天使の落とし物

 西暦13000年。人類の技術と文明の発展はよもや"神を超えた"と言われ、その時点から既に『宗教』という概念が人類から消えていた。  誰もが口を揃えて言う。「神など存在しなかった」「我々は神を超えた」「人類が世界を創った」と。人間の思想からはもう『神』という言葉は下等の中の下等と化していた。  しかし、それはただの間違いで、世界滅亡の一途を辿る絶望的な愚考の始まりだった。  超越的な存在は勿論黙っていなかった。『我々は彼らをこのように創った覚えはない』と。大いなる意思から離反する物質は存在してはならない。全てのイレギュラーは存在してはならない。裁いて創り直す必要があるのだ。  そして西暦13013年。人類に運命の鉄槌が下される。"神は実在し、降臨した"。"再創世するために"。  人間の住まう地上界の空に、突如虚無の穴が開かれる。それは天界と地上界がつながった合図である。直後起きたのはファフロツキー現象。無数の光が降り注ぐ。誰もが恐れ慄く……ことは無かった。  人類は歓喜した。本当に神は存在したと同時に、完全に神を滅ぼせると言う。こぞって対神軍と呼ばれる兵器を引き出し、これにより人類と天使の戦争が始まる。後にこう呼ばれる『世界史上最悪の戦争』であると。
影白/Leiren Storathijs
影白/Leiren Storathijs
実は26歳社会人です。 基本ライトノベル書きます。 異世界ファンタジー専門です。 執筆歴は10年以上です。