酔夜

夜明け前、頭の中に香の煙が広がって うすくむんむん、心地よい眠気がする。 街でただ光るのは青白い電灯だけで、 東の空は、ほんの少し桃色に染まりはじめているが、 それでもまだ、暗くて自由な夜の匂いが漂っていた。 夜は、通俗の娯楽を忘れさせるほど魅力的だ。 人がいない道に、法律やマナーなんて存在し得なくて、 寝転がって動物の真似をしても、誰も何も言わない。 虚飾も、美醜も、善悪も、優劣さえ消え入る、 のみならず永遠であって、どこまでも深く影を落とす夜。
後川
後川
書きたいときに書くので、1,2ヶ月に2本程度しか書けません。フォローしてくださる方、ありがとうございます