深夜、幹線

『続いてのニュースです。き……の……』  ラジオの音が乱れる。深夜一時のタクシーには雨の音だけが響いていた。  窓ガラスの水滴が流れ落ちていく。街灯のオレンジがぼんやりと滲むのを見つめていた。見慣れた景色の中、わたしはちいさなあくびをしていた。  直進するはずの交差点でウィンカーを出す。無言のまま右折したタクシーは街灯すらない一本道へ入り込んで行った。 「運転手さん、この道、ちゃんとあそこに着くのかい?」  運転手は答えない。タクシーというものは運転手から無理にでも会話を試みてくるものではなかったか。そう思っていると運転手の口が開いた。 「……お客さん、知っていますか」  わたしに尋ねたその声はひとりごとのようだった。あっけにとられているうちに運転手が続けた。 「人ってのは簡単に死ぬんです。私は知っています。昨日だったんですがね。−−私には妻がいました。彼女は、いや、あいつは、私を裏切ったんです。当然ですよね。私は何も間違っちゃいない」 「どういうことですか?」
かきあげ
かきあげ
バナナです