ポストアポカリプス

ポストアポカリプス
〈前半〉 共存と呼称するには、些か一方的で、暴力的だろう。どちらかと言えばこれは、蹂躙だ。 青々と茂る無限の生命の一角を、ガサガサと勢い良く掻き分け進む一人の人間が居た。全身は頑丈な布で覆われ、その素肌の僅かも見せぬ出で立ちは、迷い込んだという可能性を一切与えぬ程に磐石で、手馴れた手つきで切り進むその所作からは、熟練の兵士を彷彿とさせる。 進み行くその先は、何処まで行けども緑葉ばかり。ギラギラと輝く筈の陽光は、高密度の自然に阻まれ、薄暗い世界を形作っていた。それでもあまりある程に積み上げられた人工を阻む塔のような草花が、共存という交渉を許さんとしている。 「今日はここで野営としよう」 この広大な自然の中、小さな命は抗い続けている。それでも、一日のうち動ける時間はそう多くない。だから高頻度で野営をすることになる。酸の溜まった足を叩きながら、羽を休め始めた。 ひと時の休息と共に、過去の記憶を呼び覚ます。 これは、もう随分昔の話となる。
じゃらねっこ
じゃらねっこ
ねこじゃらしが好きなので、じゃらねっこです。