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五月一日。僕はこの日、逃避行をした。
大阪の夜の街は、悪い大人達が闊歩している。母さんに、西成区にだけは行くなと散々止められていたけど、僕はそこに逃げ込んだ。居酒屋に飲んだくれが、大声で笑っている。プルオーバーのパーカーのフードを目深に被り、暗闇に向かって一直線に進む。
公園や路地裏、人通りの少ない所にはホームレスが沢山いる。
僕は若干の恐怖と不安を覚え、目を逸らした。
あいりん地区に入り、宿を探した。
「二〇八号室です、ごゆっくり。」
流石は西成区と言ったところか、年齢確認も、身分証明書も要らないで宿に泊まることが出来た。
二階の一番奥の部屋の鍵を開けて、部屋に入った。ベッドに腰を掛け、サイドテーブルに鍵を放り投げた。
これからどうしようか、と悩みながら、テレビをつけた。聞き慣れた、関西電気保安協会のCMが、不安定な心に平穏をもたらす。いつの間にか安堵の笑いが漏れていた。
《松本結城君、三歳は未だに見つかっておらず、警察は捜査を進めています。》
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カテゴリー: ミステリー
投稿日時: 2023/3/9 3:53
最終編集日時: 2023/3/11 2:44
まる
学生です。
思いついたのを文章化しているので、内容は浅いです。
マイペースに投稿するつもりなので、よろしくお願いします!