#約束
「……久しぶりだな」
騒がしい蝉の声が響き、項垂れる様な日光が降り注ぐ、雲一つ無い空の下、貴方は駅に姿を現した。
昔と変わらない穏やかな声。日焼けした肌と、適度に細い体。私はこの体が好きだった。引き締まった筋肉に抱かれ、愛を囁かれるのが、とても心地よかったから。
ーー約束通り、10年経ったわよ。ーー
私は微笑み、そう呟く。貴方はバツが悪そうに、俯いた。
「ごめん、実は俺、結婚してるんだ」
ううん、そんなに低い声で頑張らなくていい。私、知ってたの。貴方が他の人と一緒になった事。それに……。
「残念、私もよ」
君は、驚いた表情で顔を上げた。
0
閲覧数: 26
文字数: 513
カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2025/7/22 7:21
三角ニカド
はじめまして。よろしくお願いいたします。