『朝が来るたび、君を失う』
毎朝、午前七時に目が覚めると、私の世界はいつも真っ白な状態から始まる。
ベッドの右側は冷え切っていて、誰もいない。枕元には、決まって一冊の厚いノートが置かれている。表紙には、見覚えのある、でも今の私の記憶にはない、優しくて少し癖のある文字でこう書かれていた。
『起きたら、まずこのページを読んで。拓海より』
私はそのノートを開く。それが、私の毎日の始まりだった。
ノートの最初のページには、私の名前、年齢、そして数年前に遭った交通事故の後遺症で「一晩眠ると、前日の一日分の記憶がすべて消えてしまう」という残酷な事実が書かれている。
そして、その下には太い文字で、こう書き添えられていた。
『僕の名前は拓海。君の恋人です。君が忘れても、僕は毎日、君に恋をします』
ページをめくると、昨日、一昨日、何ヶ月も前からの、私と拓海の「毎日」が、彼の文字と私の文字でびっしりと綴られていた。
写真も貼られている。ひまわり畑で笑う二人、雪の中でマフラーを分け合う二人。写真の中の私はとても幸せそうに笑っている。けれど、私にはそのどれもが、見知らぬ誰かの物語のように思えてならなかった。
八時になると、インターホンが鳴る。
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2026/10/11 5:09
刹那のサブだじぇ
サブ垢です!本垢は刹那という名前でやらしてもらってます☺