最高で贅沢な罰を

お姉ちゃんと海兄の口癖はよく似ている。恋愛観だと特に。何かを諦めた様な、蓋をするところとか。お姉ちゃんと海兄の好きな人は知っているけれど千兄の好きな人は聞いたことが無い。もちろん検討もつかない。そんなある日、千兄に彼女ができた。高校のサッカー部のマネージャーらしい。最悪だ。 千に彼女ができた、らしい。ワタシはその話を一方的に聞き、おめでとう、今度会わせてよ。とその日最大級の“ワタシ”で、今までに無い程の嘘を吐いた。 千はあまり自分の話をするのが得意な方では無い。いつも陽菜乃や海斗の話を聞いている。 あの日から4ヶ月程たったある日、彼女の誕生日プレゼントを買いに行くのに一緒に来て欲しいと千からお願いされた。久しぶりに千と二人で出かけられる、と喜びの反面、彼女の誕生日プレゼント──か。と一喜一憂した。千と買い物に行き、プレゼントを選びワタシはその時間を楽しんだ。家に帰って自分の部屋で今日のことを何度も鮮明に思い出した。その度に早く大人になりたい、と思った。その想いが子供なのだと気付くにはそう時間はかからなかった。 「海兄、ちょっといい?」
あかり