未来
4 件の小説巡り巡って自分のために
私は訳あってホームレスになってしまったしがない女だ。 食料を恵んで貰うために歩道を歩き回っていると、倒れている人を発見した。 誰も助けようとしない。 その人に駆け寄ると呼吸をしていないようだった。 「だれか、救急車を!」 この声に誰も答えない。 運良く近くにAEDがあった。 昔の職業のお陰で使い方はわかる。なんせ私は職をなくした医者なのだから。 何とかこの人は息を吹き返した。 だが、油断は禁物。 私は歩いている人に声をかけた。 「すみません!すまほかしてください」 その人はすごく嫌そうな顔をしたが、すかさず 「人1人死にそうなんですよ!早く!」 と、その人からスマホを奪い、119に連絡した。 間もなくして救急車が到着し、現状と症状を説明した。 救急隊の人に礼を言われた後、私はその場を後にした。 1ヶ月が過ぎた頃、とある人が私のダンボールハウスに近ずいてきた。 「君だな?俺を助けてくれたの」 私はキョトンとした顔になった。 あの時倒れていた男性だった。 「えっとあの時の?何の用ですか?」 「あの時は助けてくれて感謝している。俺の主治医も適切な処置のおかげだと言っていたが?お前は元医者かなにかか?」 「はい、首になって旦那にも離婚されて、ホームレスをやっています」 「なるほど、礼をしたいんだが。お前の地位も身分も望むものをくれてやる」 私は驚いた。 「なんでもいいと言うのなら、私は医者に戻りたいです」 男はキョトンとして急に笑いだした。 「ああ、構わない。一緒に来てもらおうか」 私は何故かホームレスから出世してしまった。 人助けは巡り巡って自分のためになるのだと実感する機会ができた。 これからも私は医者としてたくさんの人を救っていこうと思う。
孤独
高校の体育の授業で、2人組を作るようにと担当の先生に言われた。 「ゆうな、一緒にやろ?」 ももがゆうなに声をかける。 だが、ゆうなは 「ごめん、りんと組むやくそくしちゃってるんだ」 私はポカンとして、慌てて 「そ、そっか。わかった」 と答えた。 私は心の中で、そんな約束している素振りはなかったんだけどな、と考えた。 仕方なくその日は別の人と組むことにした。 だが、来る日も来る日もりんとゆうなが組む回数が増えてきた。 私だけはぶかれているような気さえした。 数日が過ぎ放課後に差し掛かった時私は、 「りん!ゆうな!一緒に帰ろ!」 前までは一緒に帰っていた仲だったので2人に声をかけた。 すると二人は 「ごめん!今日も二人で帰るから」 と言ってきた。 かれこれ二週間はこんな調子だ。私がなにかしたのかな?明日、聞いてみよう。 翌日の早朝、 「二人とも!おはよう。少し話があるんだけど、いいかな?」 と、私の問に対して二人は顔を見合せていた。 「いいけど、なに?」 と、凛が問いかける。 「その、二人は私の事避けてるの?」 少しの間があり、 「自覚ないんだね、」 ゆうなが冷たい視線を向ける。 「ど、どういうこと?」 二人は、はぁと溜息をついた。 「これ見なよ」 と、ゆうなはこちらにスマホを向けてくる。 「これ、私たちのことよね?」 そこには、「私の友達うざw」、「どこ行くにも着いてくるし、まじ邪魔w」などが書かれたXの投稿を目にした。 だがそれは私には身に覚えのない事だった。 「わ、私知らないよ?」 「嘘つかないでよ。これはもものアカウントでしょ?」 確かにそうだ。でも覚えていない。誰が書いたの? 「|黙り《だんまり》とはね」 二人の冷たい視線が私に刺さる。 この日は朝のホームルームが始まる都合で終わったが、運が良かったとしか言いようがない。 家に帰っても落ち込んでいた私に母と姉が声をかけてきた。 「何があったの?」 母が聞いてくる。 「実は、、、」 と、事の経緯を母と姉に相談した。 「なるほどね。そのアカウントって?」 「こ、これだけど。投稿した覚えがないんだよ!」 私は、震えながらスマホを見せる。 「乗っ取られてんじゃないの?それか全く知らない模倣アカウントか。」 「まぁなんにせよ友達信じられない人って本当の友達じゃないでしょ?友達やめたら?」 と、姉は強気に言ってきた。 「それで、本当にいいと思う?」 母は、 「その方がいいわよ。自分のためだわ」 と、私の味方をしてくれている。 「わかった。明日話してみるよ。二人と」 二人はニコッと笑って自室えと戻って行った。 翌日の昼休み、私はまた二人の元へ行った。 「少し話があるんだけどいい?」 ふたりは私を睨んだ。 「今度は何?」 ゆうなは不機嫌そうに返事をした。 「単刀直入に言うね。私と友達やめたくれない?」 ふたりは驚いた表情を浮かべている。 「どういうこと?それはももの、友達がいなくなるってことじゃないの?それでもいいの?」 と、りんが心配そうにこちらに喋りかけてくる。 「昨日、気づいたんだ。本当の友達っていうのはさ人の事疑ったりしない人のことを言うんだって」 「二人は、あのアカウントを信じてるんでしょ?私はやってないって言ってるのに」 「ならさ、友達やめた方がいいかなって」 ふたりは口を開けたまま固まっている。 少しして、 「別にいいんじゃない?困るのはももだし」 ゆうなが強気に出た。 「困らないよ。ただ位置からやり直すことになるだけ。《《孤独》》になってもまた一から人間関係作り直せばいいじゃん」 「じゃぁね、ゆうな、りん」 そう、孤独が私の最後という訳では無い。孤独になったとしてもまた別の人生へと歩める一歩となるのだ。 私の人生はここから始めればいい。 同じ失敗を繰り返さないように。
鬼の夜
昔昔、ある農村に鬼から生まれた人間と噂された人間がいた。 農村には1人の青年がいた。 見た目は二十歳くらいの若い男で、顔立ちは整っており、美形だった。 背も高く好青年とも見えた。 青年は刀を腰に持ち、袴姿で村のハズレに住んでいた。 両親はいない。 いつからそこに住んでいるのか知る者は一人としていなかった。 その男は昼間は小さな商売をしていた。 どこから取ってきたかも分からない宝石を売るという商売だ。 その宝石は赤色でまるで血のような色をしていた。 村の人がこの宝石はどこから取ってきたのかと尋ねても、教えないの一点張り。 この村は農村なだけあり、岩場や洞窟の類は一切なかった。 このような宝石を取れるはずがない。 だからこの怪しい宝石を買おうとするものはいない、と思っていたが、何故か宝石の見た目に引かれ手に取ってしまうものが続出していた。 それほどまでに美しく、この世のものでは無いような雰囲気を醸し出していた。 この男は一つまた一つと売れていく度に微かながら微笑んだ。 その笑みは今も忘れないようなくらい不気味で恐ろしかった。 だが、この男の本性はここからだった。 夜は人斬りを生業(なりわい)に活動していた。 昼の好青年の姿とは裏腹に、夜は鬼のお面を被り村の人たちを次々と殺して行った。 首を切り落としたり、心臓を一突きで殺したり、殺し方は様々だ。 だが決まって、買ってないはずの宝石が手に握りしめられているらしい。 この噂はすごい前から広まっていた。 人斬りはこう呼ばれていた。鬼神の祟だ…、と。 鬼などいるはずがない。 だが、現場を目撃した人などは口を揃えて 『鬼だ』 と、口にしていた。 なぜ夜この男は人を殺し回っているのか。 それは、綺麗に固まるよう水と混ぜながら血液をかたまらせ、あとは専用の道具で形を取り、さも宝石が取れたかのように売り捌くのが目的だった。 実の両親をも殺して宝石を作っていた。 殺す順番は商売をバカにした人から買ってくれない人など1回の夜につき2人。 という頻度で殺していた。 買ってくれる人に笑いかけていた理由は、人の血だとも知らずに買ってくバカを嘲笑っていたのだろう。 鬼が産んだ子供とされた青年はただのサイコパス、殺人鬼なだけだったのだ。 だが、青年がこのようなことを思いつくだろうか。 もしかしたら本当の鬼が手引きをしていたのかもしれない。
雨の日
今日は一日中、雨が降っていた。 私が歩道を歩いていると、道の端に小学四年生位の男の子が立っていた。傘もささず、びしょ濡れで…。 私は男の子に 「大丈夫?風邪引くよ?」 と声をかけた。 だが返事は返って来ない。 数分が経ち男の子はとぼとぼ歩き始めた。 さすがに雨の中1人でどこかに行くのは危ないと思い、声をかけながら私もついて行くことにした。 だけど、何度声をかけても返事がない。 どうして? そんな中ある場所に着いた。 ここは少年の家のようだ。 中には誰もいないらしい。 少年が鍵をポケットから取りだし、玄関を開けた。 中には薄気味悪いような暗さが拡がっている。 その時少年が寝室であろう部屋へ入っていった。 そこへ拡がっていた光景に私は驚いた。 ベットの上に私の体が横たわっていたのだ。 その時私は全てを思い出した。 私は夫に殺された。 とある雨の日に夫は女を連れて帰ってきた。 私は夫を問いつめたが 「お前にはもう飽きた」 などと言ってくる始末。 そこから私は夫に殴りかかって…。 成人男性には勝てる訳もなく、心臓を刺されて死んだ。 子供一人を残して…。 夫と女は逃げたらしい。 子供に手を出されなかっただけましなのだろうが、今まで1人で頑張って生きてきた息子を思うといたたまれなくなった。 そのせいか、私は霊体になって今もこの子を見守っている。 これからもずっとこの子の元にいよう。 そう、誓った。 そして 『必ず夫とその女には復讐する』 と、心に決めた。 雨の日に向かって…。