ヘンゼルとグレーテル
大きな森のそばに、木こりの夫婦が住んでいた。二人の子どもがいて、兄はヘンゼル、妹はグレーテルと言った。夫婦とはいえ二人の本当の母はすでに死に、継母が代わりにいるだけだった。
夜。かまどの火はすっかり細くなり、部屋は闇に沈んでいた。外の風が板壁の隙間から吹き込み、赤子のような声で鳴いている。
木こりは椅子に座り、手を組みながら黙り込んでいた。足元の床板には、昼に拾ってきたわずかな薪の破片が散っている。
その向かい側で、その妻が夫を見つめていた。
「あなた、聞いているの?」
低く、切り出した声に、木こりはびくりと肩を揺らした。
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文字数: 10445
カテゴリー: ホラー
投稿日時: 2025/7/19 3:02
最終編集日時: 2025/7/19 3:21
注意: この小説には性的または暴力的な表現が含まれています
さきち
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