荒廃したこの世界は今日も美しい・1
《新西暦8038年。かつて“地球”と呼ばれた星:???視点》
その昔。ここら一帯は今のような砂漠ではなく、草木の豊富に茂る雄大な草原だった。咲き乱れる花々の合間を蝶や羽虫が縫って回り、自然は巡る食物の連鎖によって「発展」と「衰退」を繰り返した。
……衰退と一言にいっても、ここまで文明が崩壊することは極めて稀である。
窓(硝子は無い。つまりただの節穴)の外に目を向けても、かつてこの星を支配した知的生命体達の姿は一切見受けられない。殺風景に広がる砂地を彷徨くものといえば、その殆どが獰猛な肉食獣ぐらいだ。
あとそれから、もう一種類。この窓の外から見えるモノがいる。いや、“ある”。
[キセイジンルイ、ハイジョ…]
未だに過去の宿命に駆られる、機械生命体「デバグロイド」だ。
彼ら(性別があるかは不明だが今はそう呼称しよう)にはそれぞれ体格の良し悪しや性能などの個体差があり、一律にもどういった存在かとは定義出来ない。しかし敢えて言葉を選ぶとすれば、それは「残虐」の一言に尽きる。
毎日毎日あてもなく歩き回り、見つけた生命体を容赦なく殺す。万が一デバグロイドのどれかと鉢合わせした場合、真っ先に優先すべきは遁走だ。立ち向かう事ではない。彼らの戦闘力を前に、弱き人間は成す術もないのだから。
0
閲覧数: 17
文字数: 4087
カテゴリー: SF
投稿日時: 2025/8/27 12:54
最終編集日時: 2025/9/8 22:18
クリオネ
来年度まで活動休止中〜♪
リハビリ感覚でたまに短編を投稿するかもです。
※注釈※
時折り過去話に手を加える事があります
(大きく変えた場合は報告します)
定期的なご確認をお願いします。
novelee様の不具合か、
長い文章の一部が
途切れている場合があります。