃ、そもそも花火が上がる日って年に1回ある花火大会のことだろ?たまたまその日に四つ葉のクローバーが好きな人との間に咲いてるって天文学的数字じゃんかよ」 「えー、、でもロマンチックじゃない?!昔っからそーいう系の話すると否定してくるけど、あんたには夢ってのがないの!?」 「そう言うのは信じないタイプなんです〜、そんなんばっか信じてるからいつまでも子供っぽいんだよ、お前は。」 「うるさいなー!じゃー今度の花火大会一緒に行ってやんないからね!」 「せっかく新しい浴衣も買ったのに。」 「な!行かないとは言ってないだろ!」 「ふーん、じゃあ18時にここで待ち合わせね」 花火大会の日 「お待たせ〜!」 「18時からって言ったお前が30分遅刻してどーすんだよ!」 「ごめんごめん!浴衣で走れなかった笑」 ほのかに香る、屋台の匂い 花火が照らす幼なじみの顔を俺は直視ができなかった 「よし、ここに座るかぁ」 「いい場所とってあんじゃーん!花火綺麗〜♪」 「ま、まぁな」 前日楽しみで取っておいたとは口が裂けても言えない。 「花火綺麗だね。」 「そうだな。」 暫く無言が続いてから、俺は勇気をだして声にした 「........なぁ俺お前のこと好きだよ」 ドカンと大きな音を立てて色鮮やかに空に咲く花火を見上げていた君は、俺の方をそっと向きこう言った。 「え?なんて?花火の音で聞こえなかった!」 「も、もう言ってやんねぇ!」 「えーなんでよー気になるじゃ........あ!」 「ん?どした?」 「ねぇこれって」 そう言った君の目線の先には四つ葉のクローバーが咲いていた 「奇跡だね」 「奇跡だな」 色鮮やかな花火が咲く夏の夜に起きた小さな奇跡 夏が来る度に私は父と母からこの話を聞かされる。