#6
間も無く昼飯時というのに鬱蒼と生い茂る草や木々が陽の光を遮って森の中は暗い。風がどこからともなく生まれてそのままどこかへ走り去っていく。その微弱な風を顔で感じアルトは目を細めた。
今日の仕事は木こりだ。そろそろ暖を取るための木材が切れそうだから薪を集めなければならない。
森には魔獣が生物が棲みついている。そのため村人は進んで足を踏み入れることをしない。なので当然人の通る道などなく背の高い草が生い茂るばかりだった。
魔獣というのはそこまで数は多くないが、空気中の魔素を取り込み成長する特殊な生物である。種類によっては取り込んだ魔素を体内で魔力に変換して魔法を放つ種もいるという。この森にはそこまでの上位種はいないが、下位種でも身体能力をその魔力によって底上げできる。なので普通の生物よりも高い身体能力を誇り、相対した人間は装備がなければ太刀打ちなどできない。唯一、数が少ないのだけが救いである。
本当は人がついていないと子供は森には踏み入れてはいけないのだがアルトは運動神経が良く、その上人手の不足している孤児院では大人をつけることができない。なので現在アルトは一人で薪を集めている。
背の高い草をかき分けて進む。その先には少し開けた風通しの良い場所がある。適度に陽光がさし、木漏れ日が心地いい場所だ。そこで昼食をとってその後少し薪を集めてから帰る予定だ。
道中少し珍しい薬草を見つけてそれをついでに回収してから目的地に着いた。
開けているといってもそこまで広くはない。
背の高い草はそこだけ生えておらず代わりにそこにはコケや背の低い草たちが群生していた。
空き地の隅には腐っている大きな倒木があり、虫たちやコケ、キノコなどの棲家となっている。
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カテゴリー: ファンタジー
投稿日時: 2024/7/5 7:12
Zeruel
趣味の範囲で書きます。
また、才能があるわけではないので、馬鹿にされると言い返せなくて泣きます。
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