荒廃したこの世界は今日も美しい・1

荒廃したこの世界は今日も美しい・1
《新西暦8038年。かつて“地球”と呼ばれた星:???視点》  その昔。ここら一帯は今のような砂漠ではなく、草木の豊富に茂る雄大な草原だった。咲き乱れる花々の合間を蝶や羽虫が縫って回り、自然は巡る食物の連鎖によって「発展」と「衰退」を繰り返した。 ……衰退と一言にいっても、ここまで文明が崩壊することは極めて稀である。  窓(硝子は無い。つまりただの節穴)の外に目を向けても、かつてこの星を支配した知的生命体達の姿は一切見受けられない。殺風景に広がる砂地を彷徨くものといえば、その殆どが獰猛な肉食獣ぐらいだ。  あとそれから、もう一種類。この窓の外から見えるモノがいる。いや、“ある”。 [キセイジンルイ、ハイジョ…] 未だに過去の宿命に駆られる、機械生命体「デバグロイド」だ。  彼ら(性別があるかは不明だが今はそう呼称しよう)にはそれぞれ体格の良し悪しや性能などの個体差があり、一律にもどういった存在かとは定義出来ない。しかし敢えて言葉を選ぶとすれば、それは「残虐」の一言に尽きる。  毎日毎日あてもなく歩き回り、見つけた生命体を容赦なく殺す。万が一デバグロイドのどれかと鉢合わせした場合、真っ先に優先すべきは遁走だ。立ち向かう事ではない。彼らの戦闘力を前に、弱き人間は成す術もないのだから。
クリオネ
クリオネ
来年度まで活動休止中〜♪ リハビリ感覚でたまに短編を投稿するかもです。 ※注釈※ 時折り過去話に手を加える事があります (大きく変えた場合は報告します) 定期的なご確認をお願いします。 novelee様の不具合か、 長い文章の一部が 途切れている場合があります。