チューインガムの彼女とキャンディーガムの僕

チューインガムの彼女とキャンディーガムの僕
「チューインガムって呑み込まないよね。なのになんでキャンディーガムは呑み込めるの?」 『知るか。』 彼女のいつもの疑問口調な会話に自分の話題がのみ込まれそうで怖くなる。彼女は僕にとってはチューインガムなのに彼女は僕のことをキャンディーガムだと思っているらしい。口に入れたら表面の味だけ楽しみ後は胃に流して消化する。歯に詰まったものはほっておいて後で水で流す。 僕も最初はそのつもりだった。周りと変わらないいつまでも自分にへばりつくガムだと思っていた。だが、彼女はその白々しい考えを逆に味わい始めた。こんな感覚は生まれて初めてだった。この人には勝てないと僕の危機感メーターが最大の危険を知らせた。だから僕はあえてキャンディーガムで居続けることにした。 いつか、裏切る。元はと言えば我々の組織は彼女を狙っている。いつか、彼女を仕留めるときが来る。その時まで暫く味わせてあげよう。私の表面の味を。 「どっちが先だろうね。私が呑み込めなくなるか。貴方が消えてなくなるか。」 『え。』
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